音楽備忘録1381 一寸変な歌の練習方法➓
前回に俺言い「喉比率」なんてのが出ちゃったんで、これをちゃんと掘っときませう。
これが正論からは裏技であり邪道なので、加減を誤れば直ちに破綻するから便利だけどリスキーなんだ。
何時の間にか自然と出来てる人も居るもんで、けれどそう云う人には少なくとも当初はどうなってるかメカニズムを自身は理解してない場合もある。
或は絶対過負荷は危険だからとロクに試しもしないでいれば、そんな方法ある訳ないとなって理解しようとしない。
ってな調子なんで中々一般には曖昧でその存在すらちゃんと語られる機会が少ない様だが、歌唱に限らず楽器演奏からスポーツ迄あらゆる分野にこう云うのはあるんですわ。
その中で最も典型的なのが「火事場の馬鹿力」なんかで、ホントに緊急事態にならないと出せない出て来ないパワーね。
先ずは論理解析から行っとくと、音の分野なら瞬間最大音圧と連続定格音圧があるのと近似だす。
別分野でもモーターとかにある連続定格出力と一定時間限定の定格出力が該当し、例えばずうっとだったら100kWが限界だが1時間以内だったら120kW迄出しても壊れないとかってヤツだ。
もっとシンプルに行けば短距離走と長距離走の違いってなもんで、距離を走り続けたくば誰でもそれなりにスピードをセーブしないとゴール迄持たんでしょ。
これがスポーツなら結果が記録に現れるし、機械だったら試験段階で異常高温になるならないなんかで明確に答えが出る。
のが音関系の人力の分は息切れするのとかじゃないとハッキリ現れず、っつうか喉だったらいきなり飛ばす飛ばないの2択しか無いから危険で気軽には試せない。
詳細には経験値を上げてくと事前兆候みたいなのが無くは無いんだが、かなりの経験値になる迄は捉えるのが難しい。
そういう際どいテクなんで初心者にはとても勧められないが、基礎を確立・堅持した上で声色を大胆に弄れるとしたら他に方法は殆ど無いんだ。
これはドラム奏法でも瞬間非合理を許容して音色目的でわざと力むなんてのがあって、考え方次第じゃ限度はあるが切り札になり得るものだ。
所謂ここぞの一打等に活用されてて、達人のそこだけ切り出して全部を模倣して腱鞘炎になる者を多数輩出してたりする。
その挙句達人の技術に否定したり疑念を持ったりする者も出る始末で、どちらも連続定格では無いのを見落としてるだけに過ぎないのだ。
例えばJohn LennonのTwist And Shoutでの唱法は、彼にとっては1曲終わる迄は持つが次の曲で普通に歌えなくなる代物だったらしい。
結果常にLiveの最終曲に当時はしていて、しかし次の日には又普通に歌える程度の負担だった様だ。
どんな曲に遭遇したってなるべく負担は軽いのが望ましいが、かと言ってそれを本当に適用し過ぎれば声色は単色になっちまう。
悪い意味でOperaの歌色がどれでも同じでつまらないと感じたとしたら、これが原因の場合が多い。
実は声楽家の中にも知ってる人は居るんだが、伝統を守るのとMicレスが常態なので滅多に奴等は使わないんよ。
言うなれば奴等は「人間PA」も兼ねてるんで、ああ聴こえても最大出力を普段から出す訳にはいかねえんだ。
事前想定により客席が騒々しかったり際、それに対応するマージンを取っとかなきゃなんないでしょ。
するとフルパワーさえどれだけあれば足りるか分からんので、僅かでもそれをスポイルする様な真似が出来ないんだ。
>つづく<
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