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2024年7月26日 (金)

音楽備忘録1806 Rock時代の松田優作④

さて彼のアルバムでの雰囲気醸成にエレキBass程際立ってはいなかったが、杜撰大王的には生Pianoの影響もある様に感じられる。
最多登場頻度としてはGuitar Band+αの構成なので、エレキGuitarやDrumの方が常時鳴ってた筈なんだけどね。

けれど他の標準的Guitar Band系と趣きを異にしてたのは、生ピの使われ方なんだ。
通常Rock系アンサンブルではバラードとか一部の以外は王道のエレキが主役に居座ってるから、鍵盤は伴奏の補強として用いるのが普通。

なのが曲リフへの参加が多いばかりか、Guitarと対等にソロパートが与えられたりしてるんだ。
そりゃあDeep PurpleみたいにGuitarと鍵盤の地位が拮抗してるとか、主役がPiano・Vocalだったりすりゃ’70年代のでもそう云うのはあったがね。

当時一等新しい音と言えばSyntheに違いなかったけど、ワイルド系で主役にするのは今だって少し難しい。
のに対しエレキのOverdriveサウンドが漸く一般に普及した頃な上、↑にもそのまんま利用可能だったからこそのHard系隆盛からMetal系の黎明だかんね。

Rock系で生ピが一般的に再脚光を浴びたのは私感じゃ’80年代後半に入ってからで、長らく続いたエレキ歪み音色に一部の人が飽きが来たからじゃないかな。
この様な時代背景からすれば彼のアルバムのは結構珍しい口で、ワイルド系なのにしょっちゅう生ピってなぁやはりBluesを根底に据えたからな気がするな。

大昔の米黒人って差別で貧だからショボいAmpなせいで、望むと望まざるとに無関係に割と早期からエレキは歪んでたよ。
けど実はそんなのは本当の底辺では無くて、楽器を自前で持てなかったのが最貧なんだよね。

でそんなケースでも比較的触れられるのってば、学校や教会に常設だった鍵盤しか選択肢が無いと。
それ故Disco全盛時ともなればほぼ解消してたけど、音楽ジャンルと楽器の関係が米黒人には無法地帯みたいなもんだった訳さ。

故にそんなに目立たないし普段全然意識はしてないが、生ピでBluesって人が結構その頃だと普通だったみたいなん。(綾戸智恵さんがその伝統を微かに伝えてるのかな)
でⅡで彼のアルバムのへ戻すと生ピでは更にRagtimeスタイルのが多目な印象で、ムード満点だが探偵物語のOPのは最初は何処から来てたかなんて全然分からなかった。(しかもご丁寧にもHonky Tonk調律で)


だが彼の出自と当時の今より苛烈だった差別を考えると、今の我々だと頭でしか理解不能なBluesの深い部分に恐らく共鳴するものがあったんだろうな。
米西海岸への短期留学(予定では短期じゃなかった)も、共感と確信の礎になったんだろうし。

その意味で下手ウマ歌唱でも説得力が妙にあったのは当然の成り行きで、音楽の技術的専門知識は未だしも文化や主張に対してはかなり深く理解してたんじゃないかな。
それが少なくとも感性で聴く人には、記憶に残ってしまう原因に違いないよ。

-続く-

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