音楽備忘録860 録音でのプロとアマの違い②
オーバーダヴの続きで「念の為に録っとく」の、プロでの実情に今回は迫ってみよう。
後で困らない様にニーズの可能性のあるのを録っとくだけならプロ・アマに大差は無いが、それをどの位どう活用するかにはかなり隔たりがあるんす。
1.スケジュールがタイトで録音機会が僅少
2.作・編曲の完成が録りに追付いてない
3.奏者と技師が一緒に居られる時間が少ない
等の場合に特に余裕を持たせるのにも多用されたりするが、グループ内に全権委任されてたり独立した編曲家が居なけりゃ否応無しに奏者も編曲に参加しなくてはならない。
アマだってベストを期してる方が多いだろうが、万一不足があっても基本的には内部案件で外部からのは評価が下がるだけでその他の問題に迄は殆ど至らない。
のがお仕事となると不備が確認されると責任の所在を追及され、例えば真犯人がグループ自体だったとしてもそれだけでは済まなくなるのだ。
編曲力の足りないタレントだってんなら、どうしてディレクタやプロデューサのお前は外注しなかったんだとかってね。
或はプロの仕事としてのクウォリティに満たないのに、社長アンタそんなのを売りつけちゃって罪悪感は無いのかとか。(どちらも近年本邦では恥知らずが増えたが…オッと失礼)
前回述の如くそもそも何をどう入れとくかから差はあるんだが、予防線の張り方からしてもかなり程度差があるんだ。
例えば昔のClick不使用のだと曲の最初から最後迄伴奏のだけで12パターンも入れさせられといて、その内のたった1トラックの冒頭数秒分しか完成作品には採用されてなかったとか。
その逆にStevie WonderのSuperstitionみたいに、Clavinetが聴こえた印象を遥かに上回って8つもテンコ盛りにされてたのなんかも。
この2つは採用割合も両極だが、編曲前から録り始めたのと編曲やMixが固まってから録ったらしきって違いもある。
要するにどっちになってたにしてもプロの世界では確固たる理由に基づいた結果であって、例え口では「気分で」なんて言ってても実音化する前だっただけで当事者の脳内にはそれなりに確証があっての事なんだ。
又その理由にも機材面の進化に伴ってかなり変化があって、近年はミスの撲滅やバリエーションが主だが昔のは音色や音質が原因だったのが格段に多い。
今と違ってトラック数が限られてたのに重ねたってのへ目を向けりゃ、少しは察しが付くと思うんだけどなぁ。
喉元過ぎれば熱さ忘れるで今だと大抵は直面してない案件だから、時代劇を主演中みたいな設定でもしてないと失念しても已む無しか。
ってそもそも時代劇を知らんとそれも出来ん訳で、僅かでも良いから作業プロセスのオール人力って体験がホントは必要なんじゃないかな。
只日本では新人研修でさせる昔体験が形骸化してるのも少なくなく、本来なら「脳内フローチャート生成」が目的なのに「昔は大変だったのが今はこんなに楽になったんだからせっせと働け」みたくになっちゃってると厳しいね。
因みに↑脳内フローチャート≒仕事の手順や相関関係の点では、デジタルバーチャル化してても打込みの方が端折れないからそっちから逆輸入するのも1つの手かも知れない。
一般的な打込みをしようとすれば編曲やMixから逃れるのが不可能で、適性ややる気の有無がどうだろうと少しは考えないとそもそも打込めないからね。
<つづく>
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