音楽備忘録2048 今更Beatlesから学べる事⓬
彼等はChorusを売りにしてたからそっちから綴ったが、実はLead Vocalも初期には一風変わってたんだ。
その歌唱法こそが実は上達へのショートカットなんだが、案外皆気が付いてねんですよ。
どんなのかってば敢えてシャウト以外の小技を殆ど封印して、作曲・作詞・編曲だけで勝負に挑んてたん。
多分半分は最後に落されたデッカのオーディションに原因があったんだろうけど、その時のデモテープでは演奏技も盛り沢山だったんだよ。
だが当時の彼等には後年のVan Halenみたいな革新的な演奏技は持合せて無かったのもあってか、恐らくは自分達最大の売り自作曲を中心に据えてみたんだ。
のわ当時の状況が大いに反映してて、歴浅若年世代は彼等を含む一部を除けば作曲面が弱かったんだ。
その意図的差別化は見事成功したが、それにしたって格別な美声揃いでも無いのに直球歌唱オンリーにするのはかなり勇気を要したんじゃないかな。
ってのも一般感覚で本職歌手と言えばビヴラートやコブシ等のテクが水準以上の印象があるが、それ等装飾技でホントは主役が決定されてる訳じゃないんだけどさ。
寧ろ一切の小技を封印して歌っても曲終わり迄聴けるかが最重要で、小技付きの方が味は出るものの曲自体(メロディ)は何もしない方が断然分かり易いんだ。
実際それを実行するにはメロ自体がかなり高水準な必要があるし、基礎力がかなり高くないとボロ隠しの小技レスでは厳しい。
んだが素人が軽く耳にした程度だとそれが全然分からず、唯メロを歌っただけの様に聴こえちまったりするかんね。
何せ表面的にはプロじゃないと出来ない技が全然出て来ねんだから、そう感じても何の不思議も無い。
加えて近年視覚面でも直立不動で歌うのは皆無に近いが如く、素人のカラオケですら小技を使える方が称賛されるしね。
これは野球界でも直球のみ・変化球を使ってもたった1種だけで勝負に挑む投手が居なくなったのと同様で、結局は直球を滅多に打たれないレベルへ磨くより目先・小手先でかわす方が早期に実現可能なのもあるからだろう。
しかし過去に変化球で有名を馳せた投手の多くは、直球の質も高かったから一寸曲げるだけでも打者を翻弄出来てたんすよ。
どちらさんでも大スターが現れ難くなったのはこのせいで、基礎力レベルがそこそこで止まっちゃってるからなん。
初期BeatlesのLead Vocalって確かに完成にはまだ遠いレベルだったけど、本当に大した事無かったなら小技レスで曲終わり迄なんか聴けない筈ね。
幾ら曲レベルに恵まれててもアルバム全般が殆どあんな唱法だけなんだから、基礎レベルに秀でて無きゃ最後迄聴くに堪えられる訳ゃねんですよ。
処が目立った技とか一切出て来んし音程感やリズムも別次元に凄かったでも無いから、上辺の巧さがちっともありゃしない。
結果大多数の聴者にはそれが盲点となってて…、まあ歌唱以外も全てがそんな感じなんだけどね。
のを覆せるとしたら自身で歌って本人に迫ろうとする事で、なまじ小技禁止なんで究極の茨の道が突如行く手を阻むのよ。
その対極にあるのが他の有名歌手の「1フレーズ物真似」で、例が古くてスマンが森進一の「お袋さんよぉおぉおぉ」とかは取敢えず大きなビヴラートさえ似せられれば他人に理解して貰える。
これだって実際にはそこだけが特別秀でてた訳じゃねえんだが、戦略的意図もあったか大衆には最も印象に深い。
けれど昭和世代でも門外漢の杜撰君なんかだと、彼のヒット曲は一杯あったのに他に数曲程度しか記憶に残って無い。
-一旦終了-
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