音楽備忘録757 楽器の明瞭度の話し❽
分離し易い倍音じゃ明瞭度貢献度が低いってんなら、どんなのだったら貢献度が高いかってのが今回のお題だ。
上記みたいな言い回しからすると「分離し難い倍音」なら良さげだが、より適化させると「原音に関連性の強い倍音」って方が相応しいだろうか。
臨場感の観点からだとClassic系Pianoなら、奏者の身動きで出る「イスの軋み音」なんかも視覚レスの際は演出アイテムの1つになるかも知れない。
だがこの手のが有効化するのは無観客で独奏の場合に限り、音の出し主が自動的に特定出来るからだ。
現場体験が豊富だと大勢居ても「これは誰それに違いない」とか見当が付けられたりもするが、それですら俺言い「分析耳モード」に入ってたらの話しなんだ。
専門家だと一般人とは差があるやもだが、純粋に曲を聴いてたら検聴時よりゃ粗発見力は鈍って当然。
寧ろそれ位になれてないと、今度は曲がちゃんとは聴けてない証拠も同然なのだ。
プロデューサ等音響と音楽の両面を扱うには、各局面でどっちが主因なのかの正しい判定が必須だからね。
こんなのと似て明瞭度でも有効性の高いのは、最悪環境下で「きっとアレのだろう」と誰でも思える様なのになるんですよ。
これで理論的に当確率の高いのは偶数次倍音で、更に原音とオクターヴ関係になるヤツだ。
楽器種次第では最も象徴的な倍音がこれに当て嵌まらないのだって少なか無いが、そっちを強調して好結果が得られるのはかなり他とは隔絶した独特なの限定だ。
私的に本件を最も痛感させられたのは「昔のエレキBass」のサウンドで、ここでの昔とはフラットワウンド弦デフォの時代のだ。
体験からだとリッケン等のピック弾き等一部例外を除くと、ラウンドワウンドみたいに典型的な倍音を豊富には出せなかった。
その上低音尊守から倍音なんて4の次5の次扱いされてて、そんなでどうして籠ってボケてでは無く聴こえるのもあったのかって。
これの解析には若干手古摺ってたんだが、「無意識でも耳に目立つもの」ばかりを追い駆けてたのが敗因だったんだ。
個人的には奇抜で派手なのを厭わないとかピック弾き中心スタイルの奢りとも看做せ、気付いたら自分は兎と亀の兎の方だったって感じよ。
そしてこれはかつて本邦で蔓延してた「Bassは指で弾くもの」の悪癖払拭には必須要素で、指でも充分な明瞭度が出せるが只好きだからピックの方が多いだけなんだってのを見せ付けてやらんとさ。
そこから参考として先ずは昔でも決して高音質とは言えないのの名演を、少し本件を意識しながら色々聴いてみるとある共通項が浮上した。
それがオクターヴ倍音の豊富さで、タイミング聴き取りは近年のエッジの利いたのよりゃ劣るんだけどさ。
因みに私的には関係性の弱い高域の倍音はサブキャラの位置付けとしていて、単体聴きではグンと目立つが他所からの妨害には滅法弱いからなんだすよ。
Cymbal等の特殊なの以外では倍音も次数が高くなる程、音量は小さくなるし鳴ってる時間も短くなるもんだ。
それが1オクターヴ上とか2オクターヴ上だと掟破りで、物に依っちゃ基音より終始大きく長く鳴ってくれるからね。
恰も短期保険と生涯保険みたいなもんで、全面サポートのあるのは特約条項付きの低次倍音って訳。
なのでお飾りのパーカッションとかならタイミングアピールオンリーも却って良かったりすんだけど、常駐してなきゃいけないヤツには元々向いて無かったんだよ。
それが録音音質向上の負の作用から…ってホントは人の方が扱いを間違えただけなんだが、皆前より高域が出てるのにこっちだけ従前のままじゃって慌てちゃったのかな。(勿論過去の俺も含めて💦)
あらゆるパートの人も技師も俺言い「不毛競争」に、血道を上げちゃったんだよな~。
<つづく>
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