音楽備忘録725 テープレコーダ①
俺が子供だった頃昔の民間人にとって、録音が出来るのはほぼテープレコーダだけだった。
オーディオには幼少時の方がもっとヲタだったし途中から音楽にも関り出したからか、今振り返るとかなり膨大な体験をしていたらしい。
上記以外にも色んな事情が重なって偶然そうなってたんだが、その代償みたいな感じてテレコ以外の機器だと歴の割に経験値が上がるのはかなり遅かった。
これを総合的に考察するとオーディオやRockに興味を持った時点で幼過ぎたから、レコードを買ったりLiveへ行くのが無理だったからだろう。
RockはFEN(今のAFN)を通じてその音はゲットしたものの、英語が分からなかったから曲やアーティストの名前なんかがハッキリしない。
どうせ分かった処で当時の幼稚園児にはレコードったってソノシート位で関の山だったろうし、’70年代に入る迄だとマイナーな洋楽じゃ恐ろしく高価な輸入版しか売って無かったかも知れない。
そうこうしてる内にFM放送が始まったんで、普段はFMやFENを聴いてて気に入ったのがあったらテープに録るスタイルみたいなのが自然と確立してったんだ。
小学校に上がってたまにはレコードを買えそうな身分に到達しても、それ迄に欲しいのが山盛りになってたからドーナツ盤(シングル)止まりで普段はラジオ。
中学に上がって小遣いも上がっても途中から「聴くだけじゃない人」になったから…、で結局デジタルが主流になる迄ずっとテープが中心のままになっちゃったんだ。
そうして約40年に渡るテープ体験をして来たのからすると、アナログのテープって決して癖は弱くないが他のメディアより音楽的には一等欠点が少なかったと感じている。
レコード盤ではスクラッチノイズや盤質がラジオでは元ソースへコンプが掛っちまうのと比べると、性能的には今一のカセットでも聴こえる感じの変化は少なかったからね。
これの詳細内容へ進めてくとテープだってかなり全面的に改変はあるんだけど、エレキを古典的球Ampで歪ませ掛ったのに近い面があった。
それに対し先ずレコードの低盤質のは特にLPの中心近くのトラックのが悲惨で、ユーザー側に改善方法が皆無なのと外周近くのトラックとの埋められない差が難点だ。
お気に入りの曲が片面の後ろ寄りに入ってたら、肝心な処だけ酷い音になっちゃうんだもん。
次にラジオの方は送信の都合上「過変調」されられないので、収まり切らない分はかなり厳密にリミッティングされちまう。
因みに過変調させると電波出力が規定値を越えたり認可周波数帯域からはみ出したりして、他局のを侵食したりしちまうからご法度なのだ。
それに対し球楽器Ampやテープの方は元は歪ませたり頭打ちさせる気が毛頭無いんで、波形のクリッピング(頭打ち)はオーバーした分のみ且つそれが緩やかに表れる。
欠点としてはノイズリダクションを併用しなけりゃかなり盛大に所謂ヒスノイズを発する処で、しかしレコードやラジオでも余程良コンディションに持込めない限りテープのと大差無くなってしまう。(原理的には優位ですが)
雑音以外の音の方では夫々に長所と短所があるが、これは音声信号の変換の仕方が影響している。
レコードって再生時にPhono Equalizerってのが要るのは、盤自体には実音よりシャリシャリの音しか刻み込めないからだ。
もし無変換で溝を掘ろうもんなら低域の大振幅のはとても「深く巾広」になってしまい、記録密度は稼げなくなるは盤をもっと分厚くしとかなきゃなんなくなるはで大変だ。
仮に不利を承知でそうしといても今度は針が追従し切れなくなるからあんなになってるが、その結果低域は変換量が最大になるんでそのリニアリティが低くなっている。
ラジオの場合は高音質なFMでも原理段階の周波数帯域とダイナミックレンジが狭いので、ハイエンドTunerを持って来ても音質改善の余地が少ない。
但し中域に関しては記録媒体に依る損失が無いんで、音量変化の少ないものに対してはこの3つの中では一等ピュアかも知れない。
では件のテープはと言えば本体に内蔵されてるのが殆どだから存在が一寸忘れられがちだが、これにも記録媒体の弱点対応でTape Equalizerが必要だ。
磁気テープでは高域が苦手なのでレコードとは逆の変換がされていて、結果的に高域のリニアリティが低くなっている。
<つづく>
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