音楽備忘録1133 楽器Amp同士の組合せの話し③
当記事の狙いからするとアカデミック偏寄気味なんで、これと次で理屈は一旦終止符を打って具体例へ進むべく奮闘中につきお赦しを。
だばとっとと進めてくが、出力増幅素子差に依る実用上の音圧差の件だ。
同一出力値のでザックリ目安は、球に対し石のは70%前後。
但し歪みに対して一般よりシビアにすれば、80%前後と差は縮まる。(この場合球の最大音量が実質10%目減り)
尤も実際にはどっちの素子でも設計上の実用歪み率の解釈の違いの影響もあるので、出力数値より「増幅素子の容量と組合せ」から推測した方が当確率が高いんだ。
先により単純な石の方から行っとくと、こちらは無名劣悪品以外’80年代以降のであれば設計基準の差はほぼ無くなっている。
その由来はっつうと以前は今より、楽器Ampはすぐ歪む物みたいな通念があったからだろう。
これは球の方にだって影響を及ぼしちゃいるんだが、その方向性がどっちかったら逆に出たん。
このサンプルに過去定番のFender Twinreverbの変遷で例示してくと、原設計時点での公称平均出力は85Wだった。
のがバージョンアップ2で100W、3で135Wにアップしている。(後にver2に逆戻りさせてるが…)
でこの公表値物理的には一切盛りは無いんだが、Countryの主役等極限られた無歪みサウンド時以外実用上は出力面での差は無きに等しいん。
のは所謂6L6系パラレルプッシュプル構成ってのが、基本的には実用最大出力を支配してるからなんだ。
同等となる組合せは他にEL34系×4等で、どちらも本数の半分(唯のプッシュプルとなる)のは50Wクラスとなる。
では何故まるで盛り表示みたいな真似してたのかったら当然商売だからってのもあったろうが、当時米ではCountryの勢力が過半数を超えてたからだ。
その証拠ってんでもねえがAmpブランドのもう一方の雄たるMarshallの方は、この様な方向性のバージョンアップを一切していない。
実際にはTwin君が135W迄背伸びした処で、M君の100W 3段積みたいな音圧は稼げてねんだ。
それが前述エンクロージャの差に依るんだが他の面も含めると、回路側出力は90~135Wと45~75Wは夫々の該当クラスの100と50を実用上の容量と考えとくのが妥当なのだ。
又以前述だが50Wより小さい方ではその差が10W以上だと大体誰にでも感知出来るが、これを超えると「倍々ゲーム」にならないと専門家でも明確な判別が付かなくなる性質がある。
俺知りで印象にある例外ってぇと、上手く虚を突いた!?MESA/BOOGIEの6L6系×6位だ。
球の仕様上電気的には200Wにはギリギリ届かない位なんだが、歪む方が喜ばれるブランド!?の利を生かして200Wクラス扱いしちゃってやんの。
何れにしても4本の135Wや↑6本の200Wは用途限定がキツイんで、ドンズバ以外時は上出の「クラス」で扱う事になる。
因みにホントに球4本で実用出力200Wが稼げるのは6550とかKT88って形ので組まれたヤツで、Marshallの一部等回路全体は100Wのへ球だけ挿げ替えた様なのはそこ迄出せていない。
しかしディスる気は毛頭ないんで擁護しとくと、後者は出力では無く音色(特に歪みの質)の都合でそうしただけで主目的が違う例外的存在なのだ。
尤もそんな選択方法が楽器Ampでは少数派も、オーディオ用途では寧ろ王道なのだ。
オーディオでは素子的フル稼働はさせてないのが圧倒的多数派で、リライアビリティも勿論あるが根源は球の性質にある。
少しでもリニアに濁ったりくぐもったりせずにと思うと、「歪み率の増加が緩慢な領域」だけをなるべく利用したい。
そして楽器の方で重用される歪みの個性は無効化し、素子選択の優先事項が「歪んで無い時の音色の差」に取って代わってる訳。
歪み時の強烈な個性と比べると味差は薄くなるが、楽器をオカズとすればオーディオはご飯に値するから寧ろそれ位で丁度良いとな。
わ兎も角上記俺言い「50W超は倍々ゲーム」は球固有じゃ無く、トランジスタだろうとICだろうと果てはデジタルD級だろうと目安としては全てに適応ざんす。
それだからこそ電力出力無確認は流石にヤバイが、一応○○Wって表記を目にしてたなら後はスピーカがどうなってるかだけ気を付けりゃ大抵はオッケーなんだ。
<つづく>
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