音楽備忘録1851 メカニクス的に低難度だが感覚的に高難度な奏法への不等蔑視問題➌
ほんだら楽器別の仕分け作業と参るが、初回はGuitar属だ。
メカ低感高奏法で最も影響の大きいのが発音方法で、ここでの発音とはどうやって音が出されるかざんす。
単音しか出せない楽器にも色んなのがあるにはあるけど、全く意図してないのに僅かでも勝手に起きてるのがGuitar属の特徴なんだ。
弦5本迄なら各々指を対応させて弾けば完全同時発音が可能だが、6本以上とかピック等の使用時には厳密にはこれが出来ない。
と言ってもそのタイムラグは極僅かなんで普段の使用では意識する必要も無いが、ある意味この弱点を逆用すると独特なタイミングで鳴らせるんすよ。
鍵盤その他でも近似なのは可能なんだけど、その難易度は格段に上がっちまう。
ってどんなのったら古くはThe Venturesのコードカッティング等で印象的なアルペジオとの合いの子みたいなヤツで、所謂「ウンガラチャッカ」とか「ボロリン」とかなるヤツだ。
これ比較的低速なら他楽器でも容易いが(唯のアルペジオだもんね)、ギリギリ分離して聴こえるかどうか位の高速域になると全く違って来るっしょ。
そんな応用の典型例として杜撰君的には、ドマイナーだがAtlanta Rhythm SectionのBarry Baileyを提示しときたい。
彼はソロプレイの節々に和音の極端に速いボロリンを挟むのが独特且つ象徴的で、結果的に音程もだがリズム面で大きな効果があるんだ。(具体的にはボロリンよりウッキャララッカなんて方が近いかな…何のこっちゃ???)
Drumで言えばFlam TapやRatamacue等と近似の効果があり、他楽器やGuitarでも他の方法では殆ど得られないニュアンスが出せるのよ。
と云う具合で専門的詳細分析すればどのタイミングでどんな音が鳴ってるか解析可能だが、普通に聴いてると正体不明になる速度域なんだ。
んでこの手のだけ何故「手加減」に有利かったら、動作がオルタネイトピッキング等不要なワンアクションだからだ。
各音の粒を揃えたい場合には不向きだが、その代わりもっと速く出来ましてね。(もっと速めりゃ唯のコード弾き)
Drumの超速シングルストロークとバズ系(2連以上)か、バスドラで足首ダブルかスライドダブルのどっちを使うかなんてのと良く似てる。(詳しくは別稿参照:夫々に異なる適性速度がある)
強いて速さも粒揃いも欲しきゃ打込みが最善なのも付記しとくけど、一定速度以上になると段々「粒の比較」が無効化するのよね。
故に実際絶妙にするにはかなりの訓練が要るんだが、視覚的には全く簡単で楽そうにしか見えない。
それで今劣化本邦を中心につい蔑視されてるんだろうが、皆見た目よりもっと音を聴いて判断してけれよっての。
わ兎も角これの効果の中心はリズムに面白い変化を加えられる事だが、それに任意の音程を実音で同梱可能なのが他の技と大きく異なるんよ。
因みに数少ない過去国内文献では恐らくこれを「弾ける様な」一言で片付けられてて、間違いでは無いがどうやって得られてたかの言及が無かった。
技の源流はかなり古いのもあって現代での必要性には疑問符が付くだろうが、案外研究と派生形が遅れてるのも又事実。
視覚では目立たぬが音的には大きな効果があるんで、上手くアレンジ出来たらまだ発展の余地が結構残ってん。
ほぼGuitar固有の技法なのと相まって、この奏法の地位向上を切に願いたい。
-続く-
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