音楽備忘録1912 映画・TV等への専門家が作った音楽㉑
既にチラホラ名前の出てたHenry Manciniだが、杜撰大王世代の一般認識では「イージーリスニングの人」の印象が強かった。
その頃だって超有名な映画やTVドラマの音楽に深く携わってたんだけど、自身の楽団でのパフォーマンスも中々盛んだったもんでね。
それが本稿を書く都合で再度調べてみると、Lalo Schifrinと双璧と言えるのは彼しか居なかったのよでの再登場ざんす。
量に拘らなきゃ他にもレジェンドは大勢居るが、実働全盛期間とか汎用性も考慮に加えるとさ。
米って合衆国なだけに登用人選はホントに多士済々だったんだけど、映画ならHollywoodとか強力な元締めのせいで最終的には狭い範囲のタイプに絞られてんだ。
尤も絶対的安心の娯楽としては一択で、好きな人には気楽に楽しめてとても良いんだろうけどね。
けど杜撰君としては古い白人固有の価値観に縛られてて、解釈が違ってこっちじゃ変なのとかがほっぱらかされてるのがどうも喰えんのよ。
それだからか一寸攻めてるレジェンドだと再登用が極めて少なく、特に1980年代以降のは古き良き時代を知る者には壊滅的なんすよ。
そんな忌々しくも結構厳しい俺言い「Hollywoodコード」を巧みにかわし乍ら、長きに渡って携わったのの片割れが彼だったらしいんだ。
実際彼のって穏やかさやおおらかさでは白眉も、刺激・斬新・独創性等では俺には若干物足りなさを覚えるのもある。
強いて分類してLalo Schifrinをタカ派とすりゃHenry Manciniはハト派ってなもんで、作品毎の相違が目立たないが実に色々なのをやってんだ。
有名処で「刑事コロンボのテーマ」(原題:Mystery Movie Theme)だと全体はオーソドックスなオケだが、1番の主旋律は深いReverbとポルタメントの効いた電子鍵盤(wikiに依ればYAMAHA YC-30)で奏でられてる。
コレあたしゃアナログモノSyntheかテルミンかと思ってたが、実質的にはほぼ同じ音だ。
昔の高級業務用Organって音源を殆ど選べず弄れない代わりに内蔵Effectを充実させてて、それも定量的なコーラスとかじゃなく任意で捻じ曲げられる様になってたらしい。
現代では標準装備のデジタルコーラスやReverbが不可だった代わり、任意に伸縮させる・音程を上下させる等がかなり大胆な設定になってた様だ。
って何故それなりに詳しい筈の昔の事を知らないかったら、当時あまり↑の機能をフル活用してた作品が無かったからだ。
この件エレキはStratoのアーム等と同様で、ジミヘンがフル活用する迄登場から10年程のインターバルを要してる。
加えて担当奏者が意欲的でも親分が承認しなきゃ不可能で、全体の音の感じや本人の風貌に反し彼って何気に攻めの気持ちに満ちてたのの証拠ですわ。
そのせいか表面的に聴いてると「普通っぽさ」だけが目立って、おまけに冒頭の如くイージーリスニングで一世を風靡しちまったもんだからかなりあった独自性を皆に忘れられてるのかな。
原因はともあれ大して得にならなかったとしても、絶対に聴いといて損する事は無いと思いまっせ。
=つづく=
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