音楽備忘録2099 音プロの音楽の聴き方㉑
周波数7回目の今回は「中域の増減」について綴ってくが、これに限っちゃ機器性能等の事情でオーディオと音楽(楽器)が近似傾向にある。
そして又々私感だが欧テイストを好む人の方が、調整が大胆且つ秀逸に感じるのは気のせいかな。
だばアナログオンリー当時の方から参るが、今比で周波数特性は概ね全てが狭帯域だった。
その上一々どの段階でも高域を中心にローエンドも損失が避けらんなかったから、最終段階から逆算もしといて下と上を盛っとくのが定石だった。
ので中域観点では余ってるのを削るのが主体で、もし増やすとしたら量は僅かでピンポイント的じゃないとなんなかった。
のがデジタルの普及と歩調を合わせる様にどんどんドンシャリサウンド嗜好も強まった挙句、近年ではうっかりしてると所謂周波数帯での「中抜け」現象が起きてんだ。
から今度は削るより盛る機会が増えたんだが、中域固有の用心をしないと単にナローな感じになるんすよ。
その訳は音程聴き取りが最も容易い事にヒントがあり、誰にも良く聴こえる音なだけに盛り過ぎると他の帯域を埋もらせ兼ねねんですよ。
低域過多は物理的に高域過多は特に大音量時に聴神経を麻痺させるんだけど、中域ではそんな言わばドS側面が無いだけに油断し易いんだ。
別観点なら「大体何時も聴こえるのが当たり前の音」なんで、聴こえなくなったらおやっとなるが実際は中域過多でも低高域が不足してると誤認し易いん。
もしかしたら今劣化本邦の汚Mixは標準再生音量を低く見積もり過ぎてて、作品に不似合な想定以上のドンシャリにしちまってるのかも知れないねえ。
加えて経済的には合理的だが音的には不適切なデジタル化・バーチャル化も中域の質にはマイナスで、周波数特性より平均音圧やトランジェントを害し出してんだ。(意外な事に物理的に良過ぎると不自然になる)
上記での前者は共鳴ポイントが不要に平準化しちゃったとか、後者では一定以上の音圧になる時間が減ったりする事でな。(リアル生演奏では必ず楽器・音源と耳の間の空気の存在に要注意)
楽器毎に音色に癖を持ってるの自体は功罪相半ばだが、らしく聴こえるのには必須条件。
平均が下がってピークの音圧が上昇した方がダイナミックレンジとしてはワイドになるが、音程や固有音色を司ってる箇所が不安定になると決して聴き易くはねんですよ。
大昔に吠えた如く闇雲に斬新さやHi-Fiを求めると、上記みたいなのの失念を発症するんだ。
ここでは本題から逸れるんでここ迄に留めとくが、本質的には周波数以外の質低下をEQのみで補うの自体に無理がある。
ので周波数特性だけでの大胆な補填は、改善よか他部位を悪化・劣化させるケースの方が多いん。
ほいで仕方無くあった方がリッチで良い低・高域を、必要最小限にダイエットすれば過不足は何とか収まる。
が何の変哲・個性も無い凡庸なサウンドとなりがちで、けれど自然に近く聴き慣れてるからそう感じられる側面もあるんだ。
そんなアピールポイント不足のサウンドでは商売的には売り物にならんが、奇特ならどんなに不自然でも売れるってもんじゃないよね。
それ故中域は盛るにしても削るにしても、ピンポイント(狭隘周波数帯)で微量の増減から色々試みなきゃ危ねんだ。
その意味ではMic等は単なる物理的高性能より、中域がなるべく自然な感じor好感に拾えるのを選んでみるのも一利あたりだ。
未だに骨董NEUMANN等の評判が衰え知らずなのはココの為で、意外と聴感性能を上げるのに皆腐心してんですよ。
-続く-
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