音楽備忘録1191 Fenderと偽物の差➌
どうも最近〆が悲観的なのばっかになっていけねえが、使われ方に疑問があったんだす。
如何に銘器Fenderと言えどもあまりに次善策・安全策で用いられてると、本質的な有効ポイントが曖昧化するんだ。
前回後部述のエレキ導入期の日本の音楽界にはある特異性があり、Jazz界以外ではGuitarよりBassのエレキ普及は結構遅れてたんだ。
特にBass Guitarって概念の浸透が遅く、その例として子供番組のテーマ曲での状況を提示しよう。
GuitarでのFuzzの導入時期は本国に殆ど遜色無く、’60年代後半にはRockでもGSでもない上記みたいな楽曲にも頻繁に多用されていた。
それに対しBassはCrunch程度の歪みでも、意図的に使われたのは’70年代に入ってからで尚且つ限定的。
Drumの方もBassと同様で、エレピ等を含む鍵盤等メロ楽器だけキワモノ枠での登用が早かった。
私感に過ぎないがこれが楽器の選択に影響があったと考えていて、フレーズでは既に’60年代から攻めてたのも少なくなかったが音色はオーソドックスなのが好まれたらしい。
尤も当時は新人類(子供)だった俺等の一部はそれをつまらなく感じてて、そんなのも洋楽の方を好む人を多く生んだ一因だったのかな。
何れにしてもそんなだったからスラップの普及も、ピック弾きでもHardな系統のは全体としては遅かったんだ。
ではそれで何故Fender系が最適解になってたかってぇと、従来(生)での弾き方のまま移行し易いエレキにしてあったから。
その証拠の一端が近年ではほぼ絶滅した「フィンガーレスト」の、取付位置等に結構設計想定が反映されてたんすよ。
因みに直訳すると「指休め」になるが、実際は休憩所では無く指弾き時の支点たる親指の位置安定の為に考案された物。
それがF君のは選べはしたが基本は4弦横至近、R君とかのは1弦横で遠目に付けられてるのが多数派だった。
要するに前者は普通の指弾き後者はピック弾きの小指位置を意識してて、尤もF君のはそのままではサムピングにはとっても邪魔な位置だったんだけどね。
ついででその効能にも触れとくとソリッドボディのエレキは他のと比べると表面が平らだし、F君はピックガードも薄目若しくは断面が斜めになってたから滑り易くてさ。
弦に親指を乗せりゃ無関係になるんだが、例えば一気に4~1弦迄進む速いパッセージとかには親指が定位保持の方が楽だったりする。(もっと絶対的なのだとオクターヴ交互とか下を白玉にして上で動くヤツ)
こんなのの他当時の国産脆弱AmpはOverdrive非対応だったし、歪み系ったらFuzz全盛だったんで低域の音程感に乏しい点等でSE若しくはキワモノとして以外Bassでは使い辛かった。
更にBassで音色的に高域迄出したいニーズも少なくAmpもそんなのが主流派で、指弾きとなれば明瞭度やタッチ感は中域が司る事となる。
そんなのに対してF君のがジャストフィットだったからか、’60年代後半~’70年代一杯位の日本の業界では他のどの国よりF君のシェアが大きくなったのねえ。
海の向うじゃ中心ではあったにせよリッケンの他GibsonのEBやRipper等、もう少し野党も活躍してたんだけどさ。
それでも暫くの間は憧れの本物F君だったからか、その特徴を上手に活かした録音作品がジャンル不問で跋扈してたな。
だが段々慣れて恐らく厳密には選ばずにF君一択気味になった副作用で、主に2つの悪い潮流が出来ちまったらしい。
1つ目はスタンダード化し過ぎたせいで、’80頃から活発化した国産のオリジナルでも基本コンストラクションを踏襲し過ぎた処。
そして2つ目がより本題にダイレクトに影響してると考えてんだが、F系音色なら間違いが無いから大体で良いやってのだ。
担当者は決して軽々しい気持ちばかりでは無かったろうが、楽器選択肢が少な過ぎるの音色創作で腐心させられるのがねえ。
<つづく>
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