録音

2024年12月 8日 (日)

音楽備忘録1940 過小評価で忘れられつつある人々Ⅱ⑤

過去のアーティストのパフォーマンス程残された記録に実力が現れ難い件、具体例を幾つか掲げてもうちょい掘ってみよう。
前回はその原因の内無茶苦茶なスケジュールとコンディションだけ提示したが、他にも数多の原因のお陰で必ずしもベストパフォーマンスが記録に残せてないケースがあったんだ。

最初に現在迄で最も上手かったのは恐らくBeatlesと敢えて半ば断言しとくが、飽く迄「総合得点」観点で見た場合だ。
只それですら証拠が残ってて判明してる分限定で、内容が素晴らしくてもあまりウケ無かったのなんかには録音機会が少くて確証が持てないのが幾らでもおま。

Recordingにしても予算や人材供給の都合次第で、一体何%本人or本人達のニーズが達成されてたか分かりゃしない。
それ故人気やウケが今一だった人は、例えば本人の作品より誰か有名人のLiveへ飛び入りしたのなんかの方が信憑性があったりもするんじゃないかな。

今だって録音技師等のレベル差は残ってるが、取敢えずデジタルならクリッピングにさえ気を付けとけば事後処理でどうにでもなる。
因みにクリッピングとは過大入力で「音波波形の頂点が頭打ち」する事で、アナログだって歪ませないに越した事は無いがそれだと雑音が目立ったりダイナミックレンジが足りなかったり…。

戻ってそれより機材差が顕著で超高額なのを筆頭に、可搬性・操作に必要な人員等数多の制約があったんだ。
のに対し今だと最小はノートPCとUSBインターフェイスさえありゃ、開幕寸前にポチっとしときゃ技師レスでさえ録れちまう。

加えてLiveやSession時のデフォルト環境もあり、今みたいに全部にMicを構えといてPAを常用してなんか居なかったからねえ。
ので普段よりMicが林立してたり様子の違うのが、パフォーマンス全発揮を阻害してる可能性もあった。

そんな中一般認識ではZEPよりPurpleの方が整った演奏の記録が残ってるが、ブートレッグ等へも耳を向けると少なくとも腕前に大差は無かったのが知れるだろう。
又Hard系の中での最大のウリに両者は少し違いがあって、前者は観客の反応(盛上がり)が後者はインプロビセーションの秀逸さを優先してた様だ。

のでⅡでLive盤発売に際し、前者は演者のパフォーマンスがベストでは無かった可能性が濃厚だ。
のに対しⅡで後者も何時もアドリブが完遂してた訳じゃ無いのに、不出来なのは公式盤として決して出さなかったかんね。

又演奏のテクレベルの差は象徴的なのだと誰にも分かり易いが、それに惑わされて過去の者・物を低く見るのは浅はかだ。
鳴らすのに一苦労・臨んだ表現にするのに一苦労・所望音色を得るのがとってもセンシティブ…等、あらゆる面で今とは段違いの環境下でのパフォーマンスだったんだよ。

現代EffectorでのFuzzサウンドって初心者でも難なく出せるけど、初期のヤツはゲインが不充分だったり足りたと思ったら今度は途端にグジャグジャに潰れちまったり…。
杜撰大王は貧もあってジミヘンの使ってたの自体は未体験だが、電気的には同じ回路の自作模造品でこっ酷い目に遭っただよ。

-続く-

2024年12月 7日 (土)

音楽備忘録1939 楽器音色一般のイメージと実際の違い➍

続いてはDrumsetの内先ずはCymbalについてだが、私的には録るのに悪戦苦闘がずっと継続している。
当初はマイキングにだって問題多々だったが、Micも含め何より貧機材との闘いだった。

厳密には高域だけ拾えりゃ良いってもんじゃないが、そこが必要なだけ拾えん事にゃ話が始まんない。
だがアナログテープ時代は何しろ高域が苦手で、録ると削れてそれを再生すると又削れてだから到底無補償なんかじゃやってけなかった。

そこから編み出されたのが過去述目立つ倍音の死守で、実際には守り切れなんかしないからEQで事前盛りをしてやる事となる。
んが上記2点が解消してもまだ問題があって、それが生耳聴きで最適化された音色や指向特性ざんす。

’70~’80年代の一時期にレコーディング専用と銘打ったモデルもあったが、当時の主流録音システムに合わせた物だから今じゃ大してそうなってくんない。
結局現時点迄で生耳聴きの音色を犠牲にしたのなんか出ておらず、PAを通したり録音を経ると違う音になってまうん。

まあ普段一般庶民にとっちゃそんなに詳しく知れる必要も無いのが救いではあるが、生演奏の盆踊り等の祭・チンドン屋等が生活から遠のいたのは残念だ。
ラッパにしたってそうなんだけどチャルメラを色んなシチュエーションでリアル体験してるかどうかって、基本楽器音色情報案件としてはかなり深刻化してんすよ。

その1は爆音に不慣れだと音色印象は音量次第で左右されるで、同じラッパでも豆腐屋のと屋台ラーメンのじゃだいぶ印象が違った。
昭和生活だと夕刻は干してた洗濯物や布団の取り込みをしてたから、家の開口部の何処かが開いてる場合が多かった。

のに対し夜間帯がメインのチャルメラの方は気密性が低かったにせよ、雨戸迄びっちり閉じられてたかんね。
それに対応させたか私感に過ぎんが、眼前だとチャルメラの方が倍位の音量を出してた覚えがあるねん。

尤も背景雑音が夜間の方が圧倒的に少ないんで定かじゃないが、これ等程度の最大音量なら聴く距離でそんなに音色印象は変わらない。
チンドン屋にしても同様だが、やぐらの上のデカい和太鼓となると俄然話しは違って来る。

適度に離れれば一部を除き全体の音色が把握可能だが、眼前でドォンと演られるとその音圧が一般人耳では飽和して今一釈然としなくなる。
但しローエンドに関しては逆で、物凄い振動としてその圧を嫌でも体感させられる。

でCymbalへ戻るとストリート用小径の以外常人には爆音のばかりなので、一定以上の距離が取れないと音色の素性が理解し辛い。
処が離れれば周囲雑音や残響の影響が大抵加わるから、昔じゃなくても元々正確に把握する機会は少なかったん。

それプラス生楽器は奏者の腕と楽器の質でも大きく左右されるんで、これ等が劣ると本来の音色が得られてないケースがあるん。
そこへデジタル音源なんかが普及してそっちの方が良さげに聴こえりゃ、そちらを基準としてしまうん。

更にはそれ等音源でさえウケ狙いで耳慣れた(完パケに入ってる加工済みの音)方を主に登用するもんだから、差し詰め無理が通れば道理が引っ込む状態に陥ってんすよ。
そうこうする内今度はリアルCymbal自体の音色味付けが変な方向へ行き出して、何が何だか訳が分からなくなってるのが現況なんじゃないかな。

=つづく=

2024年12月 6日 (金)

音楽備忘録1938 エレキBassのCreamyな音色の魅力⓱

この項ラストは、「エレキBassは誰にでも少しはCreamyさが要求される」をお送りしよう。
当節明瞭度と高音質は必須条件ではあるが、それだけに気を取られるとBassってロクな結果にならないんすよ。

さて現行音響システムでの各楽器の高音質化は、大凡1990年代には完了している。
但し↑はオーディオ的聴点からのであって、実際のアンサンブルでは却ってマイナスになったのも少なくなかった。

過去述重複も含めそれは単体音とアンサンブル内での相違に、配慮が足りなかったか或は単体音に過忖度したからざんす。
それをやってまあまあ成功した少数例もあるにはあって、一部FusionやSmooth Jazz等の作品だ。

その基本条件は既存の音色に全く拘らず、全パート音響聴点で最高音質を目指したもの。
を暴論気味端的表現をすれば変にケバくなろうと存在感が薄まろうと、一般聴者の典型的イメージから掛離れた音色になろうとお構いなしに徹底した感じ。

それであまりアンサンブルに違和感の出ないのが↑で、尚且つ肉声不在のインスト物であればどうにかって状況だった。
近年だとボカロ作品でオールバーチャル(つまり全打込み
)等が近似で、言うなれば全て2次元で統一されてるから「そう云うもん」として受容れられるっつう按配だ。

が生歌(肉声)が入るだけでもうそのバランスは崩壊が始まり、アンサンブルの何処かでオーソドックスな音色ニーズがあるとどうにも分離感が酷くなっちまう。
今では慣れや世相もあって違和感を覚える者が減った様だが、デジタルサンプリングの普及期にはそれ故わざとHi-Fiより存在感やアンサンブル内での馴染み良さを優先したのもあったでよお。

流石に当時よりPA音質が向上したから今じゃそれ等はニッチ用途にしか使えなくなったが、「音色の整合性」はほぼ永遠の課題なのだ。
手前味噌では過去にエレキGuitarのクリーンカッティングだけLine録りとか演ったが、極論するとアンサンブル内で別にエレキGuitarに聴こえなくても構わない等特定条件に恵まれてた場合に限る。

他の殆どの過去作でも斬新さだけが欲しい等で特定パート限定での利用に留まってて、それがBassの場合は最も希少例になる事が多いのよ。
以前述の如くエレキBassってContrabass+Celloの他兼務な立場のが多く、音域等の都合で両方の音色イメージを常に含ませとかんとならんのよ。

生ピだったら音色不変で途中での音楽内容的用途変更は幾らでもアリだけど、しかし実際には意図的に低音域だけ強目に弾く等で対処してるケースも少なくない。
が1ステージ通してずっとなんて事ぁ無く多くて数曲だけとか、主に録音時にMic位置をズラすのと併せて実施する等やはりこの手の裏技はたまにしか使えねんだ。

プチ余談としてあのHöfnerのバイオリンベースにはSolo/Rhythmなんてヘンテコな音色切替SWが付いてるが、少なくとも杜撰君には実用的じゃなかったよ。
又別の手にPUを切替えるなんてのもあるが、同じエレキでもGuitarとアンサンブル内での用途が違うんでそんなには使えない。

大体「伴奏の途中の任意の箇所」でニーズが生じるし、うわものと違い切替時に音が途切れたりするのも不味い。
これ等を総合するとより汎用性の高い音色設定が望まれ、特に音色都合でのフレーズの自由度も考慮するとね。

=終わり=

2024年12月 3日 (火)

音楽備忘録1935 楽器音色一般のイメージと実際の違い➌

Piano2回目は前回後部の続き、構造的観点も含めて考察してみよう。
物理的構造に対し意外な音色を醸し出すケースが無い訳じゃないが、かと言って生ピの場合はアコギと明確な差別化は必須だ。

宅に来たGrandをまじまじ眺めて思ったのが、板厚・サイズこそかなり違うが想像以上にアコギと近似だった事だ。
無論発音方法は全然異なるが、響板(弦の下部)なんか材質や木目やその向き色合い迄クリソツやんけ。
にも拘らずアコギでもClassicに使えるのは、金属弦の所謂Folkタイプじゃなくガットタイプじゃないとマッチしない。

のが生ピは前者の方に圧倒的に近く、それでいてClassicに最適と逆転現象みたいになってる。
発音方法の相違が最大要因には違いないが、音色がアコギより丸みがありながら倍音の帯域巾・量共に圧倒してるのは直接は関係ない。

っつうのもアコギでブリッジスレスレをピック弾きすりゃ出るには出るが、それでもまだ生ピに全然敵わないじゃないすか。
だが普段この事実に気付き難いのは、生ピは録るとこれを拾い切れてないからなんじゃないかな。

さてこの無尽蔵な倍音は普段左程目立ちはしてないが、DrumやCymbalと共にそのお陰でほぼジャンルレスになってると思っている。
アンサンブルの相手が変われば「被る帯域」も変化してくが、上記2種は殆どの組合せで「被ってない帯域の倍音」があると見た。

それがあるとどんな組合せになっても入ってるか入ってないかが明確に分かり、その貢献度は必ずしも高くは無いがアンサンブル全体の音色を左右はする。
楽器の出す周波数帯域って広狭どちらにも夫々良さがあって、広い方はコンビの相手を選ばず狭い方は散漫にならず相手の邪魔になり難い。

上記後者から敢えて帯域制限を掛けたり特定帯域を強調するのが始まったが、本来こう云うのは例外的使用法なんすよ。
それの行き過ぎとデジピの席捲での副作用が、生よりデジピの方が「ピアノの音色」現象を起こしてんじゃないかな。

加えてClassic系ですら悪流行から使えればPA常用なんてする様になったから、聴覚的には生の音を直に一般庶民が聴ける機会が激減しちっただよ。
尤も私感ではCongaよりゃ遥かにマシで、自身で触れてみっと記憶より遥かに深く重い低域成分を実際は豊富に醸し出してんだ。

音色にだって演出を加えて悪いって事ぁねえが、それが意味を為してたのは原典があってこそ。
同調圧力国家日本では心理的に「赤信号、皆で渡れば…」は分かるけど、目立つ何処かに本来の音色を残しとかなきゃわざわざ演出したってそれが無効化するねん。

杜撰大王だってBrightな音色への魅力は今でもあるけど、山の様に沢山聴いて来て記憶に残ってるのはそんなのじゃなかったよ。
それがBeatlesのに入ってるPianoで、加工度の高いのは記憶にはあっても生ピの引出しには入ってない。

何処へ行ったかと探したら「唯のキーボード」で今ではほぼ懐かしさだけのSolina(ストリングアンサンブル)とか、黎明期のチープな電子Organとかに紛れ込んでやんの。
強いて擁護すりゃピアノ系(減衰音)の音色が欲しかっただけで、全く生ピ固有の長所が要らん時はそれでも良いかも知れんがね。

=つづく=

2024年11月30日 (土)

音楽備忘録1932 過小評価で忘れられつつある人々Ⅱ③

今回は例のBaker Gurvitz Armyで、語り残したそこでのGinger Bakerについてざんす。
このBandもしGinger Bakerが居なかったらもっと埋もれてた可能性は拭えないが、純粋に好みに合致する人にはもっとウケてたかも知れない。

残りの2人兄Paul弟AdrianのGurvitzの内、ヒット曲にしても後の弟の成功と比べたら売れたのは無い。
けれど音楽的冒険は中々にして意外にPopな歌曲が多かったり、全員腕達者でメンバーのバランスは絶妙だったりする。

まあ一般的にはそれより「Rockの」Ginger Baker、が堪能出来る割と数少ないのだったりの方が興味の対象になるだろうけど。
のでこっちの具体面に言及すると、先ず言えるのは今劣化本邦での一般想像よりかなりタイトで正確な演奏をしてる処だ。

彼自身はアフターCreamで多分そんなに腕前を上げたりゃしてないんだろうが、あっちは概述の通りJazz Bandだそうだからね。
Claptonが何時も通りで全員ラウドに演ったからHard Rockの先祖的扱いをされてて、そのお陰でRockへJazzのまんまの人が入ってる様に勘違いされがちらしいね。

って杜撰君自身もこの件では長らく怪しい口だったが、欧米での評価からしたら少し変だとは前々から察してたん。
特に大損したのがCreamの録音音質で、あんなじゃ実際のパワー感がちゃんとは伝わる訳が無いよ。

リマスター等されたのではどうなってるか知らないけど、元のではたったのアルバム1枚以外はRock系の普通の音じゃなかったからさぁ。
又フレージングにしても曲やコンセプトに合わなかったから古臭いのばっかだっただけで、こっちを聴けば全然時代に遅れてなんかなかったのが良く分かる。

ってかご自慢のアフリカンテイストはこっちでも健在だがその比率がかなり違ってて、普通にやたら上手い上にあの独自性を兼ね備えてたのが良く分かる。
のからすると彼の欧米評にはどうやらアフターCreamのも入ってる感じで、その後のも耳にしてたかどうかで日本とは評が割れた気がするねえ。

それ以上に興味深かったのが曲調で、これを聴く以前はてっきりJack Bruceの趣味だと思ってた幾つかがGingerか共通のだった事。
のがBGAでは作曲者としてのクレジットが明記されてる処からも伺え、売れるかどうかは別として世間が思ってるより「Drumを叩くのが上手いだけの人」じゃ無かったのもね。

演奏だけ上手な人が悪い訳じゃ無いけど、作れる位曲に明るくないと本当の名演をするのは難しいんすよ。
この辺大編成が常態のと違って、小編成ポピュラー系アンサンブルでは独立した編曲者は不在の方が多いからね。

中にはそんな能力を隠すか表に出す機会の無いのが居るだけで、名演は音楽力に含まれるもんだからすよ。
野球の打者で守備時は捕手や投手の方が読みでは有利なのと同様で、更にポピュラー音楽では超絶技巧より適切なフレージングの比重が増えるから尚更なんだ。

この側面でも国内外では認識差があるみたいで、向こうの人からしたらこんなのが極当たり前になってるのかな。
決して万人ウケしたり売れそうな感じでは無いけど特別ニッチなんかじゃ無く、そんなのも再認識させられる様な全3アルバムですわ。

-続く-

2024年11月29日 (金)

音楽備忘録1931 楽器音色一般のイメージと実際の違い➋

ほいじゃま先ずは最もポピュラーであろうピアノの音色から始めるが、今劣化本邦庶民が思ってるのは恐らくデジタルPianoの方なんじゃないかな。
確かにPA経由後や完パケメディアのとはそっちが近いが、それ現物のとはちょいと違っとん。

実は杜撰大王も縁あって宅にGrandが入る迄はそう感じてて、かつて直に触れた殆どは普及品のアップライトだから少し籠ってたんだとばかりずっと思ってたのよ。
で実際宅で色んなシチュエーションで触れてみたら(試し録り含む)、確かに煌びやかさはあったけどデジピその他のみたいな恣意的なのじゃなかったん。

具体的には次回以降取上げるPaiste cymbalと近似で、Mic2本程度じゃその豊富で際限が無い感じの倍音は全然拾い切れて無いんだ。
因みにハイスペックコンデンサを用いてもで、基本的に正当な生楽器は人耳で直に聴いた際最良になる様に設計されてるかんね。

超高性能バイノーラルで拾えば少しは改善しそうだが、リアルの人間って平気で頭とか動かすやんか。
のでそもそも固定位置で拾ってるのに限界があるらしく、かと言って録ってる最中に移動させたら変な感じになるからアウトでんがな。

リアル耳で聴いてて↑の任意移動が不問になるのは自身に「動いた意識」なりがあるからで、その時だけ聴こえた倍音も楽器からずっと出てるなんて認識しちゃうんだ。
いや実際そうなってる方が多いんだが、持続的には耳に届いてなくても「届いた時の音色」の方を印象としてきっと記憶に残してんのよ。

まっ要するに未だに純生で一定以上の奏者が奏でないと、本当の楽器の音色は聴けてねんですよ。
過去には機器音質ももっと低かったからジャンルニーズ等に合わせて音色も取捨選択してたんだけど、近年は明瞭度忖度で大体一辺倒になっちまいやがった。

と同時にClassic系奏者ですらBrightなのを好んでそう出る様に弾いてるが、極論すりゃそんなのSyntheでMozartを弾いてるのと同じよ。
俺知りでは知り合いでかつて弱視だった女性唯1人がそうしてないが、視覚より聴力依存度が高まっててきっとそんなじゃ変とって思ってたんだろうね。

それ故デジピを使ってさえ今迄他で聴いた事が無いマイルドな音色を醸し出してて、それが音色選択とかじゃなく神懸り的な繊細な弾き加減だけでやってたんだ。
それから記憶イメージでは明瞭な録音・演奏のBilly Joelを改めて再聴してみたっけ、出るべき処は確かにBrightだったけど不要な箇所では思いの外丸っこい音になってたんすよ。

Rockですらそんななんだから現行の潮流は、特にClassic系でそんなのは全く異常としか言えねんですわ。
木と金属で構成されてるのは弦楽器と一緒だが、ハンマーが本来は木で表面がフェルトなのが他のと違う。

弦のBrightさだけでは↑で作られた音の成分が欠けてて、近代On Mic収音のでは目立たぬがマトモなのなら入って無い訳じゃ無いんだよ。
これへ杜撰流屁理屈で捏ねればアコギの弦を指の腹で叩けばメカニズム的にはほぼ同等だが、多少は似せられたって実際そんな音を出すのは至難じゃないすか。

=つづく=

2024年11月28日 (木)

音楽備忘録1930 エレキBassのCreamyな音色の魅力⓯

続いてCreamyにする為の歪みと歪ませについてだが、そう云う目的だから少しGuitarの所謂リッチクリーンに近いものがある。
がGuitar程普通高域の割合が多くないんで、中低域で聴感上の歪みが感じられる手前で止めとかなきゃいけない。

歪みで少し汚した方がCreamyになるとは何だか妙だが、それは強く弾いた際の中高域のピークが頭打ちされて抑制出来るからなんだ。
直接比較で聴いたら確かに少し汚れは認められるが、アンサンブル内の実用性では少しでも綺麗でありさえすりゃ良いってもんじゃ御座んせん。

そりゃ楽器なんだから音色が美しいに越した事ぁねえが、美しいの基準が問題なのよ。
楽器の音色と意識すりゃつい単体聴きで判断しちまうが、ある程度整えられて以降は他と併せて聴いてどうかなんよ。

それは美しくしてる要素が弱目だったり他パートにマスクされ易いのだと、アンサンブルに入れたら無効化するからだ。
厳密にはマスクされない箇所でだけ聴こえりゃ良い場合もあるが、マスクの有無で極端に異なる音色に聴こえたりする様だと都合が悪い。

のは例えばワンセットになってるフレーズの途中で発症すると、フレーズが分断されてそう弾いた意味が薄れたりするからだ。
それがこのテーマの核心で、↑を巧く回避出来るなら別にCreamyな音色じゃ無くたって構わないんだけどね。

Bass音域の場合音程の下の方はどう料理しても音程感等がそれより上に負けてて、高域の出せる量にしたってそうだ。
因みに印象はかなりBrightでも、低い音程のは良く聴き込んでみるとそうなっとるでぇ。

是又個別楽器の音色はと問われると普通はあまり音程毎の様子より、全体の中で目立った箇所だけで考えちまうでしょ。
普段はそれで無問題だし、低い方の明瞭度を上げ損ねてる奏者にとっては却って助かるけどさ。😞

広義のフレーズ自由度(如何なる音程域・箇所等も含めて)を確保しとこうと思ったら、Bassの音域ではCreamyってのが最適解の1つなんだ。
それプラス他の生系楽器では高域をある程度稼ごうとしたら音色はどうしたって少しギスギスしちまうから、ある意味エレキの特権なんよ。

関連するドマイナープチ余談としてリッケンベースのリアPUローカットコンデンサ、隠れた!?その意味を再発見させられた。
その昔は低音死守の為エレキBassの実使用PUは真ん中から前寄りだけで、それに飽きが来て一時期PUではカリカリに拾ったのをAmpでボコボコに盛るのが流行ってた。

のに合わせリッケンではユーザー・本家共々何時しか省略する様になってて、上記に気付く迄は大して疑問に感じてなかったんだ。
それなりに音色差はあるもののずっと同じ車の色違い程度と思ってたのが、Creamyに出来るかどうかでは大違いだったんだよ。

今になってよく思い出してみればどうもその影響が、リッケンベース奏者のフレーズの変容に繋がってたらしいんだ。
厚みその他ではFender系に圧勝のリッケンも、高音弦音色の太さだけは完敗だったからねえ。

=つづく=

2024年11月26日 (火)

音楽備忘録1928 過小評価で忘れられつつある人々Ⅱ ②

続いては’76~’79年の「米の」BandのForeigner、それもアルバムだと僅か2枚についてずら。
これも当時は日本でもメジャーに乗ってたのに、何時しか肝心なポイントがほぼ忘れ去られてるヤツだ。

さて冒頭で「米の」なんてしたのは俺が今の今迄、ずっと英のグループだとちっとも調べもせずに勘違いしてた都合だ。(開き直ってどうする…💦)
これぞ杜撰大王の真骨頂が又出たが、こっちだってアホはアホでも只のアホとちゃうで。

当時活動拠点こそ米であってもメンバーは英米半々なのと、そのサウンドは強烈にそれ迄の英Rockの集大成になってたからだ。
と相変らず虚しい言い訳に終始してるが、↑集大成の内容が非本国人にはとても真似の出来そうな代物じゃなかったからだ。

因みに是又独断と偏見に過ぎないけど、欧州各国のRock系では中々その国らしさの集大成的存在を見つけるのが困難でして。
それがBritish Invasion等ブームにはなっても、米メジャー系みたいに大幹線とはなり得てない1つの原因じゃないかと思っててさ。

実際には米は合衆国故歴史こそ浅目でも徹底追及したら底知れぬ程奥深く巾も広大なんだが、一般大衆に認知されてる範囲だと大体網羅させてるのが沢山居るんだよ。
歴史ったら欧はかつての日本等と同様群雄割拠でしょっちゅう勢力地図の塗り替えがあったが、他の地域に比べて各民族の伝統に拘りがかなり強目だよね。

「我街・民族こそが世界一」みたいなそれって普段はあんま良い方に作用しない気がするも、独自文化を広めたり維持する面についてなら結構大事だったりする様で。
これ今劣化本邦だとJR東日本と小田急の駅舎更新みたいなもんで、前者は原宿駅を合理性一択で処理したが後者は片瀬江ノ島駅のアイデンティティをどうにか死守したみたいな。

これⅡで単に社風の差じゃ無くて、前者は盛況だが後者は近年乗降人員がかなり減っちまってんだよ。
それからしたらアホか余程余裕があったかと思うのが普通だろうが、決してそうじゃおまへんのや。

幾らケチっても建て替えには必ず費用が掛かるのは一緒、ならばブランドイメージのシンボル的価値も加えてやろうって発想なんだ。
こう云うのって一バンド如きでやるのは駅なんかより、もっととっても大変なんすよ。

ご多聞に洩れず当のForeignerだって、この時期以外のは俺にはそう感じられない。
散々触れて来てても今迄ブリティッシュRockの典型はと問われた際、最初はこれから聴いてってのが今一誰が相応しいかずっと釈然としなかったんだ。

長く遍歴を重ねてるから自身では感覚的には一応分かってんだけど、具体的にどれか1つでとなるとさ。
それが今頃になってブランクがあって無意識で聴いてたら、もしかしてと急に気付いたんだよ。

細部迄拘って箇所限定…つまり曲調・音色・編曲・演奏等々では夫々の最適解は既にあったが、トータルで全体がバランス良く英らしいとなるとコレ一択かなと。
と同時にもう1つ気に留まったのが、Hard系のVocalでPopな曲も自然に演ろうとするのにも好例だった。

そう云や何時の頃からか国内熱唱系の人は「力を抜く」のがド下手化してて、自らレパートリーを狭めてる感があったな。
メインの激しいのをより有効化するにも、敢えて弱いとか大人しいのも自己内比較対象として演っといた方が良いんだけどねえ。

-続く-

2024年11月25日 (月)

音楽備忘録1927 楽器音色一般のイメージと実際の違い➊

このお題は昔からの事ではあるけんど、近年程多分酷くは無かったんだ。
っつう事ってもしか業界さんにはネタバラしすなと嫌われるか分からんが、杜撰大王としちゃメディアで気に入って生で聴いたらガッカリになる方を阻止したいのだ。

この件が悪化した裏に杜撰大王は「売れりゃ良い」があると踏んでて、大多数の一般庶民は音源を買ってもそんなにLiveにゃ来ないとタカを括ってんじゃねえかとかね。
実際「聴ける事が当座の目的」だった場合、過去とは格段にメディアの音質が向上はしたよな。

手前味噌で例示すると中学に上がる迄家にマトモな再生装置が無かったから、モノホン聴きたきゃ高級オーディオショップの試聴室へ高盤質のを持込むとかしかLive以外の方法が無かったわ。
だからその変化の影響は分かるんだが、今度は完パケメディア比でPA音質の相対的な低下がホントは目立つ筈なんよ。

何しろSNSの投稿画像から俺言い「盛り文化」が絶頂期を迎えた煽りで、音の方も日生のオバチャンみたく過度な圧化粧が常態化しちまってなぁ。(保険営業の方済みませぬ)
それが現況Live環境下だとそこ迄やれねんで…、これには仕方無いのと仕方無くないのと2つの理由はあるがね。

何れにしても総合的な儲けやイメージの確立を考えりゃ、極力盛らないで最高音質・最高音色を目指さないと少なくとも長持ちさせられねんですよ。
今だってそれを分かってる奴が減りはしてても居なくなっちゃいないんだろうけど、機器の向上のお陰で昔より誤魔化しが効く様にはなってるからねえ。

のを超低域や超高域で比較してみるとデジタルが普及する迄のは、殆ど全部俺言い「嘘の音」だったんよ。
何しろ扱える周波数帯域が健康な人耳のより狭かったんだから、そりゃそうするしかないわな。

但しここからがこのお題の真髄になるんだけど、上記は飽く迄「物理的に」であって感覚的には寧ろ今のより正しい選択だったんすよ。
実は高音質化したっても今劣化本邦の平均的PAの性能は、まだまだ可聴帯域より結構狭いんだ。

そこに拘ると先ずは飛躍的に金は掛かるし場所を取るからだが、それ以外に費用対効果に疑問があるのも又事実なんだ。
それは舞台での各種雑音や残響特性が、どちらかったら高音質化には逆に作用してるからだ。

例えば比較的近距離で爆音PAをするとなると、ハウリングポイントを削るのは必須だ。
勿論極力「聴いた感じ」が変わらぬ様に配慮してっけど、元のと寸分違わぬかと言われりゃ特定のを除きそうは出来てない。

杜撰大王は生耳の音を知ってっから不要PAは害と、随時頻吠えしてる大きな理由のこれが1つなん。
確かに第1印象はほぼ盛られてるのの方が勝るが、俺言い「第2印象」の時点でもうアカンのがホンマ増えたわ。

そこで盛りニーズの生じた原因から次回は掘ってくが、始まりは飽く迄次善策・代替手段だったんだよ。
本来必要性が無くなったら盛るにしても箇所やなんかもシフトしなきゃいけないのに、何時迄も昔のを踏襲してるなんて本当にダセー行為なんじゃね。

尤もこんな世相じゃ当分は改善しねんだろうけど、それならそれで少なくとも覚悟だけはしといて貰いたいもんだわさ。
メディアと現物に例え致命的な落差があって、全く別物だったとしても一切文句言うんじゃねえってな。

=つづく=

2024年11月24日 (日)

音楽備忘録1926 エレキBassのCreamyな音色の魅力⓮

エレキBassで無歪みっぽく聴こえる歪ませはかなり条件が限定される都合から、この機会にオーディオとエレキの周波数の低域・中域・高域の認識差をおさらいしときませう。
昨今は打込み主体の人も多くその場合はある程度オーディオでの分類が通用するが、エレキで音色の作り込みをしたいなら必要なスキルなんじゃないかな。

オーディオだろうと電気楽器だろうと夫々の区別理由の有無、正規の明確な理由はあっても杜撰大王だから知らんがな。
けど大まかにはどっちも音楽で担ってる役割で大体分けてて、オーディオでは凡その肉声やPiano等の中心周波数帯域を中域としている。

のわ音程をそこが司ってるからで、低域だって上の方は近似だがあらゆる環境下で誰もでにすぐ分かるもんじゃ無くなってるよ。
そして低域の下の方と高域は特殊能力に恵まれてないと音程が分からないんで、低・高域に分類してるんだ。

但しアンサンブル全体での事だから個別楽器のそれとは異なり、楽器でも厳密には楽器毎に分類の仕方が違ってるのだ。
取敢えずエレキGuitarとBassの中域を披露しとくと、Guitarは下から順に300Hz前後と2kHz前後・Bassのそれは250Hz前後と900Hz前後だ。

因みに同族内でもタイプ違いもありゃ人次第で感覚差もあるから、誰もが納得出来る分類の仕方は無きに等しい。
それと大事なのは低域と中域の分け方が実際のファンダメンタル(基音にして非倍音:強弁すれはゼロ次倍音とでも!?)
より概ね1オクターヴ位高くなってるのは、アンサンブル内や他の音にマスクされ難い方を取ったからだ。

それだからContrabassの低音程域は音程が不明瞭で、生成されてる周波数帯域はエレキよりかなり広いが所謂整数次倍音(直接音程に関係してる部分)の割合が少ないからだ。
一面で音色の深み・渋さ・味わい深さと音程の明瞭度はトレードオフの関係にあって、一概に優劣を付けるべきじゃないが適正使用法と用途が若干異なっている。

してエレキの歪ませでクリーンと同感覚のまま聴かせるには、基本的に各々の高域を中心に歪ませるのが良い。
って事ぁ裏を返せば中域以下をあまり歪ませると具合が悪く、下手をすれば全体の明瞭度を悪化させちまう。

のわ音波の原理に基づいててオクターヴ下がると波高が倍になるからで、しかしそれで同じ音量に聴こえるのはちょいと変な感じがするだろうね。
処がどっこい一般認識の音量って一定時間平均のなんで、オクターヴ下がると波の数が半減してる事でそう聴こえてんのさ。

それ故上では高域中心と書いてるが、それ位にしといて実際舞台裏では低音だけ深く歪むのを防いでんだ。
その典型例がかつてMaestroのBass Brassmasterを駆使した時期のChris Squireで、中低域は殆ど弄らずに高域だけFuzzが掛かってたものだ。

歪ませ音色的に対極にあるのはJack BruceやTim Bogertで、聴いた印象は中低域中心な印象の音色だけどさ。
実際には前者全盛期は常にMarshallで、後者にしてもプレベと指弾きのせいでかなりハイ上がりにしてたのが目立たなかっただけだ。

そんな音色も嫌いじゃねえがこのテーマには今一フィットせず共通項は半分位かな、何せ歪んでる印象を与えずにだからねえ。
ので少し籠って構わないなら石でも偽装出来っけど、そう云う目的なら球好きじゃなくても極力真空管を使って欲しいのよ。

=つづく=

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