音楽備忘録1627 Carol Kayeショック➌
さてAmpeg B-15NとSの続きだが、最大の欠点ともなり得るのはBassの高音弦が細目・薄目の音色になる処か。
尤もBassらしい低音を充分得るには↑は避けにくく、それはアンサンブル内でのバランスとして聴いてみると良く分かるんだ。
最大出力が30と60W・スピーカは15inch一発なんで大規模Liveには不向きだが、比較的コンパクトなのがレコーディング向きの最大理由って訳じゃねんだ。
主流派のベーアンは何でも太目に出すのが最適ではあるがそんなステージに合うAmpで困るのが、デッド目なスタジオでの録音時なんだ。
ライブな音場程低音が響かないんで、録ってみると高音弦が悪目立ちするんすよ。
昔の欧米のステージは低音がやたらと響いたりするんで、そこでだけ丁度良い按配になってるとね。
又ひと口に低音重視っつっても色々あって、必ずしも大バランスばかりが欲しいとは限らないんだ。
最大の懸案は小さ目バランスでもローがちゃんと聴こえるかで、それ故パーソナルオーディオにはラウドネスやバスブースト機能が搭載されてるべ。
因みに業務用PA系のにはそんなのホントに皆無で、寧ろ何か付加機能があるとしたら減らす方のLow Cut Filterでっせ。
Bassが最低限のバランスになっても低音が聴こえるかどうかは、アンサンブル全体に対し甚大な影響が御座居ま。
Carol Kaye先生も俺と同じくGuitarが先で、そもそも’50年代はBebop JazzでプロになったGuitaristだったん。
それが’63年に急遽トラでBassに触れた際、アンサンブルの骨格を支配出来るって理由でBassメインに転向したそうだ。
この最初から音楽の全体像を意識してたのは大変重要なポイントで、その結果の一部がプレべなのにリッケンに近い音色となった模様なんだ。
今はベーアンの音創り巾が拡大したんであまり困らなくなったが、オッサンの若い頃はまだプレべタイプを持ってってショボイAmpしか無かったら充分な低音は諦めるしかなかったよ。
因みにⅡでEQストンプ挿入等で補填可能なのは1にスピーカ2に出力段が対応してた場合限定で、当時の廉価品の殆どは底突きを起こしたり忽ち歪んだりして期待薄だったよ。(俺はBass歴初期にベースブースタを持ってた)
結局コレに懲りたのとチビに大柄は不似合にて、それ以降持ち替え不可な状況では俺はFenderタイプのは避ける様になったんだ。
又ⅡでCarol先生全盛時も欧系ではアンサンブルの重心が低かったが、米ではワイドレンジ且つ湿っぽいのはあまり歓迎されてなかったからね。
因みにⅢで当時のシックな欧州サウンドはムード満点だったが、分析耳で聴くと高域がとても控え目な感じになってるだけでローエンドなんて幾らも入ってないから聴いてみそ。
半分は偶然かも知れんがCarol Kaye先生の音色って、Flat弦+プチミュート以外は他の昔の人のより今の状況に直接導入可能なんすよ。
それも含めて今に続くBassの音色やフレージングの原型を、初めて作った人と言えるんじゃないかな。
んっまそんな事より兎に角躍動的で痛快だから、とっくに誰が真似したって不思議じゃなかったんだけどねえ。
今劣化本邦じゃ高評価して参考にしてる人が少なきゃ、特に躍動感の部分で足元に及ぶ人さえほぼ居ないのは悲しいな。
=おわり=
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