音楽備忘録1199 楽器Amp同士の組合せの話し㉔
さてさて電気楽器用真空管Ampは出力段の飽和領域を使ってちょって強弁だったが、そうすると球のの場合実質的な最大出力が平均出力よりかなり大きくなるんですよ。
物理的にも多少の盛りがあるがそれ以上に、実際に聴こえる音が大きくなるんざんす。
残念乍ら最近はそんな表記はすっかり見掛なくなってしまったが、1980年頃迄の海外製ののカタログには音響の知見がある人には少々不思議な数値掲載がしてあってね。
宅現用のFenderのだと「45W RMS・100W Peak」とあり、何故かPeakが2.2倍になってる。
Ampegに至ってはモデル次第で「100W RMS・260W Peak」なんてのすらあり、普通に増幅回路を無駄無く設計するとPeakはRMSの2倍になるもんなんだけどねえ。
これ所謂プッシュプル増幅回路ってのの原理由来で大体2倍に自動的に定まるだけのもんで、上出F社A社を始め他社の殆どので回路的には比較的どれも原理に忠実だから益々妙な現象だ。
かと言って嘘盛り表記したでもないのにそうなるのは、使われ方が普通のオーディオ用とかなり違うからだ。
一般的な音声増幅回路はその使命が音の大きさだけを大きくするだから2倍で、歪んで音色が変っても構わないならもっと大きな音が出せるん。
但し石系の増幅素子では歪み始め以降はもう殆ど大きくなってくれないんで、この様な現象は通常起らないし何より大抵は音楽的にも全く使えない音にしかなってくれない。
さてⅡでではこの現象実用上はどう云う事になってっかてぇと、歪みを許せば平均音圧が実際に大きくなってんの。
そもそも電力増幅器の多くでRMSとPeakの両方の出力を公表してるのは、前者が聴感上の音量・後者は繋げたスピーカ等の破壊防止の為に電気的絶対値を提示してるんだ。
近年は圧倒的に石のAmpが増えたのもあってRMSのみの単独表記がデフォ化してるが、球みたいに変な使い方したって余計な音量なんて先ず出なくなってんで平気だろうって訳。
で戻って確か大昔に1回だけ触れたと思うが、だから結構歪んでもOKとすると宅現F君は実際ほぼ100W分の音量が出てるんだす。
因みに当時全盛期!?のAmpegではBass用にSVT(300W RMS・700W Peak)があるのにGuitar用が100W止まりだったのもこの件を鑑みての事で、Guitarは深歪み・Bassはクリーン設定とすると260対300となってBassだけバカデカくなったりゃせんのどす。
それに対しFenderやMarshallでは同等としてあったのは、メインの使われ方想定が異なってたからだ。
F君は全部クリーン・M君は全部歪ませを半ば前提としてたからで、それでも私的にはBassはオクターヴ低い分倍欲しい処なんだけどね。
って事って球Ampは俺言い「らしい使い方」をすると実際石のより大きい音が出るもんで、それだから前回のSoldano魔改君は従兄レッスン室にはオーバースぺックになったんよ。
因みにⅡで大変重要な情報を再度授けとくが、Guitar用の100W仕様ってなMetal系大艦巨砲主義Drumset以外には音量的には全く不要なもんなんでやんす。
その発祥を思い出して貰うと良いんだが、人気絶頂当時のBeatlesの悲鳴観客対策ですからね。
その当時楽器はPAレスが標準仕様で、アンサンブルバランスを取る為にスープアップさせたんじゃないのよ。
Bass用のはBeatlesのLive休止迄に間に合わなくて、Stones全盛期のSVT登場迄遅れちゃってたけどさ。
何れもこれ等はMarshall等一部の別目的特化型を除けば俺言い「イカれたお客様専用」なのであって、だから合奏する側の都合でバランスするのはそれ以前からあった出力仕様が雛形になるんどす。
この点に限ると日本って長らく我慢の世代が続いて、Ampが充足する前にPAの洗礼を受けちゃってるから世界的視点に立つと一寸特殊かも知れない。
けど万一これも原因で名奏者が出現し難くなってるとしたら、これは由々しき大問題で御座居ますよぉ。
<つづく>
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