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2023年11月21日 (火)

音楽備忘録1558 サチュレーションの話し➋

ってな事ってサチュレーションは所謂歪みじゃなく「ゆがみ」なのだが、デジタル化以降に音楽がこの要素を要求し出した理由を先ずはしかっり説明しとこう。
それはデジタル録音になったら音量の上下等が、不自然に大袈裟に拡大した箇所があったからだ。

無響室等特異な状況以外の楽器を生耳で聴いたのが今昔問わず基準になる訳だが、楽器と耳との間に一定以上の空気が介在すると原音より結構マイルド化されてるの。
空気って弾力性に富んでるから、突然のパルスにはリニアに追従出来ねんだ。

なので如何に硬い音色の楽器を作れて奏でようと、それより幾分かマイルドになった音しか普通は聴けないんよ。
それが超On Mic+デジタル録音にすると空気緩衝の部分が不足するので、多少新鮮味はあるかも知れんが非現実的なキツい音になっちゃうんだ。

以前にも散々吠えした様にそなんじゃ汎用Popsには硬過ぎて困るんで、空気以外の手段で補填したくなったのよ。
極一部では空気緩衝を積極的に有効活用してるのもあるが、四畳半Folkみたいな感じにしたいとEchoが沢山掛っちゃ不味い。

その他にも雑音混入や明瞭度劣化等のリスクが小さく無いので、それを嫌うと空気は少々扱い辛いのだ。
さてこれも過去述だがかつては輪郭だけを留めるのも困難な有様で、今とは真逆の苦しみが長く続いてたんすよ。

Micでボケる→球でボケる→テープで…と、何処でも彼処でも良く言やマイルドにその実どんどん呆けて行く。
原音に対してあまりにボケ度が過ぎるから、↑のOn Micなんかも開発して利用したんすわ。

それ等が皆デジタルになって漸くボケ病から開放とぬか喜びしてたっけ、今度は不自然な硬過ぎ君になっちまったと。
それを身近で確実な半導体電子回路やアプリで何とかしようとするのは半ば当然の流れも、根本原理から考えりゃ無理筋過ぎるんすよ。

球のみが一応電子増幅素子なだけで、他のは磁気や物理的ゆがみでマイルド化してたからさあ。
磁気テープやMic・スピーカの磁気回路は分かり易いが、その他振動板のゆがみやトランスの磁気歪みってのもね。

しかもそれ等は皆当時としては最低歪み率を狙って、不可能な分を仕方無く目立たない様にした代物で御座居。
つまり真逆の方向を目指して出た結果なのと、電気以外を利用しようとしない時点で原理段階からもうちゃんと近付くのは困難なんですわ。

それでも古典電子部品や磁気の非直線性だけならある程度はシミュレート可能だが、実機LEXICONの残響パラメタ―以上に激鬼拘りして膨大にしなきゃ全然近寄れさえしないんどす。
ってのは球だけトランスだけならまあまあ単純な反応で済むが、それ等が実際には色々と複雑に相互に影響しあってのものだったからねえ。

のでもしそれを実現しようとしたら今だとデジ/アナ・リアル/バーチャル問わず、廉価版でも¥50万は下らんだろうし開発費もいったい幾らで済むか分からんのだ。
なんて少々馬鹿げてるのをその内誰かがやるかも知れんが、現況では明らかに商業ベースに乗せるのは無理な相談だ。

しかも幾ら金掛っても構わないなら、古のビンテージ機を持って来る方がそのものズバリでもあるから手っ取り早い。
それ故既存のシミュレーションでは到底算盤が合わず、騙されてくれる人向けにバッタもんを売ってるのだ。

とは言え僅かでも変化してくくれば良いって人だって居なくは無いんで、ダークグレーであっても決して真っ黒じゃ無いのよ。
結局サチュレーションはユーザー過半数位が正しく理解するのが先決で、何処かで過去機の実音を試聴するのから始めてみればぁなのだ。

-つづく-

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