音楽備忘録1807 過小評価で忘れられつつある人々㉕
前回から若干タネ切れ感が拭えぬも、ドンピシャを想い出す迄は近年知名度が低下危惧される人達に触れとこう。
今回はトップバッターとしてThe Yardbirdsを取上げるが、現時点では名と代表曲位はまだ埋もれてない。
のになしてってば、曲タイプや編曲の柔軟性の凄さについてはほぼ誰も語らなくなってっからだ。
彼等は正直言って万人ウケする様なヒットは少ないし、活動期間の短さメンバーチェンジの煩雑さからすればさして注視されなくても不思議は無い。
けれどRock系奏・作曲・編曲者等にとってはヒントの宝庫で、聴き専と評価が同じじゃ具合が悪いんだ。
オールマイティったらBeatlesの方が数段上だし、他にTho Whoやらなんやらと色んなのが居る。
がそ奴等は使用楽器や編成が何でもありなのが、The Yardbirdsと来たらSE(効果音)以外は殆どそのままの楽器・編成で熟してるのが稀有なんだ。
Bluesharpこそ頻繁に登場するにせよ、杜撰記憶にある限りじゃFor Your Loveの客演でしか鍵盤(しかもharpsichord)が出て来ないんだよ。
普通色々演ろうと思ったらこれは実に過酷で、特に今劣化本邦ではリズムパターン自体を冒険しないから尚難しい。
のは知らないか知っててもダサいとか古臭いとかカッコ悪いからかも知れんが、そうするかGuitarでClassicやJazz固有の奏法でも出来ないと埒が開かないよ。
っつう事って彼等は曲のベーシック箇所に於いて稀有な勇者で、ポピュラー系標榜者には殆どの人に好ましいサンプルなんすよ。
ベーシックってのは具体的にはリズムパターンやその変化とかリフで、メロや歌詞が優れたのとは違う良さがあるんだ。
後者は誰もが憧れはするものの時に才能と云う絶対動かせない要素に支配されるが、前者の方だったら誰にでも分隔て無く引用・応用が可能なのさ。
なんてさもしたり顔で語っててあんまり上手く利用出来てない杜撰君なんだけど、例え使え使わなくても知ってるだけで気が楽になるのは確かなんだ。
それともう1つ興味深いのが彼等ガチのBluesヲタの癖に、英テイストどっぷりで本国米っぽい奏法等が出て来ない処。
実際には黒人から絶大な影響を受けてるのに、如何にも当時の英青臭さしか殆ど感じられない。
コレ悪く云やコピーし損じだけど、異なる世界観のものを取り入れたい際にはその面でも参考になるんすよ。
中でも黒人Blues系カバー曲の仕上がり具合が見物で、彼等の手に掛かると黒っぽさが極小なんだ。
その結果確かに曲自体はカバーでしかないのに、露骨に英音楽になってるんだよ。
でベーシック箇所勇者の件へ戻ると、技術的に高度なのは一切使ってないのも応用するのに最適なのだ。
幾らシンプルでも不慣れだと少し時間は掛かるだろうが、それって一種のエゴなんだ。
例えば普通速の8分音符なら何でも平気と言っといて、その奏者の不慣れパターンだったら即座に演れんなんて外野からしたらおかしな話しやろ。
そう云う悲劇を減らすには誰でも少しは参考にする必要ありと考えてて、他のじゃ駄目ってんじゃないが彼等が一番楽な方なんすわ。
しかもなるべく初心な内に体現してみるのがお勧めで、運悪くベテランでもまだだったら早速コッソリチャレンジしてみた方が良いんじゃないかな。
=つづく=
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