音楽備忘録812 魔改造悲喜こもごもⅤ➋
当該機種がRoland CB-40なのは過去記事で述べてるが、魔改造を語るに辺り未説の電子回路部分について簡単に触れとこう。
その中で本件に関係するのはプリ部分だけなので絞ってくが、構成自体は極一般的なオペアンプ2段の負帰還増幅回路だ。
国産BassAmpでは1970年代一杯位迄あるブームみたいなのがあったらしく、プッシュボタンやダイヤル操作一発でトーンを変えられる機能の付いてるのが多かった。
今にしてみりゃ統一規格には程遠い中途半端なのばっかあったって非実用的で、そんなのより先に単純な低域や高域のブースト機能の方がよっぽど欲しかったんだけどね。
只当時は専用施設は僅少だったし出力にも余裕が無かったのからすると、何割かはそれらからの苦肉の策だったとも考えられる。
その頃の素人専用って出力は最大でも30W、スピーカは同じく12inch(30cm)ってのが相場だった。
因みに機器規模だけなら今と大差無い感じがするだろうが、当時のは例え足りるだけの低音がちゃんと出せなくても持運びとコスト等の都合でそうなってたから内実にはかなり差があったんだ。
これの出所は帰国子女の親友ってのは概述だが、家柄が高級過ぎちゃってたのか女子高生が運ぶには苦しい大柄なのを買い与えられたらしい。
つまり仕事にも一応使える一般用って位置付けだったみたいで、実際過去に低予算の演劇系のハコバンで持ってった事があった。
だから他のお子ちゃま向けのよりはかなりマシだったが、魔改前は何しろガタイに似合わないプアなローエンドだったんだ。
それを↑の仕事等で少しでも使える様になったらと思って、先ずはスピーカ自体の性能を調べたり実験して確認してみたんだ。
するともしかしたら師匠の会社でOEMしてたのかも知れない様なマトモな代物で、これには一応裏付けがあるんだ。
師の社の最大の下請け先がPioneerだったんだが、件のスピーカ磁石に貼ってあったRolandのシールの裏にPioneerの文字があったのよ。
けどJBLだとかと違ってP社はPA関係は直にはやって居らず、部品供給はそこそこやってたってもPA系だと自社開発・製造能力は不充分だったろう。
要するに師の社は恐らく孫請けだったって訳で、決して十二分では無いにしても唯の技師じゃ無くて音楽屋が作ったのって事になるんだ。
因みにⅡで国産スピーカがLM方面で外国製に遜色なく使えるのが出たのは1980年代に入ってからで、国産Ampに今より海外有名スピーカのオプション設定が多かったのもそんな事情があったからだろう。
我が国古来の音楽にBassパートの無かったのが関係してるか分からんが、兎に角昔の日本って低音には恵まれてない環境だったのよ。
それが折角出そうと思えば出せるのにそんなにしてあったのは、推察の域でしか無いが音質より無歪最大音量に拘ったからなんじゃないかな。
音程がオクターヴ下がる毎に同音量にするエネルギーは倍になるんで、「音質を無視」すりゃ低域をケチればその分少しは大きな音が出せるんだす。
尤もアンサンブルの都合からすれば音量より音質の方がホントは大問題で、例えば「ズーン」ってのが欲しいからわざわざエレキBassを編成に加えたのにってなるんだけどねぇ。
そりゃ必要出力の半分にも満たないのとなるともう無条件降伏するっきゃ無いけど、きっと兎に角只ギリギリでも聴こえるかどうかでそんな選択しっちゃったんだろうな。
俺からしたらBass用なのに驚くべき事に、わざわざプリ部で低域が削ってあったんだから。
<つづく>
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