音楽備忘録989 スピーカのサイズ➏
ここ迄で低音をある程度ちゃんと出すには、ユニット口径もだがそれ以上に箱(エンクロージャ)の容積が必要なのを記した。
これを分割させて補うサヴウーハ式の他に、最近普及率の上がったのにトールボーイタイプってのがあるが…。
正確な起源は特定し辛いが、私的にはバックロードホーンタイプとしての発祥が印象深い。
そもそもバックロー…ってのは「ダクトの長さ稼ぎ」が目的で、かつての日本語称では「折り曲げホーン」とも呼ばれていた。
これ管楽器等の原理と全く同じで、長くする程ダクトの共振周波数を下げられるからだ。
だが50Hzで3.4m必要なんで、もし直管だと部屋に依っては入り切らなくなる。
又理想的にはダクト断面は円な方が良いが、汎用パイプの内径にスピーカの口径を合せられないのも当然少なくない。
そこで木箱内部に迷路様に収めるのが考案され、結果的に箱の一辺が口径に対してはかなり長い形状が生れたって寸法なのだ。
現代の唯のトールタイプはではバックローより遥かにバスレフが多いが、高さの分内容積を稼いで低音を出易くしてるのは一緒。
面積さえ狭目になってくれりゃ高さはあっても平気とか、もっと高くに置きたいが丁度良い台とかの手持ちが無いなんて際にはこの形状は助かる。
但し細長くするのにユニット口径はかなり小さ目で我慢しなきゃなんないんで、同一体積で比べると一般的な形状のよりは低域限界と能率の両方で不利だ。
加えて残念なのが近年の主用途の関係(多チャンネル再生)か、周波数特性グラフの公表がとても少ない処。
確かにスピーカ全体の平均性能が上がったから、昔のみたいに極端な特性の凹凸は無くなったけどさ。
デジタル化の恩恵で折角測定レスでも数値で補填・修正が容易くなったのにそれを奪うってのは微妙で、今後はより欲しい情報の提供具合でチョイスするのが良いのかな。
何れにしても色んな形のが増えるのは、各自の環境にフィットさせ易くなる点では有難い。
だが小型化を優先した結果能率の極端な低下に加え、耐久性等の面でも不利は各段に増えちゃってるんだ。
他より低音って波長は長く振幅が大きい物なので、それを小口径で生成するには振動板ストロークをより大きくせねばならない。
大きく動かすには例えば振動板のエッジに、紙や布より伸縮性に富んだゴムやウレタンが必須となったりする。
それ等は伸縮性の良さが為に短寿命となりがちだし、大きく動かせばその分当然歪みも生じ易くなる。
今回のトール君では低音は箱容積メインで稼いでるから盛大な盛りは不要な分マシだが、爆音は出さないからロングストロークは気にしなくて平気かったらそうでもない。
小口径は適正口径のと比べるとかなり低能率(凡そ2~4倍程度)なんで、音が小さくてもウーハどんは結構ハードに働かされてんだ。
と言いつつ実は俺も実際日常的に触れる迄は結構期待してて、随分技術が進歩してるからもっと行けるかと思ってたんだけどね。💦
<つづく>
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