スピーカ

2025年5月 9日 (金)

音楽備忘録2091 音プロの音楽の聴き方⑲

周波数の5回目は高域の補遺から中域の話しへ向かうが、前回述「中域レスの高域」に関し私的に絶好のサンプルがあるねん。
この話題に最適って事ぁ今チョイと悩みのタネになってて、それは利用中の恐ろしく古い打込み用フリー音源だ。

杜撰君ニーズには他よりマッチしてるから使い続けてるんだが、コイツに入ってるHi-Hatが音色は良いんだが指向性が鋭敏過ぎて困ってんだ。
打込みだと弾けない楽器も入れられる&生に比べりゃ1パートの存在感が弱いから、いきおい大抵は誰が使ってもリアルよりパート数が多くなりがち。

恐らくその対策で2,3パート時と10パート以上での相違を減らそうとして、わざと各楽器を最低限必要な周波数帯域にしてあるのかな。
それでなくても音源容量を節約しようとすりゃ当然の方向性だが、中域レス故聴く時少しでも有効角度領域から外れると途端にお留守になるねん。

それを補おうと音量に下駄履かせときゃ、今度は真正面で聴いた際煩くなりやがる。
っと言っても宅の狭隘室が真犯人なんだが、皮肉なもんで打込みオンリーなら広い部屋が要らないのが利点なんだよねえ。

そうなった裏にもう1つ最新のとか流行のCymbalサウンドってのがあり、又昔話になるが平成以降に生まれた人は実感する機会が多分殆ど無いんだろうなぁ。
のわCymbalサウンドがアナログ時代平均レベルじゃ再現し切れんのは想像し易いが、メディアがCD主流になって以降も実は10~20年位は天井フリーにはなって無かったんすよ。

のがデジタルのドラムマシンやサンプリングキーボードで価格・メモリ容量等の事情から、今だと眉唾かと思うか分からんがそう簡単には16bitにならなかってん。
チト専門的な話しになるがbit数と実用周波数帯域には深い関係があって、低bitでも原理的に制限は無いが実際にはそれをやっても音のザラ付きが目立つだけだったりちっとも艶を増やせねんですよ。

そんな処で当時誰もが「今迄無理だった高域」に憧れてたのと相まって、出せる楽器ではなるべく高域を出せた奴が偉いみたいな潮流が結構続いてな。
その上音色をよりリアルにしたとしても、鳴らすのが達人奏者じゃ無くアホな機械となるとさ。

奏で方でそれらしく聴こえてた部分が無くなる訳だから、現実より高域を増し盛りしたりして補ってた訳だ。
その結果が音色は好ましい・実用上は大きな欠点ってな按配になっちゃって、これは生演奏のミックス時でも大抵程度はマシになるが油断すりゃ何時でも起き得る事態なのよ。

なので中域は中域の都合だけで考える訳に行かんくて、低域や高域の事情も鑑みてやんなきゃいけねんだ。
これに関し自称リズム隊オヤジが強力に訴えたいのが、ほぼ中域だけで成り立ってるパートの皆様への注意喚起ざんす。

おまん等低音とか高音をほぼ独占出来てんだから中域はウチ等のもんだろ、とは決して思い込んで欲しく無いんすわ。
とか広帯域化したってこっちにゃロクに益がねんだから、中域位はこっちにもっと忖度しとけなんてさ。

確かに打込み音源等バーチャルでは、理論的な周波数分離は可能ですがね。
それに聴感では綺麗に分離してる感じのもそこそこあるが、それ等物理的にはそうなってねんですわ。

ではどうしてそう感じられたのかってば、久々出俺言い「目立つ倍音」が大体棲み分けが出来てるからだ。
只コイツがちょっち厄介で倍音だから皆高域と思いきや、中域にもかなり越境してんすよ。

-続く-

2025年5月 5日 (月)

音楽備忘録2087 音プロの音楽の聴き方⑱

周波数4回目は高域で前述の通りオーディオと各楽器毎にかなり異なった帯域となってて、その他に音の指向性の問題も絡んで来る。
指向性自体は超低域以外は皆持ってる性質なんだけど、周波数が高くなる程尖鋭化して狭まるから用心しなきゃなんないんだ。

PAや生楽器以外で普段あまり心配されてないのは、高域と称しつつ音響やオーディオでは中域に分類されてる領域だからだ。
又生楽器でもコントラバスみたいに音域の低いのになると、PAではスピーカの都合で高域は半ば無視する事も少なくない。

さて指向性案件でアキレス腱になってるのがスピーカの周波数毎の指向特性で、日常生活での普通の音圧なら未だしも爆音化させるととても困難が伴うん。
純粋PA用途のだと最大でせいぜい100°が限界で、スピーカの真横に近くなると殆ど聴こえなくなっちゃうん。

広大な演奏会場で余程好条件なら未だしも、観客との位置関係次第で煩くなったり全然聴こえなくなったりの不公平が生じ易いんだ。
そこで次善対策として小規模店舗用スピーカ等ではわざと「その下の帯域」が盛られてて、位置関係に依る音質差がなるべく最小になる様にされている。

宅ではスペースファクタの都合からサヴモニタにそんなのを流用してるが、意図的に盛られた分を削ってやんないとマトモな音になってくんない。
今劣化本邦ではインナーイヤーないしヘッドホンでの聴取が増えたけど、誰もが最適化されてるか疑わしいしスピーカで聴かれる事も皆無にはなってない。

ここでの最適化を補足しとくと大多数の一般人は「正規の音」を聴いた経験が先ず無く、その条件はかなり厳しいしそれで聴けた音が良いと感じられるとは限らねんですよ。
更には加齢に依る可聴帯域の低下も加わり、年寄り耳に煌びやかにしたら若者にはモスキート音地獄になってたりなんてのも。

そんでも妥協が許せんからと対象を狭隘に絞ったとして、必ず狙い通りに好かれて嫌われる保証は全く無いとな。
最悪誰にも理解されなかったらおまんまの食い上げ決定なんで、低音とは逆に「高域を感じさせる中域」と抱き合わせての妥協が強いられるんだ。

となればどんなに高域特性の優れた機器を使え様と、高域は「耳の良い人にも籠って聴こえない程度」にしか入れとけねんですわ。
だからってドンシャリ好きな杜撰君わざわざ中域だけでMicを選んだりする気にゃなれねえが、今世間が思ってるより音楽となると中低域が遥かに大事なん。

これは又人耳の音程聴き取り能力とも関係してて、Pianoの最高音以上では少なくとも常人にはもう音程感は釈然としない。
それが大凡4kHz程度なんで、口悪く云やそっから上の周波数はオマケなんだよね。

ってオマケったって雰囲気や表情では大貢献してんだけど、中低域レスではその効果も全然発揮されない。
例外になるとすりゃ音程の縛りから解放されてるCymbal等だが、これも指向性案件事情でホントに中域すら伴わないと致命的な弱点を持つ様になっちゃうんよ。

=つづく=

2025年4月27日 (日)

音楽備忘録2079 音プロの音楽の聴き方⑯

だば低・中・高域等の分類の仕方だが、大枠でオーディオと楽器で異なる原因は既に綴った。
その具体的目安は主に中高域の相違にあるが、低音楽器は更にその枠とも違って来る。

してオーディオでは音楽的働きより再生装置等の都合が優先で、3Wayスピーカのウーハ・ミッドレンジ・ツィータ等の帯域分割と近似だ。
一般の音質調整にオーディオ用のグラフィックEQもあるにはあるが、非専門家が扱うにはあまり向いてないんだ。(但しスピーカ等の補正用途は除く)

のわ一般聴者の当座のニーズはもっと大雑把な方が多いからで、なるべくスキルレスで思った感じに近付けられるのが相応しいから。
で低中域の境界は凡そ300~400Hz・中高域の境界は2~4kHzとなってて、旧標準での各帯域中心周波数は低:100Hz・中:1kHz・高:10kHz程度だった。

のが近年はワイドレンジ化に呼応して夫々80Hz・1kHz・12kHz位がデフォとなってて、オーディオとしての中域の核なんで1kHzだけ不変になっている。
のわⅡでオーディオの場合あらゆる音源がある都合上、極力どんな音にも大抵は含まれてる箇所を中域の核と考えてんだ。

因みに人耳の最も高感度なのは2~4kHzなんで、それからすりゃそっちを核にしといた方が好都合な気がしないでもない。
だが目立つって事は過剰になりゃ煩いし他を侵食・マスクする欠点があるんで、全体を極端に変容させないのも配慮して↑より少し下に設定されてんすよ。

それより大事なのが比較的広範にじわ~っと効く性質で、弄れない帯域の発生防止とピンポイントで音源に含まれる何かだけを悪目立ちさせないのを兼ねてんだ。
まあ兎に角色々事情があって最大公約数としてんだが、楽器の方はその面からは全く別物と思った方が良い。

外見はオーディオAmpの3Tone仕様もGuitar Ampのも、呼称も含めほぼ同じなんでとても勘違いし易いがね。
基本的に扱う音源の性質が全く異なるから、楽器用のは各々の楽器に特化させてあるん。

そして最大の相違点はわざと弄れない帯域を設けたのも少なくない処で、Ampも楽器の半身との考えから自在な調整力より個性を重視した結果なんだ。
中にはオーディオライクな特性にしてあるのもあるが、基本的な仕事が修正より創作だからだ。

例えば伝統的Fender Ampはやたら低域の調整巾が広いが、楽器自体の低音量が乏しいのでも伴奏に使える様にそうしてある。(代用Bass)
のと比べると伝統的Marshallは歪ませと低域がやたら響く舞台(≒大ホール)に最適化したから、上記と比べたら最早低域を調節出来る気がしない程だ。

っとこんな具合だから音楽での周波数の知識は、録音やPA技師を除けば取敢えず自身の扱う楽器に必要なのだけなるべく詳しくなれりゃ良い。
唯HzとかkHzって何?でほっといては流石に苦しく(kHz=Hz×1000)、基本は感性重視も同業者との知識交換時の共通言語としてとても有益なん。

A君の言う煌びやかとBさんのそれでは各自の感性事情から、実際には異なる帯域を指すなんてケースがとても多い。
完全唯我独尊で行くなら未だしも、密かに他者からもアイデアを頂こうと思うなら周波数の最低限の理解は必要なん。

-続く-

2025年4月25日 (金)

音楽備忘録2077 ’70年代Rockの浦島太郎㊺

さてマニュアル執着の問題点は他にもあるが、その嚆矢は用途外活用じゃないかな。
メーカ側としては何されるか分からんから保証対象外になるし、成功率が低い割にハイリスクなのは間違いないんだけどね。

けれど従前の枠内でどう捏ねようと、それじゃあ結果もほぼ従前の範囲内に限定されちゃうんだ。
それがもし安全面に関わるなら変な冒険なんかすべきじゃないが、音楽なんて内容が空想の産物なんだから実害は遥かに少ねんですよ。

少なくとも生命の危機に瀕する機会は極小で、そりゃなるべく機器だって壊したか無いがね。
処が形ある物何れは崩れるで、寿命は様々も絶対に一生持ってくれるとは限らんのどす。

そこから見えて来るのが寿命間際と思われるので試す方法で、これ実際に鉄道車両等では古くから実施されてる手段なんだ。
廃車解体が決定しててどうせバラすんなら、その前に衝突事故の実体シミュレーションに利用したりさ。

実はマニュアルにも「質の差」っつうのがあって、今劣化本邦の電子機器には唯の1つも回路図が付いてるのにお目に掛からなくなっちまった。
と書くからには主に真空管全盛時代の頃のには、日本でだって巻末か別添付で付けられてたんだ。

折角だから一例を紹介しとくと一体型のステレオ再生装置やTVの裏蓋に封筒が背負わされて、その中に折りたたまれて回路図が入ってたん。
そりゃ信頼性が今より格段に低かったんだから、せめてものお慰みで…なんてケチ付けるのは何処のどいつだい?。

まあ確かに頻繁に不具合は起こしてたけど、滅多に不具合が出なきゃ修理の為の重要情報を非公開にして良いって事ぁ無かんべよ。
今劣化本邦で杜撰大王がこれを問題視するのは、メーカが面倒を見てくれる期間が短目だからだ。

家電標準寿命が6年だからって、本来より長く使って貰えたら喜ぶべき事象。
中々壊れないと次を勝って貰えんからは分からんでもないが、その際消費者が必ず同じメーカを選ぶ保証なんて無いのにさ。

結局自らブランドの誇りを捨て当座の売り上げに全振りしたんだから、低迷するのは至極当然だぁ。
わ兎も角万全なアフターとは到底言い難く、その面等では昔より購入者自身で色々考えとなきゃなんなくなってんすわ。

ので長期視野に立てばどんなにマニュアル尊守したって先は分からねんだから、もうちったぁ自分自身で考える癖を普段から養っとくのがお勧めなんだ。
そうしといて大損しないのは、考えた上でその時点ではマニュアルに従うって選択肢もあるからだよ。

のが逆は無いし万一マニュアル不記載の事例に出くわしたら、そこで一巻の終りが来ちゃうで。
しやしかし昭和の頃or世代にはこれっぽっちも取説に目もくれずやらかす奴が多かったのに、今度は読むばかりなんて逆へ振り過ぎだわさ。

何時の時代だろうと熟読せずとも一応全部目は通しといて、自身でもそれなりに考えなきゃ駄目に決まってんのに。
確かにケータイショップで列をなす昭和以上世代の汚客様逹の自助努力ゼロには呆れるが、幾ら反動とは言え間に平成が30年以上もあったんだから。

今マニュアル盲信に溺れてる人も後10年か20年後には、晴れて老害入りおめでとさんでんがな。
現在の老害とその場所は真逆に近いだろうけど、現役世代にとって話が通じない相手になるのは一緒だ。

-つづく-

2025年4月19日 (土)

音楽備忘録2071 音プロの音楽の聴き方⑭

いきなり前回補遺から行っとくが実在不可能な硬い音案件は、好みに無関係にノイズ駆除なんかの際にも多大な影響が出るんすよ。
のわ天然空間でマスクされ易いのとバーチャル空間でのそれにそこそこ差があるからで、最悪録音はクリアなのにLiveだと途端にノイジーなんてなったりするん。

これはスピーカ:ヘッドホンでも又別種のそれがあり、今劣化本邦ではかなりスピーカ聴取が減ってはいるけどまだスピーカ聴取を基準に調整しないと損すんだ。
確かに聴取方法を指定しときゃ一応難は逃れられるだろうが、ノーマルな者は人体の性として束縛は少ない方を好むかんね。

俺言い「軍隊ヘッドホン」程の負担は強いられずとも、何かを装着すれば必ずその負荷が掛かりまふから。
わこの辺でお開きにして、今回は苦手意識を持った人も少なくないであろう周波数ざます。

現行単位はHz(ヘルツ)となってて、音以外にも周期のある交流電流や電磁波(電波)には広く用いられている。
只これ日本の大昔はC/S(サイクルパーセコンド)となってて、1秒間の振動数って意味は多分その方が分かり易かったんじゃないかな。

横文字苦手意識がありゃどっちでも大差無いと思うか知らんが、現行のは人名で過去のは直訳が上記の通りだかんね。
そして電気だけじゃ無く自然界の音波にも使われるのが紛らわしさを一層助長してるが、基本的には単に「回数」ってだけの事ざんす。

そして音楽では音程の高低を示すドレミはほぼ全員が分かるし、もう少し進めばキーコード(和音のルート)のC,D,E…等も譜面が苦手なら習得してる人が殆どだ。
けどこれ等は皆平均律の12音階に基いてるのと、厳密には飽く迄「相対音程」でしかない弱みがある。

王道としては基準音A(440Hz)のラに対してのだが、それが443Hzと微妙に高くてもドレミやキー自体にはツ浮上それを示せるパラメータの欄が無い。
つまりは絶対的な音程の高低を表しては居らず、それを可能化出来るのは今の処「周波数」しかねんですわ。

そもそも論迄掘ってくと現用音階って一部白人が勝手に定めただけの物で、汎用性に長けてたから普段皆が利用してるに過ぎないのだ。
と言っても別に否定しようって訳じゃ無いが、音階と周波数のどっちか1つだけで全音程を網羅しろったら周波数でしかその責は担えないんだ。

と随分大上段的な言い回しをしちまってるが音楽での実用上は、必要時にさえ手に負えりゃ取敢えずは間に合うん。
最大のニーズとしては近年チューナーがほぼデジタルになったのもあり、↑の基準周波数設定は数値ダイレクトがデフォ化しとん。

現代Classic系オケでは以前より明るさを求めて、440より443Hzとかが主流になっている。
ので例えばそこで使われてるPianoを再調律レスでそのまま使おうとしたら、チューナーを443Hzにして他楽器を合せてやんないとズレちまうだよ。

中域の3Hzなんて音程的には大したズレじゃないんだけど、流石に5パート中の1つだけとかになると少なくとも何か収まりが悪いのは誰でも感じ取れるんじゃないかな。
全ミュージシャンに必須なのはこれだけだが、しばしば電気的に色々加工を加えようと思うならもっと周波数の知識は要る。

っと言っても純粋な音響技師程のスキルレベルは不要で、目安として大雑把に感覚的に掴めてりゃOKだ。
のでその内容は次回に譲るが、少しづつで全然構わないから覚えてくとその苦労以上の御利益があるんすわ。

=つづく=

2025年4月15日 (火)

音楽備忘録2067 音プロの音楽の聴き方⑬

さて一番最初に覚えて欲しいのは、「音って空気の振動(粗密波)」って事実だ。
この原理の理解不足が様々な誤認の元凶で、音自体は自然の一部の生物(なまもの)なんすよ。

食品工場で作られる人工合成食品なら均一な品質を保てるが、刺身等は完全に同じ物には2度とお目に掛かれない。
音の場合は後者に属し、僅かな環境差でも違った音に聴こえちまうんだ。

再生装置等機器の影響も決して無視は出来んが、それより遥かに気温・湿度等も含んだ聴取環境に支配されとん。
その一端に音速計算式331.5+0.61t[m/s](※tは摂氏温度)ってのがあり、専門家以外は暗記不要だが気温次第で音の伝わる速度が増減するのを意味してんだ。

と言っても実際には別物みたいに聴こえる事は滅多に無いが、細部とか印象等感覚的な箇所に関しては結構影響の出てる可能性が高い。
のでこの影響を最小限にする一手段にヘッドホンでのモニタって手があり、この場合使用ヘッドホンがコロコロ変わってっては元も子も無くなる。

それ故SONY MDR-CD900ST等一部モデルはとっくに旧態化してるのに、未だに製造・販売が続けられてんだ。
私感本音としてはそんなのよりVHSビデオ関係やMD関係等の方が万人に影響があると考えてるが、恐らく製造原価と販売価格の都合でこっちはディスコンを余儀無くされたんだろうな。

わ兎も角最低でも自分にとっての定番ってのは持っとくべきで、例え普段あんま必要性が感じられなくても「迷った時」に持って無いと困窮させられる。
そして機種選定で重要なのが入手・修理性の良さで、この目的に限っちゃデザインはおろか性能や音質が第一では無いん。

但しそう云う代物だから生聴取音の再現性や俺言い「感覚性能」は高く無く、音響技師用であって決してミュージシャン専用なんて性格じゃない。
つまり物理的客観視には最適解の1つだが、表情・ニュアンス等の微調整には使えない。

ので他のヘッドホンのみならず並行してスピーカで聴いてみるのが大切で、ヘッドホン使用時の環境差を逆算するのにも好都合なんだ。
従兄はかつてオーディオヲタではあっても然るべき処で全然学んでないが、ヘッドホンを重用し続けたのがかなり音や音楽が分かるオッサンと化したのに直結してんだ。

尤も真空管機器に関しては縁が薄かったから、その効能を明確には理解し切れて無い様だがね。
球の件を一々蒸し返すのは彼が生楽器奏者だからで、太鼓に叩き手の個性をより乗せるのには絶好のヒントがあるんだけどね。

わ置いといて今劣化本邦みたいな硬質で高速な音って自然の法則に逆らってて、幾ら鍛錬しても人力のみでは到底出せない音なんだ。
それをオモロイと感じて悪かねえが、自然音で出来る事を差し置いてそっちへばっか走るのはねえ。

観客に過負担になる程の拷問PAでも使わんとLiveで再現不可能やし、ましてや生演奏ではどうにもならなくて不便で仕方無いんだよ。
空気って水以上に洩れ易いし、たらいに入れて移動させるのすら無理な相談だ。

音はそんなのが震えてるだけなんだから、人間様が制御可能な範囲なんて極限られてんの。
ので対峙するより便乗したりするのが利口ってもんで、直接は可視化不能な相手だけに予備知識が大きな助力になる場合があるん。

-続く-

2025年4月 3日 (木)

音楽備忘録2055 音プロの音楽の聴き方⑩

前回の続き「派手×派手=行き過ぎ」を今回最初の生贄に捧げると、それで調整したのがお客の所では必ず地味になるんすよ。
敢えて自身の偏った好みを打ち消す為にそうするなら一興だが、それ以外では一々逆算しなきゃなんないから面倒だ。(但しやり過ぎ君の場合)

それだけで済みゃまだ良いが、無問題に聴こえてたから弄らなかった箇所が後で大抵問題化したりするんよ。
単独致命傷よりかなり目立たないけど、良く聴き込んだらあっちもこっちもそっちも何か微妙にイケてねえぞみたいなさ。

そうなれば評価を下げる人が大量に発生し、少なくとも良いと思ってくれる人が激減するん。
コレ純粋な芸術肌の人からは気持ち良く仕事を出来るのも大事なのにと叱られるかもだが、裸の王様への入り口だからね。

環境改善は気持ちの影響が多い職場では要考慮事項だが、それは飽く迄作業結果に欠点が出ない限りの但し書き付きなんすよ。
幾ら気持ち良く演れても反応が想定外に悪きゃ幸福感は瞬間の物になり、次の録音とか編集迄暗い気分が続いて悩まされるんだからさ。

そして派手×派手が駄目なら地味×地味なら安全かと言えばそうでもなく、唯欠点が逆パターンになるだけだ。
ならばどうすりゃってぇと、なるべく反対の個性を持つ2つで試聴して調整すりゃ良いんすよ。

けれど貧には中々それすら厳しいとなれば、なるべく派手なAmpには地味なスピーカを地味には派手なのをと抱き合せるのが次善策だ。
或は杜撰君が実施してる裏技では、家庭用は柔らかいの・業務用にはリニアなのなんて2本立てもある。

第3の手としてはスピーカとヘッドホンを真逆の個性のにしとくで、この場合出来ればスピーカを柔らかいのにしておきたい。
のわ検聴には周囲混入音の少ない方が向いてるからだが、TANNOYが衰退気味・個性希薄化したお陰でかなり厳しくなってもうた。

更に代案を追求するとヘッドホンで音の硬いのと柔らかいのを揃える手もあるが、こちらはまだディスコンになってないものの必要充分な柔らかさを備えてるのは俺知りだとKOSSで設計の古いヤツだけだ。
っつう事って現況は中々厳しくて環境整備が困難化してるんで、誰でも可能な対策としては音を最低今より硬くしない事。

音楽提供がデジタルデータがデフォとなり再生装置も硬いのが主流となった今、昔みたく柔なせいで明瞭度が著しく阻害される心配は無用になってんすよ。
そんなのより聴き疲れを危惧する方が桁違いに重要で、誰かに気に入られたら録音作品は繰返し聴かれるもんだって事をね。

人次第ではあれ今はネットの発達で、数回~50回位は試聴してからじゃないと勝って貰えねんだから。
大昔みたいに不遜な感じのレコード屋のオヤジに、やっとの思いで申し出て試聴可能となる訳じゃない。

そんなプロセスを経ての試聴だと万一疑問が残っても、冷やかし誤認されるのがおっかなくて買うの止めたとは表明し辛かった。
のが今は人知れず何時でも何処でも僅かな空き時間で、気が向いた時にポチっとねで済ませられるんだから。

=つづく=

2025年3月30日 (日)

音楽備忘録2051 音プロの音楽の聴き方⑨

前回は又悪い癖が出てつい遠出しちまったが、今と比べたら当時は割と色んなジャンルが併存してたんだ。
そんな背景があればスピーカの個性も全方位的に広がってて、全体像の把握にはお誂え向きだったん。

と同時に今より全然PAに頼って無かったり録音嫌いの達人演者なんかも結構居て、聴く手段としてのLiveと録音も今より拮抗してた気がする。
そんなのが合わさって硬い音が好きなのも居ったが、同じ位ひたすら柔らかい音を好む奴も居たん。

すると総合的論調は変な偏りを許さず、少なくとも「意味のある」硬さ・柔らかさじゃなかったら大勢には認められんかったん。
のわ個人の好みとは正反対な音も巷に溢れてて、それを支持する者も少なくなかったからだ。

それで何が一番違ったかったら、「目立たぬ箇所での不自然な音」が断然少なかった処。
技術レベルの稚拙さとかでの変な音なら昔の方が明らかに多かったものの、マトモな音が出せるのに変に捻くれたのは無かったっつうかコンセンサスを得られなかったん。

して少なくとも半数位の柔らか派に対しては、どんなに明瞭度を欲しても硬さでは代用不可だったんすよ。
寧ろ達人技師になればなる程、硬さ以外で明瞭度を上げられるのが腕の見せ所だったんだで。

爺さん今時そんなの流行って無いって…はご名答だろうが、曲やジャンルに全く合って無かったり聴者に過負担を掛けるのは筋違いとちゃうか?。
黒プロダクションから強要されてとても聴けない連中を無理盛りするニーズが絶えないのは分かるが、下手過ぎる奴等のを幾ら盛った処でせいぜいマシにするのが関の山なんだよ。

因みにここでの下手とは一般論のテクでは無く、PAレス生パフォーマンスで聴くに堪え得るかって事ですぜ。
要するに基礎レベルに問題が残ってたら、その上の階層のが幾ら凄くても最悪はご破算になるってな。

多分最も明快なのが声量不足なんかで、どんなに上手くったって全然聴こえなかったらおじゃんでおじゃるよ。
でそんなのが聴き分けられんと適した指示が出せず、録る前にもう1週間練習したら見違える様になりそうなのを慌てて無理盛りしちまうとかね。

この様な判断ミスを駆逐するにも、万人に受容れらる音の範囲や程度を知れてると差が出るんすよ。
又前回迄に綴った類のはどんなに個性的でも無理はしてねんで、説得力とか訴求力が近年の超高性能なゴミとは違うん。

と言われても体験困難なのが多いしでどうすんのってば、理想は不変だがせめて理論的に悪い癖を減らそうとね。
今感覚で初対面の聴感が凄く良い音と感じるスピーカでも、客観聴すると結構色々癖が付けられてん。

手前味噌では常用中のJBL Control 1 Plus、サイズと元の用途のせいもあるが随分中高域が持ち上げられてる。
当時の流行りに寄せたり店舗内で指向軸から外れても聴き取れる様にした結果だろうけど、記憶にあるJBL名器のサウンドとはそのままじゃあまりにも違い過ぎた。

サイズ制約から諦め掛けてたのを、試しに周波数特性を補正してみたら少しはブランド独自個性が残ってたんだ。
例えば派手に盛られた感じ(可能なら計測して確認するのがベスト)のAmpで駆動するのに、同傾向のスピーカを使ったら行き過ぎになるでしょ。

-続く-

2025年3月26日 (水)

音楽備忘録2047 音プロの音楽の聴き方⑧

前回スタンダードの基となるスピーカブランド別の音個性を体験せよなんて語ったが、杜撰大王位が辛うじて普通にそれが出来た最後の世代だったかも知れませぬ。
私感ではCDの登場が境界線で、要はそれだけアナログの方が影響が大きかったからだろう。

デジタルオーディオ普及後に育った人に
は信じられんかも分からんが、CDであればどんなにチープなボロいので再生しても超高級機でも全体としては別物に聴こえたりなんかしない。
ぅんがぁレコードとそのプレーヤの場合はもうホント極端で、先ずレコード盤の種類・材質・グレードで全然違ったんすよ。

最下層のソノシートってのは書籍のオマケに付いて来る様なので、今だとクリアーホルダーには流石に負けるが下敷きより薄くペラッペラなビニールに溝を無理矢理掘ったヤツでなぁ。(視点を変えりゃ当時は革新技術だが💦)
安価でカラフルなのより多分そもそもは↑みたいな目的にはその薄さと、普通のレコードより割損しないのがメリットだったんでしょう。(実際は油断すれば紙みたいに折り目は付き易かった)

無論そんなんしたら溝が極浅くなっちゃうし材質が普通のより柔いから、単に低音質な他にかなり狭帯域になっとりゃーぁした。
盤が柔らかい→溝を精細には掘れない→高域になる程記録不可だし、下は低周波になる程溝の深さが必要になったからだ。

普通レベルの方でもCDと併売になると商業的黒意図があったか知らんが、外周は未だしもレーベル(中心)近くはかなり露骨に歪む様に改悪されてまつた。(CDの高音質をアピールする為わざと低音質化した?)
加えて再生装置も良くて針だけしか交換出来ないポータブルプレーヤから、常人では持ち上げらんない程重くて厳密な駆動装置・制御回路の載った是又常人には全く手が届かない超高額なの迄あったがね。

そんなだから極端比喩すりゃ玄関インターホンから金満ヲタ専用って位、出音にも広大な巾があったんだよ。
のを少しでも良くしたいのは山々だが、専門家推奨の各装置全体のグレードアップは金が掛かり過ぎて庶民にゃ無理。

となりゃせめて各自が一番ネックと感じる箇所だけでも出世を狙う訳だが、それには良い方での商業的差別化アピールが有効だったんだろうねえ。
のがスピーカでは現代のと比べたら明らかに物理性能的には殆どで劣るんだが、例えば全盛期のMiles Davisをそれで聴いたら他のに絶対負けないなんて個性が付与されてたん。

半分は偶然全盛期がダブっただけだが、高音用HornスピーカはJazzの管楽器再生には今でも今のよりゴキゲンなサウンドを出してる。
まあ確かに元がラッパなだけに出す方もラッパの方が合いそうだが、蓄音機の時代のはあんまそうじゃなかったもんね。

しかし期せずして今で言うヲタ専用として、ターゲットを絞って追及して最適なサウンドが得られてたんだ。
それ故21世紀頃以降はClassic録音スタジオのコントロールルームにYAHAHA MS-10があっても平気になったが、昔だったら「何でTANNOY無いの」であそこは使えませんなと即なってた事だろうよ。

わ兎も角昔日本でそんなのに皆が躍起になったのも、今より生で聴けなかったからなんじゃないかな。
ClassicやJazzはBeatles登場後に最新ジャンルから転落してたし、噂に名高い演奏家も徐々に減り始めてたしさ。

-続く-

2025年3月22日 (土)

音楽備忘録2043 音プロの音楽の聴き方⑦

今の最先端にしか興味が無い人には価値は低いだろうが、敢えてかつてのスピーカブランド別の相違を綴っとこう。
その真意は同じ音源がスピーカタイプ差で、どの位違って聴こえる巾があり得るのを体感する為なんだ。

現代ではレアケースに遭遇しない限り昔より格段に差が減ったのは良いが、代わりに例えば音源を硬くしといたら硬い音になるスピーカでどんだけ悲惨な結果を招くかなんてのが見当が付き難くなったんすよ。
それがどう今に影響するかったら、どう云う好みだろうと安全限界はこの辺かなってのが実感確認が不能となった処。

具体的には数回元気な時に聴いて平気で気に入ったのが、病身になって唯一の娯楽と頼って聴いたら駄目でガッカリしたみたいのを防ごうと。
これは一例で殆どそうならないのと競合したりすると、長い時間や諸々の状況を経れば評価の差が拡大するからだ。

それも必ずしも作品寿命を長くしたいのと限らず、出してすぐ後にもっと良好な音質の近似作品を誰かに出されたら即オワコンになる事だってあるのよ。
この意味での音質って元来は音響技師にその責があるが、近年の打込みみたいに後から弄れる箇所が極端に少ない作品だと製作者にもその分責務は生じてんすよ。

考え方としちゃ作って録るのが楽になった分、抜かりの無い作者なら自然と前より音色や音質にも注力する余力があるだろうってな。
さて具体的な傾向としてはJBL:ドンシャリ・ALTEC:艶やか・Electro-Voice:生真面目、貴重な柔らかさを持つTANNOY等が代表的だった。

因みに日本勢を入れてないのは舶来趣味だからじゃなく、強いて言えば控え目の良さはあるがどの路線でも典型的では無かったからだ。
つまり優等生的で普段不特定の者が聴くなら好成績だが、個性がやや不明瞭だから大体どんな音質(音色)のがあるか知るのにはあまり向いてねんですよ。

具体的には低域がモヤってて他のどれでも聴き取り切れなかったのがJBLでだけは何とか分かったとか、高域が硬くてうるさくてどうしようもないと思ったのがTANNOYでなら何とか聴けたなんて具合でね。
それを趣味として活用するなら単に好みのを選びゃ満足感に浸れるが、制作提供側に立ったら逆算して調整しなきゃなんないんだ。

加えてこの位で良いだろうと思ったのが↑みたいなどれでも、本当にセーフかどうか良く考えんとね。
それには各傾向で極端なのはどの程度違うもんなのかを先ず体感しとくのが良く、要するに音聴取版火災訓練みたいなもんすわ。

厄災は最高運なら生涯唯の一度も遭わずに済むかも知れないけど、完全に想定外にして安穏としてるといざって時にパニック&思考飽和しちまうでしょ。
冷静に対処出来りゃ唯のボヤに留まり一寸びっくりで済む様なのでさえ、最悪の対処をしちまったら全焼・即死にすら被害拡大するかも知れない。

音楽でアマチュアだったらそんな酷い結末にはならないが、頭真っ白になったせいで解決出来なかった悔いは一生残るんじゃないかな。
だいいち上手くすれば越えられる壁に絶望して、趣味を1つ失うのもアホらしいやん。

無論追及すればほぼ永遠の課題にはなるが、大凡を知らなかったが為にそんなになったら大損でんがな。
そこで今から試聴するに際し留意点があって、全体としてはそんなに高音質じゃなく不完全でも他より突出した箇所だけなるべく正確に記憶しとく。

のは開発が進んだ代償に昔より個性が弱まったり曖昧化してるからで、なるべくなら各ブランドで最も個性が強烈だった時期のが聴けると良いんだけどさ。
残念乍らオーディオブームが遥か昔となった今、そんなのが聴ける機会が激減しちゃったん。

=つづく=

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