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2024年4月25日 (木)

音楽備忘録1714 今時真空管の得失⓮

前回の流れから今回は敢えて石コンプ・リミッタの進展について触れるが、何時迄も単純動作のばかりなのはコストや調整がネックになってるんだろうか。
デジタルバーチャルのも普及して早10以上は経ってるってのに、何故か必要な進歩は止まってるんだよねえ。

杜撰大王的なその理由は「向いてない」からで、ゆがみは未だしも音色歪みから完全回避されられないからなんじゃないかな。
入力ソースに特定の傾向とかあったらそれなりの対応策もあるんだが、音色タイプ別にコンプ・リミッタも別のが要るなんて受入れ難いだろうしねえ。

今迄大抵は最少数の使い回しで賄って来てるし、マルチEffectorみたいに多用途には使えないしさ。
これ等が枷になるのは各パラメータのプリセット設定を難しめてるのと、随時マニュアル設定ではそのパラメータが大量になってしまう事。

こう云う件では過去にLEXICONのデジリバPCM45で、敢えてプリセットしか無い仕様にしてたとかがあった。
Reverbの方ではデジリバ以前のって「響かせる箇所」の都合から、どれも大して音色自体は変えられなかったから功を奏したのかな。

正直言うとコンプ・リミッタの設定は下手すりゃリバーヴに負けん位素人にはハードルが高いんだけど、大昔から自由に弄れるのが出ちゃってたからねえ。
結果現況ではプリセットが容認されるのはFairchild660・670位で、実際俺も音が分からないプリセット仕様は候補から外してたな。

しかしこの業界での体験が膨大になった後の今では、適切なプリセットだったら相当使えるのが分かったよ。
エレキGuitarの歪み系でMarshallがかなり一択化してるが如く、どれでもスイートスポットはそんなに多種多様じゃないんだ。(無論例外はあるがそんなのは普段使いには縁遠い)

百戦錬磨の技師が選択・設定すれば設定の自由度より、基本的な回路構成の方が重大な意味を持つんですわ。
こんだけサチュレーションやコンプ・リミッタの需要は増えてるってのに、球のパワーコンプレッションを誰も活用してみようとしないのは残念無念やがな。

自分も含めもう少しパワーコンプがリミッタに最適なのを、早期に大勢が気が付きゃ良かったんだげどさ。
グズクズしてる内にアナログ帯域用高圧トランスが、ニーズは減りぃの生産縮小で高騰&一層入手難になっちまった。

但し云十万以上の高額機種を作るなら、アナログフォトカプラと併せ何処か一社位は作って維持して欲しい。
ある程度の台数が出回って使って何年か経たん事にゃ、エレキAmp以外でのパワーコンプレッションってのの具体像が皆に見えやしない。

今劣化本邦で若者にバブル期のゴージャスさは年寄りのノスタルジーと誤認されるのも、当時の実体の紹介をマスメディアが意図的に避けてるからだ。
杜撰大王は悲しいかなバブルとは縁遠くて、周囲の隆盛と自分の貧とのコントラストが一寸キツかったけどな。

事実を隠蔽すると進化が鈍化するのは何でも一緒、百害あって一利無しですぜ旦那。

-つづく-

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