音楽備忘録1290 音を柔らかくする方法➒
さて1回インターバルになっちまったが、僅かな歪みを許して柔らかくする方法へ徐々に進入しよう。
しかもその「歪みの質」が大人しく目立たないものであれば、透明感に優れる生音にさえも施した方が好結果になる場合もあるのだ。
早い話がそれは真空管や古典トランスの「飽和仕掛り領域!?」の活用で、何れも石みたいにいきなり歪まず徐々に歪んで行く性質を利用したもの。
通常のオーディオではチョイと苦しい歪み率も、楽器単体音でならまだまだ行ける範囲になるんだ。
PianoやDrumみたいに単体でも多数音が出せるのだと利用範囲は狭まるが、これ等の歪み感は楽器内の干渉でも少しは起きてんのよ。
例えば繊細なのの直後にワイルドなのを鳴らした時等に、直後の轟音で音波(実際には空気)が乱されてゆがめられたりするからね。
ゆがみは漢字変換で歪みと出るが如く、言わば歪みの親しい親戚なのでありんす。
つまり原音に含まれてる種類のなら多少の歪み増加は、基本音色にはほぼ無影響なのよ。
作品や志向性に依っては意図的にそれを増し盛りしてるのも多数ある位で、RINGOのFairchild 660,670を使ったのなんかはコンプリミッタより柔らか歪みの効能の方が遥かに絶大だ。
ってそれだけ「良く歪む」コンプリミッタだった訳だが、それでも当時は一番歪まなかったんだから隔世の感とは正によね。
今の感覚からしたら良く歪むったらテープやレコードもで、電子回路部が球から石に代わっても全然CDみたいにクリアにはならなかった。
だからデジタル化黎明期にはそれにあやかれると手放しで喜んでたんだが、予想に反して!?Beatlesみたいな音にはちっともなってくれない。
当時の予想ってのは業界一彼らがHi-Fiに聴こえてたから、歪みを減らせれば…と思ってたのは俺だけじゃないよ。
どうも彼等位の環境に居るとレコード化する前の音を聴いてたんで、闇雲に排除するより「歪みと上手に付合う」べきと考えてたらしい。
楽器についても最高峰のに触れられてたんで、生の音を熟知してたんだろう。
因みにかつての良い楽器って単体ではあまり真価を発揮せず、けれどアンサンブルに入れたら途端に雲泥の差が現れる性質があってね。
真の明瞭度ってぇのは何時必要なものかっつうと、多数の音に埋もれそうになった時なんだよね。
つまりいざって時に強ければ、普段はそれが感じられなくたって良いのよ。
そもそも一切の邪魔が入らなきゃ、比べる相手が居ないから良く分りゃしない。
又真の明瞭度の定義が最近は狂ってる様で、オーディオ的に明瞭でも音楽的に明瞭じゃないのは実戦じゃ役に立たんのよ。
例えば鳴ったかどうかはハッキリしても音程がロクに分らないとか、この点に限るとどんどん劣化してっててハーモニーも年々弱体化しとるで。
それには音楽を音として聴き過ぎるのも良くないんだが、そりは次回の講釈で。
>つづく<
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