音楽備忘録825 他を出し抜く音創り⑨
前回の例示では問題提起の端っこに至ったが、相手にも依るが今だと業界さんも昔みたいに辛口でも正直には言ってくれなくなってんだ。
俺みたいな稀な例外はズバッと本音をバラしちまうが、その結果がある意味今の惨憺たる日常だ。
今本邦で業界メジャーに籍を置いとくには電通様が絶対で、ウルサ目の宗教そのものと思って貰って良い。
だが世間の良識と電通の正義には縮められない乖離があるんで、業界メジャーでも実務担当労働者は腐心しつつ苦労してんのよ。
本来ならその予算でそのクウォリティは無理とか専門家としての正しい知識を伝えたくても、親分の頭ん中にその辺の能力はおろか訊く耳も皆無。
砕けて言やギャラこれしか出せん代わりに文句付けんから、位しか現場を辛うじてでも回してく方法が無いねん。
こないだも又々日本人がノーベル物理学賞受賞と騒いで、その実真鍋淑郎博士はとっくの昔に米国人になってるとか。
海外への機会がほぼ無い俺なんかだと困るし悲しいし頭に来るが、それだけこんな不適切な予算配分じゃどの分野だって発展不可な証拠じゃい。
と吠えつつ比較的個人レベルでも賄える小規模編成音楽って、他のに比べたらまだ致命傷にはなってないんだよね。
そりゃどんなにまぐれで名曲作れたって昔みたいに宣伝なんかして貰えんけど、どう頑張っても何もマシなのが作れん程には至ってないんだ。
只その代り自分達で全て施工管理出来なくては駄目で、世間の様子や反応を伺ってもかつてみたいに直球では帰って来なくなったって事った。
っつうのももし前回提示のトリオさんがウチで録ってたなら、俺ならキレてわめきつつもしつこく録り直しを強行してたと思うんだ。
一寸の虫にも五分の魂でウチで録ってそんな音では許せんし困るしで、ウチにゃ一般論では優位点なんて幾らも無いんだからせめて何時だってそこそこの音にしとかなきゃ未来永劫誰にも来て貰えなくなるやん。
尤も現代ではそんなの商業的には非成立パターンであるが、最終的に変なの出して一番影響受けるのは「出した本人」だからねぇ。
つまりどんなに興味や適性が無くても自分達だけで、プロデュースについて考え実行しなきゃなんなくなったって訳ですよ。
勝手に生贄にしたトリオさん達のだと、完成品からの逆算的思考が何しろ欠けてたのかな。
やりたい事が先に決まり過ぎたのか、少なくとも現時点や曲毎の最適解を模索した気配がしない。
折角ポピュラー系では単に若いだけでも加点になってるのに、勿体無くてしょーがないってオジサンは思っちゃったんだ。
万に一つももしかしたらメンバーに余命幾ばくも無い者が居るとか何等の事情があるやもだが、最大の売りや魅力の根幹を必要なだけ先ず分かって貰えんとさ。
無理して妥協してでも目一杯苦労して世に放っといても、時間経過で忘れられるのが早まったりもっと後には痕跡が消滅する率が上がっちまう。
全ては状況次第だが何も真の一点豪華主義迄絞らなくても良いが、優先順位が無いとか曖昧過ぎるのは取組み方として不正解なんだ。
取敢えずはプロレベルとして完成させられた部分から柱を建ててって、他の部分はそれをスポイルしないのを考えてけば良い。
これに際しここでは随時頻吠だがインストよりも、歌伴奏の方が大きな欠点は許されなくなっちゃうもんなんだ。
仮にどんなに優れた部分があっても歌の足を引っ張る処があると、シビアに言ったらもうそんなのは伴奏とは呼べなくなる。
これを魔解釈!?すりゃ足さえ引っ張んなきゃかなりいい加減でも、脇役なだけに見逃して貰えるなんてったら悪戯過ぎるかなぁ。
私的には大失礼乍らJohn Lennon等の演奏には、時々これに近い様な怪しいのがあった気がしなくも無いんだが…。
<つづく>
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