音楽備忘録810 音の物理的歪みと電気的クリッピング➋
他でも概述の如く今回のも「境界域って狭目」なのは難点だが、音色の変化の仕方に電気のと大差のあるのがミソなのだ。
例に依ってヲタ寄りではあるが、その最大の相違について一寸掘り下げとこう。
近年ではより一般的であろう電気の方から先に述べとくと、こちらは「入って無かった音」が生成されるのが主体だ。
具体的には倍音の種類が増えた様な状態になり、しかし聴感上は必ずしも何時もブライトになったりしないから誤認され易い。
それは最大レベルの箇所が高域であると起き易く、周波数毎の音量バランスが変化するからだ。
つまり高域は頭打ちになるが余裕のあった中低域は「まだ増えられる」ので、そんな際は結果的に籠ったり太くなったと錯覚させられてるって訳だ。
この現象を最大限に有効活用したのが昔のFuzz辺りが典型で、そのせいでハムバッキングよりシングルコイルPUのGuitarでの方がかなり後年迄常用されていた。
俺概知のだとPrinceのが記憶に鮮明で、但しその音色は楽器とストンプの選択や組合せでそんなにFuzzっぽか無かったけどね。
それに対し物理歪みの方は生楽器本体等でのとMicのでは更に2種に別れ、楽器本体等の方には電気でなるのと近似なのも含まれている。
これの具体例としては低音程ので皮や弦の動きをスポイルさせちゃったヤツ等があり、強く奏で過ぎた為に基音が潰れちゃったなんてのだ。
これ高音程になると逆転して電気のに近付いてくが、基音生成に必要な振幅が低音程のより小さくて足りるからだ。
高音程だって継続的に振動を干渉されりゃ影響が表面化するが、低音程みたいにたった1回振幅制限が掛っただけでガクッと落ちる様な事は無い。
俺の場合Bassでは当初から何時も気を付けてたから滅多に喰らわんで済んでたが、太鼓の方では「ヌケの無いTom」だの「ローエンドがお留守でドン詰りなFloor Tom」なんてのに長らく悩まされてたっけね。
これは本人の意思に反して「バチの逃げが遅い」のが犯人だったが、弦楽器で言えばハーモニクスを出そうとするのみたいになっちゃってたからだった。
ローエンドは皮の一番大きな動きが生んでるもんなんで、打った瞬間にバチ先が離れなきゃ出せないのにさ。
野球で打てただけで悦に入って、走るの忘れてアウトになったみたいな恥ずかしい話しなんですけどね。
これがエレキBassではピック弾きがメインだったんで、底突き案件では元々不利な奏法だったのが却って功を奏したのかな。
エレキでもGuitarだと擦り付ける様な感じに弾いた方が良い音が出るが、Bassで下手にそれをすると弦の長さ等でいとも簡単に底突きしてくれる。
そこでかなり意識的に指板やボディに対して平行にはじく様にして、弦が指板に当ってもなるべく振幅が阻害されない様にしてたよ。
これが随分後になって知ったんだが、Guitarでもそんな弦の動きになる様に弾いてる人も居たんですわ。
未だ休養中のウチのGuitaristのなんだけど、高校時代から知ってたのに漫然と眺めてたからか近年迄で気付かず仕舞いで…。
又々杜撰大王ならではと安易に流すなかれ、かなり特異なピックの当て方動かし方をしてたから分り難かったのよ。
その詳細は過去述も知れないしで別項へ譲るとして、何れにしても最大音量を得るには必須な弦の振幅を最大限にする方法なんだ。
だから振幅は殆ど阻害されずも指板へ当たりゃ、振幅にゆがみは生じてるから厳密にはその出音だって歪んでる訳だ。
でも聴いた感じは最クリーンでは無いにしても普通の範疇で、只普通にしてはやたら逞しいしシッカリとはしてんだけどね。
こんな奏法は機械力が借りられなかった借りられないジャンルや時代の方が普及してた様で、道具非依存で音色を広域に変動させるほぼ唯一の手段だったんだよね。
<つづく>
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