音楽備忘録1195 Rickenbackerの真の姿➎
話しが前後してまうがこの際なんで、デュアルトラスロッドの調整の実際を今回はお届けしませう。
俺が扱ったのは今迄に2本キリだし、旧型ロッドにはまだ縁が無いから何なんだけどね。
その代り歴だけは継続的に30年弱あるんで、それなりに「色んな反り」への対処はして来てまっせ。
では敢えて普通のシングルロッドとほぼ共通なのから行っとくが、最初に面したのは4003S Bassの低音弦側のみ且つ特定フレット近辺だけの反りだった。
大した工具も持って無きゃ手間も面倒だったけど、削って平らにするのは最終手段として封印した。
これから幾らでも擦り減らす!?と分かってる物を削りたく無かったのが本心で、確証は無かったが問題箇所にだけ外力を加え乍らロッドを締めてった。
製造からその時点迄に大した時間経過は無い代物だったが、輸入品なだけに環境変化に依って後から変容したんだろう。
実は厳密にだと未だ完全寛解には至ってないんだが、極端に弦高を下げなけりゃ問題にならない程度には収められている。
根源的には木目の癖由来っぽいが、今でも締めるに及んだ際はその箇所により外力が加わる様にはしてるよ。
なんて言うと旧式なヤツはやっぱ怪しげなんて誤認されそうだが、少なくとも杜撰大王如きが触れられて来た楽器の中では状況的にはこんなで平均って処だす。
材が天然物である限りは滅多に完全回避不可能な現象で、他のでも俺の場合常にこんな風に施術しとりゃ~す。
っとここから2本あるとの方へ進めてくが、この生贄個体がもしシングルロッドだったらもっと手古摺ってた可能性大でありんす。
ちょい詳述しとくと本日の生贄君7~9フレット付近が問題箇所なんだが、4弦側だけだからシングルロッドだったら1弦側には逆外力迄加えなきゃなんなかった。
それが現代的多弦ネックみたいに広幅で平べったきゃ活路も見出せるが、巾と厚みが最低でも2:1位あってくれなきゃ困難。
例の預かり品Moon JJ-5が近似症状に何とか対処出来たのが、正に↑パターンだったからでね。
そう云う運悪君に遭遇したら、過去実績では有り難くない妥協点を探して対処してやした。
ちなみに月君の場合最低音弦だけ張力が弱いのにも救われてて、弦高の低さ限界が高い(一般基準値より下げられる)んで却って少し順反りで良い位。
わそれとして実際リッケンの方はダブルでかなり助かっちゃいるんだが、過去吠えの如く「一度で済まそう」ってな虫が良過ぎでアカンかった。
口が悪いにしても久々の毒舌っぽ余談噛ましちゃっとくが、ロッドだけで簡単に反り調整が利くのって良く考えると微妙なんだぜ。
それだけネックの木材に根性が無い証拠だから、経年が深まると弛んだ布に入るシワみたいにグシャグシャな形状に至る恐れが御座居ます。
なので根性のある分こっちも長期戦の覚悟が必要で、確かに1本より2本の方が全体的な効力も強いけど焦っちゃ駄目。
この時点のリッケン君で一寸紛らわしいのが、上述月君よりゃ1回の修正巾が大きい処。
それでついもっと行けそうな気がして締めすぎると、Head側のナット台座自体が動き始めるんだ。
尤も実際は他社他仕様のでも多分近似現象が起きてるんだが、台座部分が直接見える仕様になってるのが殆ど無いん。
でかなり注意深く構えてないと内部で台座部が動き始めてても感知出来て無いだけで、見えないヤツでもしやり過ぎたら分かり難いだけにホントはもっと深刻なんだ。
全く非推奨だがリッケンで万一やらかしちまった場合木部の損傷程度がセーフだったら、一旦ナットを外して台座部を交換可能だ。
が完全に埋め込まれてるタイプのだと指板を剥がすとか、F君のワンピースタイプだったら裏の蓋材を撤去しなきゃどうにも出来ない。
特に後者の場合先ず壊さずには外せないんで、手間のみでの対処すら出来ねんだ。
ついでだから更に付記しちゃうが、指板にしても極薄のだと先ず「剥離」は成功しない。
それからすると普段は最も丈夫そうなFender系のが、再生って点では最も確率が低い。
まっボルトオンで簡単に交換出来るから良いが、幾ら独力だけで頑張ろうにも必ず買わなきゃなんなくなるのは忘れない方が良いかも。
仮にそれをクリアしたとしても元ののサイズや形状に特殊性が高いと、代替品を見つけるのはかなり大変だよ。
<つづく>
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