音楽

2023年12月11日 (月)

音楽備忘録1578 サチュレーションの話し➐

ここ迄の記述からサチュレーション概念は、苦肉の末に生まれたのが少しは分かっただろうか。
って事ぁとても残念だが、劣化レスで得るのはほぼ不可能なのだ。

近年の大レベル部にだけ掛る発想なら劣化は部分的になるが、サチュレーションは単なる頭打ちでは無いから似て非なるもの。
現況では何処迄妥協出来るかの問題となってるが、やはりなるべく劣化は減らしたいよね。

ここで紛らわしいのが物理的単体スペックで、大体は「単体聴き比べ」だとスペックの優れる方が聴感も良い。
しかしこれに大きな落し穴があって、アンサンブルや楽曲として聴くと↑なんて幾らも効果が無かったのを思い知るんだ。

私体験ではデジタル化黎明期に曇りの無い音色は素晴らしかったが、後からそんなのには弱点があるのに気付いたんだ。
一定水準以上の装置・環境ではその魅力が発揮されたが、どれかが一寸劣ると途端に唯のハッキリしない音になっててさ。(つまりとっても打たれ弱い)

サウンドとしては相変らず「綺麗っぽい」んだが、音楽の内容を聴こうとするとパーでんねんに。
杜撰大王自身も音響技師兼任なんでついオーディオ的美麗さに惑わされるが、先にアンサンブルとして成立してなきゃ何の意味もないんすよ。

そこで杜撰流では常に他パートと併鳴させて判定する事にしてて、そうすると事前予測はかなり裏切られるケースが多いんだな。
のがサチュレーション案件には特に重要で、言うなれば音の第一印象と聴き込み後印象のせめぎ合いってなもんよ。

生楽器なら電気楽器程元からオーディオ的にチープじゃないけれど、現実的には環境の影響を最も受けてるんだ。
故に日常平均聴取環境だと、楽器から出てる音からは一定程度劣化したのを皆は聴いてるのよ。
つまり音響技師>音楽家>一般聴者の順にオーディオ的音質が気になってんで、その様な専門家の偏寄を先ずキャンセルしないと仕方ねえんだわ。

因みに一般聴者だってオーディオ的高水準を好む者も少なくないが、彼等は楽曲(少なくともアンサンブル)が完成してからのしか弄れんでしょ。
のがこっちはなまじ先に弄れちゃうもんだから、雰囲気をスポイルしちゃいないか元から余程気を付けにゃイカンのにさ。

そうしてみると幾ら目立たなかろうと、無歪みからどっかで歪みアリに変質する様なのはとっても扱い辛い。
要するに両立させられる調整ポイントが無くなって、最高音質を目指したつもりが局所的大胆な妥協を結局は強いられてんだ。(普通サチュレーション擬きの常時発動はレアケースだろうから)

もし無理に抗おうとすればどっかの一部劣化Popsみたいに、ほぼ全てに歪みを付加しとくなんて愚策も…。
等とド真ん中直球でディスるのは盛り上がり方向はまだ許せるんだが、大人しくする方に何時も変な濁りが付き纏ってどうもスッキリしなくなるからだ。

なるべく露骨な圧縮感や歪み感を排除する為のサチュレーションなのに、それじゃあ正反対にしとるやんけ。
しかもそれでいて大胆にDistortionやFuzzを通したのより刺激に劣るんだから、どっち方向から眺めても中途半端でいけねえよ。

-つづく-

2023年12月10日 (日)

音楽備忘録1577 Bassサムピングの私的葛藤➎

分かってからより実現する方が大変なのは世の常だが、こればっかりは習熟してくしかない。
又サムピングに関して個人差はあろうが、高音弦になる程上手く鳴らすのが難しいのも見逃せない。

後者について先に少し掘っとくと、私的には指の柔らかさが仇になってると考えている。
流石に1弦でサムピングは滅多に演らないけど、指又は指先への「弦の食い込み量」が違うんだ。(弦が細い程多くなる)

それ故昔は肉体への過負担も厭わず、敢えて関節の骨の部分なんかで根性でぶってたよ。
けれどスラップの頻度や継続時間が長くなってくにつれ、段々と根性だけじゃ押し切れなくなって…。

尤も未だに続けてたら、叩くと擦るの両立は不可能だっただろうな。
これピックや指でフルストロークする時と同じく、「弦離れ」が速過ぎると擦る方が成立しないんよ。

少々奇異な言い回しになるがピックや指は一定以上の柔軟性を維持した上で、わざと引っ掛かるっつうか喰い込ませる様にしないと上手くいかねんだ。
きっと普通なら撓りの少ないピックだとか指先を硬直させるだろうが、そうするとストロークは稼げるものの弦振幅の方向がフレットと平行にはなり難いんだ。

この件自称ピック弾きの大家としては明確な一家言があって、下手だったり雑なガキを俺言い「三味線弾き」としてディスりつつ忌避事項と定めておる。
のは与えられてる仕事が違うからで、パート個別では兎も角大袈裟に言やアンサンブルを壊しちゃうんだからね。

逆に三味線では意図的に半分スラップにしていて、試しに指や何かではじくとバンジョーやマンドリンに近い音になって特徴が薄れたわ。(大昔金沢へ旅行時プチ演奏体験をした)
実際全く撓らないバチを持ってではあるがその動作がサムピングと殆ど同じだったら、即座にあっさり出来てちょっち誇らしかったってか。

しょーもない自慢はたいがいにしとくとして、お三味の弦は実質太い糸だったりでそれでも全然音程感は足りてたよ。
だがエレキBassで特に電磁Pickupを通すと、金属弦と相まって横方向へ弦を振動させないと音程を司る周波数帯域の拾いが悪くなるんだ。

ってな訳で実は音程感不足はピック弾きでも起きる可能性はあるんだが、今劣化本邦には本格派にピック弾きは邪道っつう不可解常識があるんでガン無視されてんだろう。
或はエレキBassでの正規ピック弾きが廃れたから、ピックじゃ本格派は無理と勘違いしちゃったのかな。

しかしそんな知識不足を放置して指とスラップをしてる者の多くは、音量の落差が酷かったり音質(主に音程感の不足)面の問題がモロに出たままになっとるで。
ここで万人に再考を促したいのが、楽器にとっちゃ「何で弾かれたか」なんて無関係な処な。

発音体がどんな風にぶたれ揺すられたからこんなん出ましたってだけの話しで、○○奏法だから□□の心配は無用なんて都合の良い話しは決してねえんでやんす。
勿論程度差はかなりあるんだけど、危惧率が低いからって兎と亀の兎になっちゃ不味いんだ。

勿論Ⅱで各自の得手不得手に応じ相応しい習得順はあるが、完全に忘れてるとかつては弱点じゃなかった箇所が何時の間にか…ってのがしばしばあるんすよ。
その意味で一点集中のし難さがあって、懸案事項の解決に長時間が掛るんだ。

=つづく=

2023年12月 9日 (土)

音楽備忘録1576 Speedkingの安定度➏

うーん我乍ら綺麗に纏められたと悦に入り掛け、あちゃっと大事なのを書き漏らしてた昨日の杜撰大王であった。
っと言っても過去記事で触れてはいるんだが、スピキンが普通と思える様になった後の話しざんす。

概述では現代ペダルで未成の技がスピキンで可能化したのはあるが、逆は僅少だと全くザックリとしか書かなかったけね。
今回はこれをちゃんと深掘りしときましょって事で、もっと具体的に書き残しとこう。

1.普通の単打
単純な音色の安定度では現代ペダルの方がかなり楽で、スピキンは極僅かな踏みムラでも洩れなく反映してくれちゃう。
極論すれば1音毎に全て微妙に異なるって様相で、尤もアンサンブル内へ入るとそれは特に気になる類いのじゃ無かったっす。

これが多分現ペ君に無自覚でも飼い慣らされてると一番気になる点で、但しその真相を知るには現ペ君の性質の正しい理解が必要ざます。
早い話し現ペ君はドスッっつうのだったらしくじってもトス、バチッっつうのだったらパチ程度と元から変化巾が少な目なんだ。

無論法外な過ちを犯せばもっと変わるが、実用領域では恰も安定してる様に感じられよう。
だが範囲狭い≒特定ジャンル向き等の性格になってしまうんで、突然違うジャンルのを挟もうとした時ゃフィットしてくれなくて困るよ。

又BONZOみたいな非常識な音を出したくなった際、ポテンシャルの低い現ペ君では本家と同じセッティングでは出せまへん。
彼のバスドラって凡人が鳴らしたらボワォ~ンとしかならない設定で、幾らアタックが硬質な現ペ君を持って来ても余韻の方がどうにもならんのどす。

その訳は打後打面を押え付ける力のモーメントに、スピキン程の柔軟性が無いからなのだ。
かつて俺が望まずとも得意だった😢バウンド現象が起き易く、口径22inch程度迄なら強引に力でも止められるが流石に26となると力だけじゃ押さえ込めなくなるからよ。

皮振動1回で完全制止が無理な際、残された手は振動が収まる迄しつこく粘着してく事のみ。
取敢えずずっとビータを張り付けておければ、振動周期延長→可聴帯域外へ周波数低下・それが無理でも倍音は全ミュート可能となって実質鳴って無いのと近似に出来るのさ。

ビータを異常な高速にした時だけ出せる音等についても、通常領域を超えると僅かなバネ抵抗の差が拡大するからね。
つまり変態音を出せるポテンシャルでは圧倒的にスピ君が秀でてるんだが、実際出すには踏むのすら完全な変態が要求されるから実現性は?なのかな。

2.足首Double
現ペ君でも生まれ乍らの適性があったら、「物凄く苦労させられるが」最初から踏めない事は無いだろう。
物凄く…なんて皮肉タップリな嫌味紛いに言ってるのは、スピ君だったら全然力が要らなくて踏めちゃうからなんだよん。

体験的に足首で踏む方のは力では脚踏みに劣る都合、Doubleの際はより速度が要求されるんす。
素早い爪先の踏み込み+脚を落すになって初めて、大体イーヴンバランスになってくれるのさ。

脚落しなら問題にならんバネ強さも、足首には殆ど誰にでも影響がある訳さね。
のでトゥが苦手な者にとっちゃバネ強ってな、永遠に続く拷問同然になっとるんや。

苦手でいじめられたら羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く状況に陥り、益々習得を遅らせるから罪なんよ。
本来なら克服には平均より沢山練習しなきゃいけないのに、全く出来そうに思えないから頻度・時間とも減っちまう。

ほんで見事にスピ君使用前の杜撰大王みたいなのを、あっちでもこっちでも量産してくれるんだぞ。
そんなの嫌でしょ、俺だって結構ずっと凹まされてた位だもん。

=つづく=

2023年12月 8日 (金)

音楽備忘録1575 オーディオ等のスペック偏重に潜む罠⑬

この項締め括りは体験からだと、最も数値と実音のリンクしないMicに絞って行ってみよう。
それは周波数特性で顕著で数値よりグラフがアテになりはするものの、スピーカ以上に聴いたら随分「数値の印象」とは違った音になってい易かったんだわ。

俺がこれを痛切に実感させられたのがバスドラの収音で、具体的にはAUDIX D-4ってので全然足りず妙な増し盛りも施されたD-6では妥協出来たって顛末だ。
比較的親切で当時は新興ブランドだったAUDIXのカタログには、正直に向いてる用途の記述はあったんだけどね。

何分赤貧には全てに専用とか最適なのを奢るのも厳しいんで、転用・流用を狙い過ぎたのが不味かった。
とは言えFloor TomがTomばりに高音程のとか、実際は必ずしも明確に音域が分離してる訳じゃないぞ。

そこで周波数特性数値とグラフの両睨みで先ずはD-4を選定してみたんだが、個人的にはガッカリな結果しか得られなかったんだ。
因みにそれ迄は同シリーズのD-2とかで苦代用してて、これはTom用のでそっちでは継続使用中だ。

こっちとしゃD-4には↑とはローの明らかな違いを期待したんだが、肝心な部分は脆くも儚い夢と散った。😢
しかしこれには杜撰な安易思考の他にも理由があって、録音がデジタル化して以降の所謂バスドラ用Micに少々疑念があったからなんだ。

イメージとしちゃ中低域を増し盛りしただけで、折角デジタルになったのにローエンドは旧態依然のままなんてのが当時はそこそこ出回っててな。
盛りたい時ゃこっちでやるから勝手にやっるなよで、こっちで後からじゃ無理なローエンドの方が断然欲しかったんだよ。

で数値的にはD-4のf特は38Hz~19kHz・D-6は30Hz~15kHzとなっていて、グラフは下に添付した通りで御座居。
ほいでブランド側の説明では前者はほぼオールラウンド+バスドラ・後者はバスドラ/低音用となっていて、Bassは重複してる様な状況だ。

Audix_d4 Audix_d602
さてご覧の通りD-4は小型ダイナミックにしては中々フラットで、コンデンサとの方式由来の音質差以外はそのまま拾えそうなもんだ。
D-6は解説では下を増し盛りと書いてるが、グラフからは中域に意図的に凹みを作った様な感じだ。

なので後者には唯独特な癖が付加されるだけな筈なんだが、多少の誇張はあるが後者じゃないと典型的なバスドラらしい音になってくんなかったんだ。
メーカ側は使えなくないからそう書いたんだろうが、後者は他のにあまり使えないのに着目しないとならないんだからとっても難読だっての。

-つづく-

2023年12月 7日 (木)

音楽備忘録1574 サチュレーションの話し➏

果てさてこの辺で次行く前に、誤認回避の釘刺ししときましょうかね。
物理的にはサチュレーションだって立派な歪みの一種に違いないが、聴感上ほぼ歪み感がしないから別の称号を与えてるんだ。

古典機器になる程確かに物理的歪み率は高くなってたが、大昔だって諦めて「素の歪み」そのまま出してやしねえんだ。
悪く言や誤魔化しではあるが、色々な方法を駆使して極力目立たなくしてたんだ。

そりゃ専門技師が人間計測器と化して検聴すれば歪みアリになるが、少なくとも一般聴者に対して音色的な歪みは出ない様必至こいてたんよ。
結果古典機だって現代レベルに於いても聴感上の歪みは僅少で、現代シミュレータみたいに汚く潰れたりは全くして無かったんだ。

極論するなら現代デジタル録音機は歪んだらそれを丸々そのまま出しちまってて、っても普段は「歪まぬ範囲でご使用下さい」だから何も困らんがね。
ん~ほら正しい歴史認識には今とは異なる価値観等もセットで考察しないと実情が分からないみたいに、サチュレーション案件でも今の一般の思考はズレちゃってるのさ。

その上で味わって頂きたい史実は、最終段階で仕方無く少し歪んでしまってた点だ。
主因は物理的性能面が不足してた結果だが、その意味で物理的リニアとサチュレーションは相容れない関係にある。

ここで再考願いたいのが聴感上のリニアとはどんなのかで、現実在音は物理的リニア迄は行って無い処だ。
アナログ末期時代には箇所次第では既に追越してて、その頃迄はトータルで最も生耳に近い組合せを模索し乍ら録ってたんだ。

具体的には録りのテープレコーダ・再生メディア(LPレコード・カセットテープ)・一部ダイナミックMicでは不足、その他の大半の機器では凌駕といった感じだったよ。
要するにアナログメディアの性能不足は動かせなかったんで、それ以外のではサチュレーション等無視して物理性能だけを追及してたん。

つまりアナログ末期のは性能的に不動悪のテープが居座ってたから、それ以外の機器は既に逆方向へ行き過ぎてた訳。
この真実に基づいて考慮してくと、現代でのサチュレーション確保は基本的に先ず2択に迫られてるんだ。

1つは多少の劣化は度外視して1回はテープを経由させる、もう1つは↑の俺言いの「行き過ぎ」を是正するだ。
最早正規オーディオ水準のテープはほぼ絶滅しちまったが、例えばNormalポジションのカセットとそれ用機器はまだ残存してるよね。

そこで録音作業の何処かで経由させるんだが、本来なら最後Mastering段階がサチュレーション効果が最大になる。
がそれでは完全なLo-Fiにしかならないんで、劣化しても影響の少ないパートや曲事情に応じて途中で処理するのが良かろう。

尤もこの手法だとデジタルの音質的優位を殆ど殺しちまうから、常時全曲に施すには難がある。
しかしもう1つの方法でサチュレーション不足の解消を試みるなら、無理にこね繰り回すよりゃモノホンなだけに確実だ。

-つづく-

2023年12月 6日 (水)

音楽備忘録1573 Bassサムピングの私的葛藤➍

さてこの件を深掘りするには、スラップの誕生経緯も良く推察しなきゃなんない。
今では当然の様にサムピングを使ってっけど、掌や他の指でだって叩くには叩けるんだ。

又プルの方にしても一般的には人差し指や中指を使うが、親指でも不可能じゃないし俺なんか最近はあんまり演らんけど小指でだって出来るんだ。
プチ余談になるが指皮膚の負担を分散する目的で昔小指プルを編み出し!?たっけ、従兄に「ビラ配りチョッパー」なんて珍奇な名称を頂いちまったぁい。

等とメインでそんなの使う事は稀だろうが(当時の俺はそうだったが…💦)、少なくとも「叩くならサムピング」とすべき絶対的な理由は存在せんのどす。
しかしある点に着目すると親指が最適で、垂直に叩くと同時に水平にもはじきたいならね。
杜撰大王の想像では叩いたついでにはじくでは無く、始祖は逆の発想だったんじゃないかな。

その根拠は今はほぼ忘れ去られた「親指弾き」ってのが、まだ当時は普通に奏法バリエーションの1つに入ってたからだ。(横型Bassが出来て初めて実用的になった:コンバスは縦型解釈)
少年Larry Grahamは急遽抜けたDrummerの穴埋め目的なんで、「大体普通に弾いた上に追加しよう」と思ったんじゃないかな。

はじき乍ら叩くとなれば親指以外では「弦と交わる方向」が違うんで、親指弾きの変形パターンにしたんじゃないかな。(やり方次第で人差し指と中指はかなり寝かせられはするが:ウッドBassの弾き方位が限界)
因みに方向は異なるがJohn Entwistleの、比較的遠くから勢い良く指を当てるなんてのも実際にパーカッシブさには大貢献してるよ。

只指の向き違いはPUに向かって垂直に叩くには不向きで、仮に上手く叩けたとしてもその後のはじくのがとても難しくなる。(過去にそこそこ試してみた)
はじこうとすりゃ水平方向に指は動き、今度は所謂叩く動作が不可能になる。

なので得意の嫌味節を炸裂させりゃ、叩くだけで構わんならサムピングは必須じゃない…なんてな。
わ誇張し過ぎにしても、指先の当てる角度等はアバウトでもあまり遜色の出ないのは確かだ。(色物としては拳や果てはDrummerに来て貰ってバチでなんてのもあるでよう)

だがしっかりハジキも入れたいとなると途端にシビアになって、最低でも親指先が大体弦と平行になってないと両立は達成されねんだ。
そこから今更学習になったのが角度の大切さで、ストロークを大きくしたり速度を上げるより遥かに効果的だったんだ。

私体感の難度ではSnareのOpen RimShotより一寸上で、上手い角度で行ってくれると全く無造作にやっても両方が足りるだけ得られるん。
処が杜撰大王も叩く方優先から入っちゃったもんだから、中々「はじく方優先」に出来なくてね。

実際Sly and the Family Stone時代の師匠のを聴くと叩き感は薄く、今よりはじく方がメインな感じだから聴いてみそ。(曲はThank You(Falettinme Be Mice Elf Agin))
まだスラップが目立つ音色になんかしてなかったみたいも、今平均と比べるとプルだけ大きくもないしな。

それと昔にはFlat弦で実行してるらしきも少なく無く、その場合今のRound弦みたいにプルが「痩せて」くれねんだ。
ので余計にサムピングの可否を基準としてないと、安定した演奏とするのに難がある。

=つづく=

2023年12月 5日 (火)

音楽備忘録1572 Speedkingの安定度➎

この項の〆にあたり概述重複を含むが、杜撰大王が現代ペダルで付いてしまった「悪い癖」を深掘りしとこう。
これこそが今回綴って来た核心で、未だ修正するのに日々苦労が絶えないんだから。

過去記事ではSlide奏法で最速と足首Doubleに最適と書いたが、これは一見すると矛盾がある様に勘違いされ兼ねない。
けど全く矛盾なんて存在しないのは、速度と奏法の適性迄まるで示唆してくれたからなんだ。

単打と足首Doubleではほぼ自由選択が許されるが、Slideと足首Doubleの中間領域と思ってた範囲が意外と狭かったんよ。
因みに長年にわたって悪癖を俺に醸成してくれたのは、今では伝説化しつつあるYAMAHA FP-702でごんす。

ほいでそんな良いヤツがなしてってば、ゴツさとバネ強さのお陰で不適切な低速でも一応Slideが出来ちゃってたからなんだ。(ある意味で親切過ぎた?)
って真犯人は杜撰君でペダルにはせいぜいほう助位しか罪は無いんだが、境界線を認知する前に使ってると騙されたも同然になってたんだよ。

よくよく振り返れば適正速度時より低速Slideは不安定さがあったんだが、元は足首Doubleがかなり苦手だったからねえ。
手慣れた方で何とかならないかと考えるのは、少々甘ちゃんもそれが人情ってもんじゃないすか。

仮に生真面目だったらそうはならなかったかも知れないが、俺の第1目的は好きな音楽を奏でられる事だかんね。
微細な精度に拘ってフレーズを妥協するよか、その曲固有のパターンを構築する方が大事と思った訳さ。

勿論何時迄も低精度のままじゃアカンけど、曲や編曲の旨み成分を全く残せなかったら後にはきっと忘れたりするからねえ。
で少し戻ってほう助の罪と称したのは、足首Doubleが少なくとも楽チンじゃないペダルだったからだ。

FP君単独視点ではなまじどっちかでは出来るので、そのガラパゴスさを知り得ないんすよ。
欧米みたいに古典ペダルも豊富にその辺に転がってりゃ良いが、こっちじゃほぼ現代系ペしか巷に存在しないから比べても大差が出ない。

その上Slide奏法向きと思ってたのが、スピキンと比べたら限界速が全然低かったんだから。
まるで単位不記載のものさしでメートル法のだと思ってたのが、尺かinchのだったみたいなもんだわさ。

しかもペダルには至極当然乍ら、0cm等基準点の表示なんて一切無いべ。
ので所詮は奏者側意識の問題なんだけど、国内でそれをダイレクトに体感出来るとしたら殆どスピキンしか無いん。

最近はスペック重視だのマニュアル尊守だので、若い人なら頭で言われてずっとそれを信じて鍛錬出来るかもやけどさ。
自分の体での直接体験に勝るものは無くて、どうして駄目・無理そうなのかも一遍で分かっちまうから。

そしてスピキン体験期間が中途半端だとどっちでも後退する可能性もあるが、その人なりの長期視野に立てば得を幾らもしなくても損する事だけは絶対無いよと語っときませう。
今程の不景気になる前だったら国産現代ペが確実に価格で有利だったけど、こう値上がりの嵐となれば中古だったら大して高くも無くなって来てるから今が挑戦チャンスかも。

=つづく=

2023年12月 4日 (月)

音楽備忘録1571 オーディオ等のスペック偏重に潜む罠⑫

失敗談から戻ってそろそろ纏めへ進めるが、キーワードは「数値よりグラフ」で御在居。
少なくともMicやスピーカに関しちゃ、ある物は見なきゃ損だ。

ではグラフの公表が無い物はどうしたらってば、極論すれば買うな・借りるな・使うなだ。
って明らかに膨大なマージンがあったらんな事ぁねえが、常に大きな余裕を持たせるにゃ金の他に空間余裕も要る。

海外比で日本だと後者が絶対的不利を拭えず、昔のアメ車みたいに排気量で安心を買うのは困難なのだ。
っつう事ってグラフの読み方をもう少し掘っとくと、一見能率・感度とは無関係の周波数特性グラフにそれはちゃんと反映されてんですよ。

能率も感度も特定入出力時の「音の大きさ」なんで、通常その単位はdBになる。
測定グラフの縦軸が正にそのdBになってるのがデフォで、グラフの縦軸平均を取ったのが能率・感度のスペック表記なんすよ。

こんなチョイめんどい事してる目的は、用途不問で他と比較するのに目安になるからだ。
さてオーディオ用ではフラット最優先の周波数特性も、PA用→楽器用となるに従ってかなり大胆な凹凸の生じるのが普通だ。

技術的ハードルを除いても未だそんなにしてるのはらしい音にする為で、オーディオ用ので電気楽器を鳴らすと大抵は例の目立つ倍音がかなり引込んじまうで。
かと言って大口径で数値的周波数特性では余裕と思えても、Guitar用のでBassを鳴らすと4弦だけ小さ目になる等の現象が起こり得る。

各用途の最適景色を示せたら良かったんだけど、音の好みは千差万別なんで難しく断念。
そこで代替手段を提示しとくなら、各自の好みだったスピーカの内周波数特性グラフの公表されてるのを雛形にするって作戦な。

この方法はオーディオ用でもPA用でもある程度有効で、嫌いなののグラフとの違いが各自のキーポイントになってる訳だ。
究極はなるべく沢山のグラフの景色を覚える事で、この辺は沢山書いて文章力を養うのなんかと同じだ。

尤も音響屋でも無い奴にそんな途方も無いのを課すのは酷なんで、1に一番好きなの・2に一番嫌いなのを入口にするのが良いんじゃないかな。
この段階での発見として例えば数値的にワイドレンジなのより、多少ナローなのが聴感上はワイドなんてのが出て来る処だ。

その訳は特定周波数での能率・感度にあり、欲しい箇所が凹んでるとそれより上下が出てても実効性が低いからだ。
勿論能率平均値の時点で全然足りなかったりしたら選外になるが、用途別所望周波数での能率・感度の実態も同等かそれ以上に実用上は影響するんすよ。

因みに○○Hz~○○kHz(-10dB)って、-9.99…dB迄範囲に含まれてるんだ。
電圧で-6dB・電力で-3dBで半減するんだから、-10dBなんて過激補填しなきゃほぼ聴こえないって事なのよ実際はね。

しかも平均値ってな上に大きいのも含まれるんで、最大と最小が更に倍近くなってる可能性があるんだ。
±3dBとか+1,-3dB等の表記なら大体額面通りに受け取って差し支えないが、-側のみ表記のには「軽度の例外の+」も含まれる事がある。

=つづく=

2023年12月 3日 (日)

音楽備忘録1570 サチュレーションの話し➎

ここ迄はサチュレーションの大まかな種類を綴ったが、それ以上に大切なのが「どの段階で掛けたか」だ。
現行シミュレートの弱点は主にココにあり、1箇所だけで賄おうとするのに無理があるんだわ。

サチュレーションに関して私感で良質と感じたのは’70年代以前ので、’80年代以降になるとサチュレーションの一部は段々無効化してたんだ。
明瞭度の点では良くなっても、それ以上に個性や雰囲気の喪失が大きくてねえ。

これは奏者・楽器等が不変だった人ので比較するとハッキリして、寧ろ当時は良かった楽器を変えたのかと勘違いされられた位だった。
これ等の差を逆に辿ると原因が氷解してくんだが、筆頭は真空管機器の使用・不使用だ。

新しい電子部品が登場しても業務用ハイエンドに実用する迄には、途方も無い時間と労力を要するもんでね。
従って安全第一で行くとなると、多少古びても実績の方が尊重される。

これには人的要因にも大いに関係して、充分習熟後にほぼ無意識に使い倒せるかも含まれてん。
加えて業務用ハイエンド機には性能的余裕もあったんで、10年落ち位はあんまり気にしなくても良かったんだ。

その典型例は大昔述FM東京の送信機が驚く程後年迄管球式だった等で、それ処か未だ「何時かは球NEUMANN」が憧れだったりしてるさね。
でもし幸運にもその機会に恵まれたなら前述の如く、球の他に古典Micダイアフラムでのサチュレーションも加わる。

流石にMixer卓等での球は今となってはかなり苦しいが、それでもサチュレーションの⅔は獲得されちまうんだ。
ほいで俺よりゃ趣味の新しい従兄等にとって最重要なのが、アナログ録音機での俗称テープコンプだ。

これの最大特徴は録音機前が何であろうと、当時は絶対に避けては通れなかった処だ。
球ヲタの俺からすりゃテレコだってBeatles等が常用してる球のと石のじゃ結構差があるんだが、磁気テープに依る「磁気ゆがみ」自体はほぼ同一だ。

これのⅡで特異点は最も歪みが目立たん処で、秀逸にレベルを扱えると聴感上の歪みがほぼ感知不可になるのよ。
その意味ではサチュレーション王と見做せ、パワー感より美しさを欲しがる人にはとっても残念な現況なのだ。

それからリリースにはLPレコード化する必要があったから、盤上での物理的サチュの他カッティングマシンでのも更に追加されていた。
この後にも過去には聴く段階で球Ampと古典スピーカでのが加わってたのは抜きにしても、直列接続Effector不使用時で都合最低6段のサチュレーションが掛ってた事になるんよ。

せやさかいもし再現を目指すんなら発想段階から、最低4〜
6段程度は微妙に異なる性質ので頭を潰してくべきなんだ。
それを多くてせいぜい3段で潰そうなんて虫の良い事言ってたら、そりゃあ似ても似つかないニュアンスになるのは当り前やんけ。

先ずは夫々のの性質差・段数とその順番位は想定しなきゃ、お話しになる訳ゃ無いんだよ。
因みに体験では録音機前に球やMic振動板由来のが入る入らんで、録音機の歪み発生率がかなり変わるで。

何しろアナログ録音機はパルスは大の苦手、現代レベルのをそのままブチ込みゃほぼ歪みは避けられんて。
将来万一½inch巾のオープンテープが手に入ったら、その実態をただちに公表してやんよ。(先ず無理だろうが…トホホ)😢

-つづく-

2023年12月 2日 (土)

音楽備忘録1569 Bassサムピングの私的葛藤➌

ほんだら続いてはピック・指で限界フルスイングさせるとは、どう云う状況になるのかを少し掘っとこう。
単純理論的には弦振幅はフレット(指板)との間隔だけで決定しそうだが、実際にはほんの一寸だけまだ余力みたいなのがあるんだ。

ある程度の時間経過後には楽器に不具合が無い限り、確かに静止状態の弦を中心に振幅は同心円状になる。
が弾き始めの数回は障害物の干渉を受けないか僅少だったら、「楕円軌道」には出来るしなっちゃってたりするんすよ。

無論そうなるには条件があって、フレット(指板)とは平行方向じゃないと駄目だけどさ。
それがピック・指弾きではやろうと思えば案外簡単で、習熟は必須も初期段階では唯弦とのリリースを一寸粘りさえすればエエねん。

これは電磁Pickupの磁界歪みを利用する上でも、お約束と言っても良い位の振幅増加方法だ。
だがスラップと併用しようとする時だけ仇になってて、それは望まれる振幅方向が90°違っちゃってるからなんよ。

スラップで極力典型的な音色を出すのに打撃を強調するには、Pickupに垂直に弦が打付けられるのが良い。
そうしないとフレットぶち御免の、俺言い「超ワイルドピック弾き」との差別化が不足するんだわ。

これがピック不使用の人なら未だしも、頻用してると結構気になるのよ。
因みに俺知りで全盛期のRoger GloverやJohn Entwistleが該当者で、特に後者はスラップ奏法以外では最もパーカッシブな音も出せてたんじゃないかな。

で戻ってPU垂直打付け奏法にはパーカッシブに出来る反面、音程感は希薄になるのが半ば必然なんだ。
因みにⅡで悪脱線すれば「ド下手ピック弾き」なら三味線ばりにペンペンいうだけで、音程感希薄だからスラップと併用するのに丁度良いかも知れんがね。😵

でもそんなじゃBassの本業を放棄したも同然だし、音色差不足で奏法使い分けの意義すら殆ど損ねちまわ。
寧ろ現代はスラップだけが音程感希薄を許容されてる様なもんで、それにはSynthe Bass等のバックアップ体制が充実したからだろう。

出来れば今だって音程感を損ねずにパーカッシブにすべきなんだが、かなり変態的なサムピングを習得しないとそれが叶わんのどす。
しかもそのサムピングは高速化には不利なんで、挑戦者がほぼ居なくなって久しいのかな。

そんな中未だにこの問題に正面から立ち向かってる人が居て、それが始祖のLarry Grahamだったのよ。
俺がこの点に気付いたのは比較的最近になってからで、それ迄は昔の楽器や録音は音が太くて羨ましいなんて思ってたさ。

だけど何時の時代のを試聴してもそんなだったんで、真面目に彼のサムピングの様子を見てみたんだ。
したっけ叩いては居るんだがそれと同時に随分と「擦って」もいて、それが最初は「どうして隣の弦にぶつかる迄親指をストロークしてるんだろう」だったよ。

実際には叩くと擦るをほぼワンアクションで熟してるんだが、そうしとけば全く垂直に叩いただけとは音程感が雲泥の差になるんだねえ。
一寸考えてみりゃ当時スラッパーは他に居なかったんだから、「Bassの音」がしなきゃ唯の色物扱いで処理されただろうね。

飽く迄Bassの音がした上でパーカッシブにするのが、開拓者には今より必要条件だったんだね。
そして意外にもそんな古典的なのが、各奏法を併用する上でも有効な手段だった訳さ。

=つづく=

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