音楽備忘録1570 サチュレーションの話し➎
ここ迄はサチュレーションの大まかな種類を綴ったが、それ以上に大切なのが「どの段階で掛けたか」だ。
現行シミュレートの弱点は主にココにあり、1箇所だけで賄おうとするのに無理があるんだわ。
サチュレーションに関して私感で良質と感じたのは’70年代以前ので、’80年代以降になるとサチュレーションの一部は段々無効化してたんだ。
明瞭度の点では良くなっても、それ以上に個性や雰囲気の喪失が大きくてねえ。
これは奏者・楽器等が不変だった人ので比較するとハッキリして、寧ろ当時は良かった楽器を変えたのかと勘違いされられた位だった。
これ等の差を逆に辿ると原因が氷解してくんだが、筆頭は真空管機器の使用・不使用だ。
新しい電子部品が登場しても業務用ハイエンドに実用する迄には、途方も無い時間と労力を要するもんでね。
従って安全第一で行くとなると、多少古びても実績の方が尊重される。
これには人的要因にも大いに関係して、充分習熟後にほぼ無意識に使い倒せるかも含まれてん。
加えて業務用ハイエンド機には性能的余裕もあったんで、10年落ち位はあんまり気にしなくても良かったんだ。
その典型例は大昔述FM東京の送信機が驚く程後年迄管球式だった等で、それ処か未だ「何時かは球NEUMANN」が憧れだったりしてるさね。
でもし幸運にもその機会に恵まれたなら前述の如く、球の他に古典Micダイアフラムでのサチュレーションも加わる。
流石にMixer卓等での球は今となってはかなり苦しいが、それでもサチュレーションの⅔は獲得されちまうんだ。
ほいで俺よりゃ趣味の新しい従兄等にとって最重要なのが、アナログ録音機での俗称テープコンプだ。
これの最大特徴は録音機前が何であろうと、当時は絶対に避けては通れなかった処だ。
球ヲタの俺からすりゃテレコだってBeatles等が常用してる球のと石のじゃ結構差があるんだが、磁気テープに依る「磁気ゆがみ」自体はほぼ同一だ。
これのⅡで特異点は最も歪みが目立たん処で、秀逸にレベルを扱えると聴感上の歪みがほぼ感知不可になるのよ。
その意味ではサチュレーション王と見做せ、パワー感より美しさを欲しがる人にはとっても残念な現況なのだ。
それからリリースにはLPレコード化する必要があったから、盤上での物理的サチュの他カッティングマシンでのも更に追加されていた。
この後にも過去には聴く段階で球Ampと古典スピーカでのが加わってたのは抜きにしても、直列接続Effector不使用時で都合最低6段のサチュレーションが掛ってた事になるんよ。
せやさかいもし再現を目指すんなら発想段階から、最低4〜6段程度は微妙に異なる性質ので頭を潰してくべきなんだ。
それを多くてせいぜい3段で潰そうなんて虫の良い事言ってたら、そりゃあ似ても似つかないニュアンスになるのは当り前やんけ。
先ずは夫々のの性質差・段数とその順番位は想定しなきゃ、お話しになる訳ゃ無いんだよ。
因みに体験では録音機前に球やMic振動板由来のが入る入らんで、録音機の歪み発生率がかなり変わるで。
何しろアナログ録音機はパルスは大の苦手、現代レベルのをそのままブチ込みゃほぼ歪みは避けられんて。
将来万一½inch巾のオープンテープが手に入ったら、その実態をただちに公表してやんよ。(先ず無理だろうが…トホホ)😢
-つづく-
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