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2023年12月 2日 (土)

音楽備忘録1569 Bassサムピングの私的葛藤➌

ほんだら続いてはピック・指で限界フルスイングさせるとは、どう云う状況になるのかを少し掘っとこう。
単純理論的には弦振幅はフレット(指板)との間隔だけで決定しそうだが、実際にはほんの一寸だけまだ余力みたいなのがあるんだ。

ある程度の時間経過後には楽器に不具合が無い限り、確かに静止状態の弦を中心に振幅は同心円状になる。
が弾き始めの数回は障害物の干渉を受けないか僅少だったら、「楕円軌道」には出来るしなっちゃってたりするんすよ。

無論そうなるには条件があって、フレット(指板)とは平行方向じゃないと駄目だけどさ。
それがピック・指弾きではやろうと思えば案外簡単で、習熟は必須も初期段階では唯弦とのリリースを一寸粘りさえすればエエねん。

これは電磁Pickupの磁界歪みを利用する上でも、お約束と言っても良い位の振幅増加方法だ。
だがスラップと併用しようとする時だけ仇になってて、それは望まれる振幅方向が90°違っちゃってるからなんよ。

スラップで極力典型的な音色を出すのに打撃を強調するには、Pickupに垂直に弦が打付けられるのが良い。
そうしないとフレットぶち御免の、俺言い「超ワイルドピック弾き」との差別化が不足するんだわ。

これがピック不使用の人なら未だしも、頻用してると結構気になるのよ。
因みに俺知りで全盛期のRoger GloverやJohn Entwistleが該当者で、特に後者はスラップ奏法以外では最もパーカッシブな音も出せてたんじゃないかな。

で戻ってPU垂直打付け奏法にはパーカッシブに出来る反面、音程感は希薄になるのが半ば必然なんだ。
因みにⅡで悪脱線すれば「ド下手ピック弾き」なら三味線ばりにペンペンいうだけで、音程感希薄だからスラップと併用するのに丁度良いかも知れんがね。😵

でもそんなじゃBassの本業を放棄したも同然だし、音色差不足で奏法使い分けの意義すら殆ど損ねちまわ。
寧ろ現代はスラップだけが音程感希薄を許容されてる様なもんで、それにはSynthe Bass等のバックアップ体制が充実したからだろう。

出来れば今だって音程感を損ねずにパーカッシブにすべきなんだが、かなり変態的なサムピングを習得しないとそれが叶わんのどす。
しかもそのサムピングは高速化には不利なんで、挑戦者がほぼ居なくなって久しいのかな。

そんな中未だにこの問題に正面から立ち向かってる人が居て、それが始祖のLarry Grahamだったのよ。
俺がこの点に気付いたのは比較的最近になってからで、それ迄は昔の楽器や録音は音が太くて羨ましいなんて思ってたさ。

だけど何時の時代のを試聴してもそんなだったんで、真面目に彼のサムピングの様子を見てみたんだ。
したっけ叩いては居るんだがそれと同時に随分と「擦って」もいて、それが最初は「どうして隣の弦にぶつかる迄親指をストロークしてるんだろう」だったよ。

実際には叩くと擦るをほぼワンアクションで熟してるんだが、そうしとけば全く垂直に叩いただけとは音程感が雲泥の差になるんだねえ。
一寸考えてみりゃ当時スラッパーは他に居なかったんだから、「Bassの音」がしなきゃ唯の色物扱いで処理されただろうね。

飽く迄Bassの音がした上でパーカッシブにするのが、開拓者には今より必要条件だったんだね。
そして意外にもそんな古典的なのが、各奏法を併用する上でも有効な手段だった訳さ。

=つづく=

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