音楽備忘録1537 音楽に必要な高音質➎
さて単に音質が向上して得してる1つにVocalがあると思うが、昔の狭帯域では声質次第じゃ随分損してた人も居たろう。
オマケにそんな頃って鼻濁音にうるさかったりして、永ちゃんみたいな誇張の入った発音も下品と嫌われてたしさ。
だから子音成分が当時の有効帯域より高い歌手は、生ではちゃんと歌えてても録音では憂き目も見た事だろう。
これ自体は不動の事実にも拘わらず、今劣化本邦J-POPの連中で昔より歌詞が聴き取れないのがウヨウヨ居るがどうした事か。
勿論歌手の平均力量の低下、発声や発音が未完成ってのもかなりあるでせう。
んがどうもそれだけでは無い様で、あるアニメの始めと終りの曲でそんなのがあったんよ。
始めのはとても音楽的なんだが歌詞の載せ方が良くないのか、一部歌詞が聴き取れない。
かたや終りのは歌詞は全部楽に聴き取れるんだが、良く言って唯のナレーションって感じで全然伴奏とも一体化してねんだ。
これを音響的に解析すると前者は母音(主に音程感)が強過ぎで、元々子音の弱目な箇所が引込み過ぎて判別困難化。
後者は前者程では無いものの母音中の音程を司る周波数成分が不足してるのか、何だか器楽音と肉声の間に隔絶感が拭えない。
昭和の歌でしばしば登場した伴奏と直リンクの無い語りなら↑で無問題も、歌メロが全然目立たず埋没ってのはどうも頂けない。
で今劣化本邦の歌手の中ではどっちも歌唱力はある方なので、これはやはり録り方とMixが非最適なんじゃないかな。
それで想い出したのがPhil Collinsがずっと使ってたリボンMic(beyerdynamic M160か同系統の過去機)、動画で自己のBig Bandの終りにちょっち語った際にその理由が分かった気がした。
叩くだけで歌わないから58か何かで喋ったっけ、かなり籠った感じで子音が全然聴き取れ無かったんだ。
このリボンMicってなひなびた和楽器や子音には断トツの収音性能で、英語の子音ってthのスとか日本語のよりかなり高域なのよね。
ってかそもそも子音のみで母音レスなんで、わざとシュとでもしなかったら狭帯域Micじゃガン無視だがや。
そんなのEQだけでもって確かにそうではあるんだが、Micの高域感度の高い箇所がズレてると肝心な箇所は幾らも増やせず他ばっかり盛れちゃってアカンのよ。
ので一般認識では単に高級な音になるからと考えがちだが、彼みたいなレジェンドだったらそれならもっと超高性能のが幾らでも何時だって使えたざんしょ。
つまりオーディオ的高音質を狙ったんじゃ無く、音楽的高音質を優先した1つの典型例なんじゃねえですかねえ。
敢えて厳密論理的に↑の解析も加えとくと、実際拾える帯域巾は高性能なのの方が広いっす。
該当最重要ポイントで彼の歌声には、恐らくリボンが最も損失が少なかったんだろう。
んでこの最重要ポってな久々吠俺言い「目立つ倍音」等で、各音源の「らしさ」や明瞭度を司ってる要素なんだ。
こんな具合で案外古来からあった生楽器の収音性能・技術が未だ最大ネックで、再生側だけ幾ら向上させられた処でこっを飛躍させらんないとしゃーないねん。
一度腐らせちゃった刺身は、煮たって焼いたってもう食えんですから。
+つづく+
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