音楽備忘録1243 過音圧ミュージックはもう沢山➋
一様な速過ぎテンポについて色々文句を付けたが、実はそんなのは氷山の一角に過ぎない。
絶望的に深刻なのが過剰音圧で、特に「曲に不相応な元気過ぎるDrum」が致命傷なのだ。
しかも恐らく元音は大人しいのを無理矢理加工して、かなりPop寄りの曲やグループでもHard Rockみたいな音にさ。
単体としては元気で何が悪いと思えるかもだが、曲に必要以上の元気は却って駄目なんすよ。
粗さとか乱暴さに繋がって、特にフレーズが詰め込んであると最悪だ。
音を逞しく聴かせる方法として「落差」が最も効果的なんだが、速いテンポでは弱い処や「音の途切れる処」を意図的に作ってやらないとね。
その参考として今日はThe PoliceのStewart Copelandを提示するが、元はPunkとReggaeを融合するのにそれは必須だった。
De Do Do Do De Da Da Daではサビ以外は半分のテンポに下げ、SnareのBack Beatを抜いてスピード感を殺している。
Message In A Bottleでは↑の他、バスドラの数で差を生み出している。
サビでは8部音符が出て来るが、それ以外の箇所では頑として4部音符迄しか踏んでいない。
最初聴いた時はトリオなのにそんなに省いてエエのんかと思った位で、けどサビの疾走感をもって納得って感じだった。
実は当時の売れ線としては久々でテンポが速く、その速さはロカビリー以来だったんだ。
ロカビリーの途中迄何故速くてもポピュラーとして成立してたかってば、伴奏がシンバルレガート以外ほぼ4分音符で演られてたからだ。
主旋律も言葉としては細かくても4分主体で、それ故条件が悪くても聴き取りが割と楽だったんだ。
それからBeatが細かくなるに連れ実はテンポが遅くなってってるんだが、スピード感が増してった為に問題にならなかった。
では何故Beatが細かくなってったかってば、4分音符で出来る範囲がほぼ一回りしちまったからだ。
昔に比べると再生音質の平均は遥かに良くなってるけど、かと言って人間の聴き取り速度は大して上がっちゃいない。
そこで新たな手段としては多い物には抜く・少ない物には足すとなるんだが、それには「テンポは速いけど抜けない」のをこしらえるのがヤバいんだ。
個人的には重心が高くなるんで昔のロカビリースタイルはあんまり好きじゃないが、例えばバスドラを小節の頭にしか殆ど入れない事で余白を作っている。
一方でJazzでは全部入れる時は凄く弱くしてて、アクセントと混同しない様に配慮されている。
中には全部入れて弱くしてないのもあるけど、それは例外的存在で常用出来る様な代物ではないのだ。
ってのは小節頭だけを基本にしてれば、1つだけ足すその位置等で幾らでもバリエーションが稼げる。
のが全部フルにしちゃうと無効化する訳で、要するに「誰がどう演っても同じ」になるさぁねぇ。
いやいやそれでもまだ音色の個性ガなあなた、そりゃ加工度が低かったら確かにそうだ。
フルコンプ・フルEQしちまえばそんなの僅差になって、少なくとも素人(これが一番肝心なんだが💦)に違いは分からなくなる。
因みに過去名作で結構深目にコンプの掛かってるのもあるが、半分以上は「テープの仕業」で昔にそんな凄い機器はおまへん。
コンプ/リミッタの「レシオ」を比べると一目瞭然で、その根源は増幅素子の増幅率にありま。
と言えば電気詳しい人ならこれだけで分かる筈で、今は1万倍以上なんてのもあるが昔はせいぜい100行けば凄かったんだから。
<つづく>
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