音楽備忘録1595 古典楽器の恐るべき隠れた実力④
漸く落着きを取り戻せたんで、前回述実験を冷静に分析してみませう。
そこで先ず疑念として浮上したのが、古いのなら必ずピーキーじゃないって考え方だ。
その内機会に恵まれれば又実験するつもりだが、きっと少数でも例外はあるんだろうな。
ので慌ててビンテージに手を出して損しても知らんよと、保険を掛けとく狡い杜撰大王であった。
だが全体傾向としては、他楽器の体験も含め揺らいだりゃしねんだ。
この裏には自説「今の楽器はヘビー過ぎる」があり、更には楽器と発振器(高い安定度の音を出す装置)では求められる物が真逆って信念めいたのがあるねん。
耐久性や物理性能を高めるのにガッチリさせるのが良いが、それでは個性やその差が段々弱くなるんすよ。
悪く云やテキトー・いい加減、されど程々にしとかんとアカンのや。
究極の安定を訴求するとサイズ・材質・発音体等が同一なら、誰がどう作っても殆ど同じ音になるんだな。
のわ例えばその皮その弦等で出せる最長のサスティンは、胴体に依る損失が無きゃ皮や弦の物理性能だけで決定するわな。
つまり発振器には生真面目公務員みたいなのが向いてるが、楽器は如何にして「変な癖を付加」してやるかが腕の見せ処なんだよ。
同じ様に奏でたのに毎回全部違う音になったりすれば、流石に特定目的の以外では操るのに困るけどさ。
デジタル楽器の登場でリアル楽器へのニーズは変化して居り、安定性を優先するなら今更アテにならないリアル楽器は完敗だ。
同じ様にⅡで鮮烈なPeakを与えるにも、デジタルと比べたらリアル楽器なんて物の比にもならんがな。
せやさかい以前述の如くピーキーになっても明瞭度や安定を優先して録音でご利益があったのは、デジタル化以前の話しなんすよ。
そして「共鳴の質」ってぇのが最も大事で、今リアル楽器に求められてるのは唯鳴りゃ良いってもんじゃないんだ。
ここでそろそろ100君サウンドの秘密に迫っとくと、胴だけじゃなくエッジ部の特殊な細工は初めて見て知って驚いたんだ。
金属胴のエッジは折り曲げ加工とするのが常道なのに、なんと共鳴管になる様にしてあったのよ。
ブラス製だから管楽器からアイデアを失敬して来たか知らんが、丸めて溶接(多分)してる癖に1箇所だけ穴が開けられてたんだ。
コレ音響理論的にはヘルムホルツ共鳴器に値し、管と穴の定数次第で共鳴特性を任意に設定出来るんだ。
元がアコースティック楽器なんで一寸変な言い回しになるが、胴だけ視点だと普通のその他大勢はソリッドタイプでこいつぁセミアコってなもんだわさ。
そのせいか意外ににも、中低域が他のどれより芳醇になってるんだ。
それも高域倍音を一切犠牲にせずってのは、本当に初体験だったよ。
そんな風に爆音の上逞しいんで、設計・製造は恐ろしく古くても私感では「最新の音」と感じたんだ。
=つづく=
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