スピーカ

2023年12月 4日 (月)

音楽備忘録1571 オーディオ等のスペック偏重に潜む罠⑫

失敗談から戻ってそろそろ纏めへ進めるが、キーワードは「数値よりグラフ」で御在居。
少なくともMicやスピーカに関しちゃ、ある物は見なきゃ損だ。

ではグラフの公表が無い物はどうしたらってば、極論すれば買うな・借りるな・使うなだ。
って明らかに膨大なマージンがあったらんな事ぁねえが、常に大きな余裕を持たせるにゃ金の他に空間余裕も要る。

海外比で日本だと後者が絶対的不利を拭えず、昔のアメ車みたいに排気量で安心を買うのは困難なのだ。
っつう事ってグラフの読み方をもう少し掘っとくと、一見能率・感度とは無関係の周波数特性グラフにそれはちゃんと反映されてんですよ。

能率も感度も特定入出力時の「音の大きさ」なんで、通常その単位はdBになる。
測定グラフの縦軸が正にそのdBになってるのがデフォで、グラフの縦軸平均を取ったのが能率・感度のスペック表記なんすよ。

こんなチョイめんどい事してる目的は、用途不問で他と比較するのに目安になるからだ。
さてオーディオ用ではフラット最優先の周波数特性も、PA用→楽器用となるに従ってかなり大胆な凹凸の生じるのが普通だ。

技術的ハードルを除いても未だそんなにしてるのはらしい音にする為で、オーディオ用ので電気楽器を鳴らすと大抵は例の目立つ倍音がかなり引込んじまうで。
かと言って大口径で数値的周波数特性では余裕と思えても、Guitar用のでBassを鳴らすと4弦だけ小さ目になる等の現象が起こり得る。

各用途の最適景色を示せたら良かったんだけど、音の好みは千差万別なんで難しく断念。
そこで代替手段を提示しとくなら、各自の好みだったスピーカの内周波数特性グラフの公表されてるのを雛形にするって作戦な。

この方法はオーディオ用でもPA用でもある程度有効で、嫌いなののグラフとの違いが各自のキーポイントになってる訳だ。
究極はなるべく沢山のグラフの景色を覚える事で、この辺は沢山書いて文章力を養うのなんかと同じだ。

尤も音響屋でも無い奴にそんな途方も無いのを課すのは酷なんで、1に一番好きなの・2に一番嫌いなのを入口にするのが良いんじゃないかな。
この段階での発見として例えば数値的にワイドレンジなのより、多少ナローなのが聴感上はワイドなんてのが出て来る処だ。

その訳は特定周波数での能率・感度にあり、欲しい箇所が凹んでるとそれより上下が出てても実効性が低いからだ。
勿論能率平均値の時点で全然足りなかったりしたら選外になるが、用途別所望周波数での能率・感度の実態も同等かそれ以上に実用上は影響するんすよ。

因みに○○Hz~○○kHz(-10dB)って、-9.99…dB迄範囲に含まれてるんだ。
電圧で-6dB・電力で-3dBで半減するんだから、-10dBなんて過激補填しなきゃほぼ聴こえないって事なのよ実際はね。

しかも平均値ってな上に大きいのも含まれるんで、最大と最小が更に倍近くなってる可能性があるんだ。
±3dBとか+1,-3dB等の表記なら大体額面通りに受け取って差し支えないが、-側のみ表記のには「軽度の例外の+」も含まれる事がある。

=つづく=

2023年12月 3日 (日)

音楽備忘録1570 サチュレーションの話し➎

ここ迄はサチュレーションの大まかな種類を綴ったが、それ以上に大切なのが「どの段階で掛けたか」だ。
現行シミュレートの弱点は主にココにあり、1箇所だけで賄おうとするのに無理があるんだわ。

サチュレーションに関して私感で良質と感じたのは’70年代以前ので、’80年代以降になるとサチュレーションの一部は段々無効化してたんだ。
明瞭度の点では良くなっても、それ以上に個性や雰囲気の喪失が大きくてねえ。

これは奏者・楽器等が不変だった人ので比較するとハッキリして、寧ろ当時は良かった楽器を変えたのかと勘違いされられた位だった。
これ等の差を逆に辿ると原因が氷解してくんだが、筆頭は真空管機器の使用・不使用だ。

新しい電子部品が登場しても業務用ハイエンドに実用する迄には、途方も無い時間と労力を要するもんでね。
従って安全第一で行くとなると、多少古びても実績の方が尊重される。

これには人的要因にも大いに関係して、充分習熟後にほぼ無意識に使い倒せるかも含まれてん。
加えて業務用ハイエンド機には性能的余裕もあったんで、10年落ち位はあんまり気にしなくても良かったんだ。

その典型例は大昔述FM東京の送信機が驚く程後年迄管球式だった等で、それ処か未だ「何時かは球NEUMANN」が憧れだったりしてるさね。
でもし幸運にもその機会に恵まれたなら前述の如く、球の他に古典Micダイアフラムでのサチュレーションも加わる。

流石にMixer卓等での球は今となってはかなり苦しいが、それでもサチュレーションの⅔は獲得されちまうんだ。
ほいで俺よりゃ趣味の新しい従兄等にとって最重要なのが、アナログ録音機での俗称テープコンプだ。

これの最大特徴は録音機前が何であろうと、当時は絶対に避けては通れなかった処だ。
球ヲタの俺からすりゃテレコだってBeatles等が常用してる球のと石のじゃ結構差があるんだが、磁気テープに依る「磁気ゆがみ」自体はほぼ同一だ。

これのⅡで特異点は最も歪みが目立たん処で、秀逸にレベルを扱えると聴感上の歪みがほぼ感知不可になるのよ。
その意味ではサチュレーション王と見做せ、パワー感より美しさを欲しがる人にはとっても残念な現況なのだ。

それからリリースにはLPレコード化する必要があったから、盤上での物理的サチュの他カッティングマシンでのも更に追加されていた。
この後にも過去には聴く段階で球Ampと古典スピーカでのが加わってたのは抜きにしても、直列接続Effector不使用時で都合最低6段のサチュレーションが掛ってた事になるんよ。

せやさかいもし再現を目指すんなら発想段階から、最低4〜
6段程度は微妙に異なる性質ので頭を潰してくべきなんだ。
それを多くてせいぜい3段で潰そうなんて虫の良い事言ってたら、そりゃあ似ても似つかないニュアンスになるのは当り前やんけ。

先ずは夫々のの性質差・段数とその順番位は想定しなきゃ、お話しになる訳ゃ無いんだよ。
因みに体験では録音機前に球やMic振動板由来のが入る入らんで、録音機の歪み発生率がかなり変わるで。

何しろアナログ録音機はパルスは大の苦手、現代レベルのをそのままブチ込みゃほぼ歪みは避けられんて。
将来万一½inch巾のオープンテープが手に入ったら、その実態をただちに公表してやんよ。(先ず無理だろうが…トホホ)😢

-つづく-

2023年11月26日 (日)

音楽備忘録1563 オーディオ等のスペック偏重に潜む罠⑩

過去に楽器の実際音については散発的には綴ってるが、今回は基音主体・倍音主体・音程感希薄とグループ分けして行こう。
それプラス真空管利用での歪みや、歪ませに依るf特の変容も。

1.基音主体楽器
心理的に安心感が強く刺激少な目なグループで、PAを使うような環境下では目立ち難いのが難点だ。

2.倍音主体楽器
ここが多数派ではあるが、低音程域だけこっちに入るのもある。
こちらは目立つのは良いが、代わりに音程感が若干喪失し易いので注意が要る。

3.音程希薄楽器
音程不要若しくはそれに近いのでその点は楽な反面、らしさを司ってる帯域等を発見し難い。

ほんで1については大抵は倍音を少し盛る事になるんだけど、やり過ぎると音程感やらしさが損われちゃうんだ。
原音と違っちゃっても良いなら少し気楽にはなるものの、そんなのレアケースなんで加工度を高く出来ない。

2は1,3に比べれば制約は緩くなるが、目立つ倍音の帯域が輻輳し易い。
のでトータルEQで攻めた盛りは出来ないのと、ウッカリしてると音程感が希薄になってる事がままあるんだ。

ほんでⅡでどれも単体なら今のPA水準ならどうって事ぁねえんだが、色んなのが混ざって来るから厄介になって来んの。
ってのも源音に1は倍音が2は基音が最低限しか入ってねえんで、それが減ったり相対的にそうなると正体不明になっちまうんよ。

で真空管の歪みに依る音色変質は当然倍音が増加するが、基音を殆ど損ねずに積み上がって行く特質がある。
だからこそ電気楽器等で積極活用されてるんだが、今やほぼ石(半導体)が100%のPAではその恩恵に浴せない。

ここで紛らわしい存在なのが石の楽器Ampで、それ等の印象が無用に強いとPAでも少し位歪んだって行けそうな気になっちまう。
がそれ等は言わばバーチャル球の性質をわざわざ付与した結果に過ぎんので、一部例外を除き破損防止も含め現代PAで目指すべきはゼロ歪みなのだ。

そもそも爆音で無歪みにするのは中々大変で、音響機器自体が無事でもハコやそこに置いてある物体が振動で雑音を発したりする。
この手の異音・雑音は本来は音響機器とは無関係だが、音の大きさ次第で増減すれば楽音に乗せたも同然だ。

して爆音下では異音と歪みの判別困難と来りゃマージンを大きく取るのが安全で、スピーカユニットの歪み率も公表されてると助かったんだけどなぁ。
最近は過去よりゃ歪まなくなったからか或は幾らも進歩してないからか、希少となってしまったのは残念だ。

幾ら低歪みになったユニットとて、原理的に極小音量時や耐入力に近付けば歪み率が悪化(増加)するのは避けられない。
それが唯ゆがむだけなら未だしも、大抵は倍音構成に変化を及ぼすからね。

のでPA用途の場合rms:Peakの比率が2倍表示になってるのなんかは、「普通の音」で鳴ってくれるのはPeakの⅓とか¼と推定しとくのが安全圏なのだ。(滅多にカタログや取説には明記されてない)
一方Mastering済みのを再生するなら、マトモなMasteringが施されてる物については大凡額面通りに扱って差し支えない。

=つづく=

2023年11月25日 (土)

音楽備忘録1562 サチュレーションの話し➌

ほんだばここから真のサチュレーションの色々を紹介してくとして、最初は磁気に関するのから。
音響ではテープやトランスにそれは避けられないが、実は電磁Pickupを使う電気楽器でも既に起きてるのだ。

典型例としてはFenderエレキBassの「PU歪み」が該当し、弦振動がPUの設計想定値より大き過ぎると発生する。(或は当時の技術レベルの限界から)
の見分け方はレベル的に全然余裕があるのに、Line収音してて何だか普段と違う一寸潰れた様な音がしたらそれだ。(押え損ね・弦振幅中に何かが誤って接触とかフレットをぶったのとは別のだで)

物理現象としてはCoilには余裕があっても磁界が飽和した状況で、それ故磁力の強いPUでは磁界歪みは起こし難い。
鍵盤でもエレピみたいな原理的に強弱が無限のでは頻繁に起きてて、しかし殆どのがそのお陰でボリウムやトーン等に全く触れずに多彩な表情が出せてるん。

尤も大昔の性能一杯いっぱいのAmpに繋がれてると、殆どはAmpでも歪んだりゆがんだりしちゃってるけどね。
けれど現代の単にCrunch設定したのより、幾らか↑の方がスッキリした音色になる事が多い。

電磁Pickupと比べたら程度は大部大人しいが、生楽器だって弦や皮の振幅限界に到達すると頭打ち現象は起きてんのよ。
人間の歌ですら喉等をOverdriveさせたのの内、程度の軽いのが相当するんざます。

単に音と云う事であれば歪まずゆがまずリニアなのが理想かも知れんが、音楽となると各部の飽和も利用価値が高いので無いよりあった方が良い場合が多いん。
但しサチュレーションとなると露骨に音色が大変容する様なのは除外で、OverdriveやDistortionは使える場面に限定の
付く処が違うんだ。

サチュレーションが欲しくなるのって天然環境を求めてる側面があるから、言うなれば聴感上の部分補正なんだ。
判断基準のネタが生耳聴き(必ずしも毎度は聴かないが過去印象の蓄積等)で、それと感じが違っちまってるのだけ直したいと。

なので電子回路やデジタル計算で可能性があるとしたら、俺言いハイパーインテリジェントコンプリミッタの方が近いんじゃないかな。
前回述業務用実機LEXICONの様に、激鬼ヲタ級のパラメータで計算・生成すればね。

尤も珍しく宅にあるPCM90性能的に全く不足は無いが、自分でプログラムを組むのが途方も無さ過ぎて困難だ。
残念乍ら通常はテープが録音媒体から外れた今、磁気サチュレーションが得られるのはほぼ一部のトランスだけとなった。

只魔軽度活用としてはコンデンサタイプのMicが考えられ、新世代ダイナミックタイプよりアタックのリニアリティの平均値は劣ったままの様なのだ。
これもあってか躍動感最優先には今一だが、普通聴取者耳が音源(楽器)にOn Mic程は近接しないのが考慮点になる。

-つづく-

2023年11月21日 (火)

音楽備忘録1558 サチュレーションの話し➋

ってな事ってサチュレーションは所謂歪みじゃなく「ゆがみ」なのだが、デジタル化以降に音楽がこの要素を要求し出した理由を先ずはしかっり説明しとこう。
それはデジタル録音になったら音量の上下等が、不自然に大袈裟に拡大した箇所があったからだ。

無響室等特異な状況以外の楽器を生耳で聴いたのが今昔問わず基準になる訳だが、楽器と耳との間に一定以上の空気が介在すると原音より結構マイルド化されてるの。
空気って弾力性に富んでるから、突然のパルスにはリニアに追従出来ねんだ。

なので如何に硬い音色の楽器を作れて奏でようと、それより幾分かマイルドになった音しか普通は聴けないんよ。
それが超On Mic+デジタル録音にすると空気緩衝の部分が不足するので、多少新鮮味はあるかも知れんが非現実的なキツい音になっちゃうんだ。

以前にも散々吠えした様にそなんじゃ汎用Popsには硬過ぎて困るんで、空気以外の手段で補填したくなったのよ。
極一部では空気緩衝を積極的に有効活用してるのもあるが、四畳半Folkみたいな感じにしたいとEchoが沢山掛っちゃ不味い。

その他にも雑音混入や明瞭度劣化等のリスクが小さく無いので、それを嫌うと空気は少々扱い辛いのだ。
さてこれも過去述だがかつては輪郭だけを留めるのも困難な有様で、今とは真逆の苦しみが長く続いてたんすよ。

Micでボケる→球でボケる→テープで…と、何処でも彼処でも良く言やマイルドにその実どんどん呆けて行く。
原音に対してあまりにボケ度が過ぎるから、↑のOn Micなんかも開発して利用したんすわ。

それ等が皆デジタルになって漸くボケ病から開放とぬか喜びしてたっけ、今度は不自然な硬過ぎ君になっちまったと。
それを身近で確実な半導体電子回路やアプリで何とかしようとするのは半ば当然の流れも、根本原理から考えりゃ無理筋過ぎるんすよ。

球のみが一応電子増幅素子なだけで、他のは磁気や物理的ゆがみでマイルド化してたからさあ。
磁気テープやMic・スピーカの磁気回路は分かり易いが、その他振動板のゆがみやトランスの磁気歪みってのもね。

しかもそれ等は皆当時としては最低歪み率を狙って、不可能な分を仕方無く目立たない様にした代物で御座居。
つまり真逆の方向を目指して出た結果なのと、電気以外を利用しようとしない時点で原理段階からもうちゃんと近付くのは困難なんですわ。

それでも古典電子部品や磁気の非直線性だけならある程度はシミュレート可能だが、実機LEXICONの残響パラメタ―以上に激鬼拘りして膨大にしなきゃ全然近寄れさえしないんどす。
ってのは球だけトランスだけならまあまあ単純な反応で済むが、それ等が実際には色々と複雑に相互に影響しあってのものだったからねえ。

のでもしそれを実現しようとしたら今だとデジ/アナ・リアル/バーチャル問わず、廉価版でも¥50万は下らんだろうし開発費もいったい幾らで済むか分からんのだ。
なんて少々馬鹿げてるのをその内誰かがやるかも知れんが、現況では明らかに商業ベースに乗せるのは無理な相談だ。

しかも幾ら金掛っても構わないなら、古のビンテージ機を持って来る方がそのものズバリでもあるから手っ取り早い。
それ故既存のシミュレーションでは到底算盤が合わず、騙されてくれる人向けにバッタもんを売ってるのだ。

とは言え僅かでも変化してくくれば良いって人だって居なくは無いんで、ダークグレーであっても決して真っ黒じゃ無いのよ。
結局サチュレーションはユーザー過半数位が正しく理解するのが先決で、何処かで過去機の実音を試聴するのから始めてみればぁなのだ。

-つづく-

2023年11月20日 (月)

音楽備忘録1557 音楽に必要な高音質➓

図々しく開き直って又々前回補遺のホイざますが、おっと危ねえBeatlesのCome Togetherを試聴に使えるのに条件があったの書き漏らしぃ。
杜撰大王の狙いを最大限に発揮させるには、
 ①2009年のRemaster版はNG(原版と重要箇所でだけバランスがかなり異なる)
 ②CDより可能ならオリジナル英盤のレコードで(弱点を予め見越して逆算調整されている)
 ③よりハードルが高くなるが全球のAmp
でお願いしたいんだ。

理由は至ってシンプルで原体験時がそうだったのと、未だスピーカを除きそれを多方面で上回ったのにお目に掛って無いからだ。
して別観点では制作側が当時は球機器が主体だったのもあるんで、当事者の想定に最も近そうだからだ。

ので近年例えばサブ用の等では大部レアなCD
だが、Ernie Isleyは1990年のソロアルバムHigh Wireの利用頻度が高い。
メイン用のでは↑もあって苦節云十年の末上述条件をほぼ満たしてて、ってかAbbey Roadは未だにCDを持って無いだけってのもあるが…。💧

してⅡでErnieのは私的好みには少し派手でギラついてるけど、レンジがデジタルのをどうやら5Bassも入っててカバーしてるのとそれで刺激が強過ぎたりしないんで一応OKなんだ。
ほんでサンプルは基本お好み次第の立場次第ではあるんだけど、なるべく加工度の低いのがお勧めなんだよ。

っつうのは楽器を演る人なら、実体験を利用して嘘発見器!?代わりにし易いからだ。
実際より地味になっても派手になっても、その片方だけが未来永劫好きだったら構わんがね。

途中で好みが反対に変わるor広がったりした時、再生装置に偏った個性があったら合わなくなっちゃうでしょ。
それと随時述の如く音色がオーディオに過依存状態になってると、実際は弱っちいヤツを逞しいとか勘違いしちゃったりするじゃん。

ホントは硬い柔らかい案件に最大の注意を払って欲しいものの、齢や歴が浅い人には近年俺言い「真柔らかい体験機会」がとっても稀になっちゃってからねえ。
出来れば一生に一度でも良いから昔(基本設計が1995年位以前)のTANNOYとか聴けたらと思うが、地理的条件等でとても困難な場合もあるからなぁ。

ほいで聴いてみてこんなの嫌いってなっても全然構わなくて、けれどそんなフニャフニャでもそれなりに聴けちゃうんだだけ知って貰えたら取敢えずは充分。
硬いとかギラ付く刺激を我慢しないと明瞭度が得られないなんて嘘なのを、他の何かでも良いから知らないと何れは絶対損しまっせ。

友達と撮った画像の自分の顔を白くしたら地で色白の友達がのっぺらぼうになった、みたいな事は音でも当然起きてるんだよ。
そう云う犠牲の上に成り立つ補正は幼稚なもんで、例えばカラーの3要素の赤を少し盛ったら黒さが目立たなくなったみたいなさ。

完全無犠牲では無いにしてもそうでもしないと、今度はのっぺらぼうの修正とキリが無くなるんですわ。
この面からは最も派手なのと地味なのの両方が、なるべく聴き取れるのが良いんじゃないかな。

=終=

2023年11月18日 (土)

音楽備忘録1555 オーディオ等のスペック偏重に潜む罠⑧

PAのだけ妙に深掘りになってスマソだが、体験的にはそれが他のより厳しいし実情把握には向いてんだ。
っつう事で遠慮無く続けちまうが、マトモに計算するならdBってのをマスターしなきゃなりまへん。

これ数学的には対数計算になってて、俺みたいな理系ですら少々面倒臭いっす。
しかも電圧と電力で↑に掛ける数が違ってるんで、時々間違えておっとっとなんてのもあるでよお。😵

そっちの数式や計算方法は長大になるんで敢えて他記事やwiki頼みとして、こっちでは具体的マージンの方を行かせて頂きやす。
さて前回Peakがrmsの2倍じゃ足りないケースが多々と書いたのは、EQ加工等に依って聴感より盛大にアタック成分が増し盛りされてたりするからなんだ。

最近はデジタルMixer卓も増えたから、その段階でのPeak値はインジケータ等の信用度が上がってるがね。
けど測定器では無いんで、検出時間の設定が完璧では無いんざんす。

あまりにシビアにしちまうと実聴感と掛離れ過ぎたりするんで、過去機等との整合性も含めて多数派はわざと少し鈍感にしてあるん。
珍妙比喩ればドイツ車じゃなくアメ車って感覚で、私過去体験のドイツのってホントに僅かでも無理させると忽ち壊れる仕様なんだわ。

こないだのどっかの不正等を除くとカタログに100馬力って書いてあったらそれは必ず出るんだが、ピンチ且つ調子の良い日には103馬力出るなんてのが全く無い。
でこう云うのがPAの方では多少親切!?にも、rmsとPeakの公称値から少しは想像可能なんだ。

それが例えば100Wrms/300WPeakなんてので、人情的にゃPeakでそれだけ入れられるならrmsをもちっと頑張っとくれよなんてつい思っちゃうんだけどさ。
実運用上は↑もありゃ目でヤバいと思って手で下げる僅かなタイムラグの間に、お逝きになんて事があるのよ。

何しろ電気ってなかなり高速なんで、アッと思ってパッと下げても大抵は間に合わねんだ。
もう何万回冷や汗をかいたり覚悟させられた事か…、って皆が皆そうでは無いだろうけど。

ほんでクド吠えになるがスピーカの耐入力が、Amp最大出力と近似では何時でも逝っちゃう覚悟が要るんですわ。
Ampだって過大入力はヤバいんだが、機種次第でかなり差はあるものの少しの内は「歪むだけ」。

のが楽器用以外のスピーカの方は無歪み想定しかしてないんで、許容入力以下でもツィータ等のユニットが飛んじゃう場合があるんすよ。
dB計算等レスで安全圏となるとrmsで1.5倍、Peakでは3~4倍で程度が必要じゃないかな。

一例として昔のPeaveyの楽器・PA兼用ウーハ1502ってのは、公称値350Wrms/700WPeakのを100Wクラスのベーアンにも平気で搭載されてた。
一見オーバースペック過ぎる気もしたが過去に宅で実際真似して、Guitarでずっと歪ませてたらボイスコイルボビンとウーハコーンの泣き別れって有り難くない実績が…。😢

選択理由は価格も然る事乍ら当時のとしてローエンドと共存の高能率だったんだが、平均より性能の良いのはF1レーシングカーみたいな性格になり易い様だ。
晴れのレースでならかなり無理が効くも、大雨になったら下手すりゃ軽トラより滑って走らんみたいな。

=つづく=

2023年11月17日 (金)

音楽備忘録1554 サチュレーションの話し➊

サチュレーションって単語、元の意味は科学分野に用いられる時は飽和だそうだ。
昨今はコロナのせいで動脈血酸素飽和度として一部一般には認知されてる様だが、親戚に医療関係者が多目でも杜撰大王は音響のしか語らん。💦

何だか妙に威勢の良い割切りが怪しげだが、医学の方のより音響のの方がもっと複雑怪奇なんすよ。
ってのも出発点に捉え方の相違ってのがあって、工学的見地では飽和・音的見地では歪みに先ず別れてるんだ。

その理由は歪みが目的では無い回路っつうのがそこそこあるからで、意図的に飽和領域に持ってく事で出力をほぼ一定に保てたりするからなんだ。
デジタルの論理回路では常套手段で、デジタルでは電圧の有無が基本動作原理になってるからだ。

と語っとき乍らここではしれっと詳説は割愛しちまうが、1つだけ言えるのは壊れん限り殆ど歪み率は不問となってる処だ。
例えば10V食わして5V出て来るのが6V食わしても同じ5Vが出るなら、デジタル回路君的には完全同一視するって寸法だ。

処が音の方となると↑ではかなり歪み率が異なって、音色が別物になるからそうは行かない。
しかも最も厄介なのが「同一歪み率でも音色が全然違う」場合が山程あって、その典型は聴感上の歪み認知だ。

要するに電気的には結構逝っちゃってるのに殆ど歪んで無い様に聴こえるのと、時々僅かにしか歪んで無いのに如何にもずっと歪んでらぁと聴こえたりすんのがあるのよ。
そこへ持って来て様々なアナログの撤退のお陰で、電気的に逝ってて音的に逝って無いのは今や真空管回路の一部でしか殆ど得られなくなってもうた。

ここで諸悪の根源となるのがグレー商売で今時球持ってる知ってる奴なんて稀そうだからって、唯歪ませてるだけなのに「これサチュレーション」でディストーションとかとはちゃいますって大嘘つく輩が…。
確かに電気物理的にはどっちも飽和なんで、それを傘に今ん処は言い訳にしてる様だがね。

等と又々攻撃的に吠えるのは、皆が求めてるサチュレーションとは真逆のもんだからなんすよ。
何時頃から誰がサチュレーションと呼び出したかオラ知らねえが、明らかにOverdriveとかDistortionとかとは本来は全く別物だからなんだ。

大昔一部の録音現場でMixer卓のVUメータが、振り切れる位の方が音が好ましくなる場合があるなんて常識がありましてな。
現在残存してるのだとエレキGuitarのリッチクリーン等がそうで、微に入り細に入り聴き込めば僅かな歪みを感知出来るんだけどさ。

アンサンブル内で小さ目に鳴ってると歪みが分からなくなって、それより「歪んで無い部分(と聴こえる)の音色」が格段に芳醇になるからなんだ。
近年音響でのサチュレーションが詐称となるのは、①非アナログなのと②意図的に歪ませてるのがアウトなんだよ。

真空管回路やテープレコーダ等で実際に起きてたのは、アナログ非線形な上気紛れ。
しかも最も肝要なのが極力歪まない様にしててしかしリニアにし切れず、少しゆがんでしまったと云う代物だったからなんだ。

日本語だとゆがみも「歪み」と同じ字になるから勘違いしたか知らんが、ある程度迄のゆがみだと聴感上では全くひずんでるとは聴こえない。
エレキGuitar・Bass位迄やれば前述の如く少しは分かるが、音響や録音機器で起きてたのはそこ迄行ってねえんだよ。

-つづく-

2023年11月14日 (火)

音楽備忘録1551 オーディオ等のスペック偏重に潜む罠⑦

PAスピーカのスペックの続きざますが、爆音系ではマージンを取り難い・取れない場合が多いので汎用とは打って変わって要注意なのだ。
かつてはオーディオや楽器Ampでも余裕が無かったり、組合せがご勝手にだったから常に最低限だけは誰だって気を付けてたんだけどさ。

加えてPAの方では高価希少な高性能リミッタを使うのなんて贅沢の極みだったから、火薬並に慎重に扱わざるを得なかったのよ。
更にはAmp出力の「内容」が是又曲者で、僅かな歪みが聴感上許せても機器の方は1mmたりとも許さずなんてケースもあってな。

それが近年実感し辛いのは、本当は既にアウトでも数多の保護回路なんかが人知れず働いてくれてるからだ。
自動車のABS(アンチロック・ブレーキ・システム)等がその嚆矢で、本来は作動させたらいけないものなんだで。

エアバッグと違って何度でも使えるからついそっちに気を取られるけど、車がもう限界超えましたと訴えてる訳だからね。
あっでも僅かでもヤバそうな雰囲気がしたら、無遠慮にドンっと踏み付けなきゃ駄目よ。

自転車でも徒歩でも同じで、唯でさえ感知出来なくて突っ込む事だってあるんだから。
無事な際は大袈裟になって悪目立ちするかもだが、痛くない恥ならどんどんかく位で良いのさ。

って位古のPAには扱い辛い面があって、だからこそなるべくスペックから読み取れる弱点は事前に抑えとく必要があったんだ。
ここで厄介なのが但し書きレスor不足のヤツで、単に100Wと言ったって条件はかなり色々あるんすわ。

それが所謂rmsとかPeakとかで、和意訳すりゃ前者は平均・実効・連続等で後者は最大出力等だ。
この時点でもう一々「
等」等と付け足してるのは、それすらメーカ独自基準のもあったりするからなんだ。

尤も近似表記のが倍以上違う事は稀なんで、歪みを除くと受け側が出すのの倍以上あれば先ず安全だ。
処で「PAで歪み」だなんて太古の昔のボロいのじゃあるまいし、普通はわざわざ楽器みたいに歪ませようとは全く思って無いよね。

処が余程出力に余裕が無いと、実運用では結構知らん間に歪ませちゃってんだ。
それも昔みたいにまあまあ素の音だったら未だしも、Line収音したり大胆EQとか今は大抵色々加工してるからねえ。

思いの外Peak成分が増えてたりするんで、昔より保護回路等が充実したっても相殺する位かも知れねんだ。
実際Peakより連続の方が過大入力には強いが、ぼーっと安心迄はして居られんのどす。

楽器用やPAのでも今昔不問で一流のは、オーディオとは違ってPeak耐入力がrmsの倍より大きく取ってあるのはそんな事情からなんざます。
rmsで十二分に余裕があればそんなに心配しなくてもいいけど、キッチリ倍と公表されてるのだったら公称値100Wrmsとあっても実用上は割り引いて算定しといた方が安全ね。

=つづく=

2023年11月12日 (日)

音楽備忘録1549 音楽に必要な高音質➑

又もや毒愚痴がエキサイト気味だが、世の中モノに依っちゃ体感しないと分からないのもあるんだよ。
適切な柔らかさや真空管等はその典型の1つで、只厄介なのは一定以上に典型的なのに触れられないと分かり難い処だ。

加えてその人にとって決定的な印象だったら、たった1度で遥かに昔のでも平気なんだけどさ。
そこ迄に至らないのだと、逐次そうじゃないのと比較可能な状況にないと相違が希薄になるんよ。

残念も仕方無い事にこれ等要素には、スペック等として表記する定量的な値が未存在だからね。
僅かにスピーカのダンピングファクタってのがかすってる程度で、けれど例えば楽曲内のBassの聴き取り度だけで比較試聴したらそれも本来の意味が埋没しちまう。

更に厄介Ⅱなのが、元々の録り音が悪かったら駄目だったりする処だ。
流行や嗜好もあるから一概には断言し辛いが、今劣化本邦最近のはどうもどれもBassの音がチープ寄りでいけねえ。

その多くは基本Fender系サウンドで、機種的にはJazz Bassみたいだね。
どんなジャンルに使っても全然OKではあるんだが、元の設計設定がプレべならCountry・ジャズベはJazzに最適化された物なんだ。

なのでそれ等ジャンルの王道トーンからかけ離れたサウンドにする時ゃ、かなり用心しないと致命的欠陥の残る物になり易いんですよ。
具体的には決定的な低音バランス不足がそれに値し、なしてったら他のよりか断然「Ampで低音を盛る設計」だからなんだ。

でFenderでも今はAmpだけ量販モデルでは一般的な性質となっちまったんで、オリジナルを継承してるモデルじゃないと↑を体感し辛くなっとるのよ。
恐らく俺等世代がこれを大体知ってる最後の世代で、その頃だったら知りたく無くても何処かで思い知らされる位だったんだけどさ。

加えてもう1つの厄介はアクティブタイプのが増えた事で、そこで事前盛りしてあるのに気付かないのもあるのかねえ。
アクティブ全部がそうなってりゃ知らなくても良いが、機種や主用途次第で盛って無いのもあんねん。

ので全数比較すりゃ流石に気付けるだろうが、まさかそうなってたとは知らなかったらこんなもんなのかなで過ぎちゃうやろ。
今時は多様化の副作用で他でもこんなのが五万とあるから、意識的に歴史を学ばないときっと厳しいよ。

若い人には可哀想だけどデジタル化以降長く大きな変革が見られないので、俺等世代みたいに受け身なだけでもある程度は知れて来るって期待はしない方が良い。
音源の方でこんな調子なんでどの世代にも同じ様に認められてるのを基準にしないと、再生装置の可否判断だって相当結果に相違が出て来ちゃうんだわ。

そうなると音源の最有力候補は最も有名なBeatles辺りが相応しいが、完全に自分の生まれる前の作品だと独自の苦労をしなきゃなんないよね。
しかも今となっては汎用サンプルには一寸狭帯域な気もするし、本人達の残党以外はそんな録音を続けるのも困難だし。

けれど確実性で現状これに勝るものは皆無に等しいんで、他に新しいのを用意するとしても外すのは危険よ。
スマンが録音デジタル化以降のでは、少なくともムードの面では雛形に値するのが全く見つからん。(良く言えば必死に1つのムードをこしらえなくてもそこそこ行ける音環境になった…が)

=つづく=

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