音楽備忘録684 魔修理の記憶①
魔改造枠だけだと改造と繋がりの薄いのが洩れちゃうんで、今日からもう一枠設けさせて貰う事にした。
だけなので改造の方も終りじゃ無く、又何か思い浮かべば随時で続く予定だす。
さて最初は大昔に楽器屋でバイトしてた当時のから行っとくが、その店は当時業界内ではそこそこ有名で売り上げもそれなりだったが個人経営の小規模店舗だった。
元はお客として気の利いた中古を漁ってて辿り着いた所で、流行商品の販売数を追及する様な大手チェーンとはどっちかったら逆方向だった。
その関係か修理も多岐に渡るし固定の担当者では無く、出来る人が出来る時に自ら率先してこなすってスタイルだった。
それ処か銀行回りから仕入れ配達に至るまで何でもやらされて、こっちのBandの合間に小遣い稼ぎと軽く考えてた目論見は見事に外れちまった。
最終的には「儲からなくても本業」に支障し出したので比較的早期に止めなきゃなんなくなったが、お陰で「楽器屋のお仕事」一通りはそこで身に付いていた。
その中で修理の仕方で印象深いのが、必ずしも正規部品を取り寄せはしなかった処だ。
勿論簡単に入手可能で正規の方が適してるのには他所と同じ様にそうしてたが、これに下手に拘ると「ウチでは修理出来ません」が増えてしまう。
この問題チェーン店だと店毎に余計な差が付くと不味いから仕方無い面もあるが、何とかして治したい顧客にとっては何処もがそんなじゃ救われない。
恐らくそんなニーズから完全な原形修復は無理な場合もある旨を伝えた上で、それでもってお客さんのは最後迄面倒を見る事にしたんだろう。
そんなシステムなんで必要に応じて可能なのはメーカ送りにするのもあったが、先ずは店先で店長(経営者兼雇い主)と俺を含むバイト君のたった3人だけでこねくり回してみるのが日常となっていた。
前歴(決して犯罪歴なんかじゃないよっ)の関係から俺にお鉢が回るのが多かったが、最初のは楽器Ampスピーカエンクロージャの保護ネットの張替えだった。
その機種が中途半端な時期のAcousticのだったんで、当時の本邦環境下では同じ物は入手不能だった。
最近では希少部品専門の個人商店も増えたが、仕入れにネットが使えなかった当時じゃそうは行かない。
国際電話で注文すると英語力も勿論だが音質もタイムラグも今よかもっと悪かったから、聴き間違い等で高い電話代が簡単にパーになったりもしてたからね。
取敢えずはそれ用の補修品で似たのを探すが全く見つからず、それを受けて出た店長の指示は「生地屋へ行って探して来い」だった。
楽器屋で働いてて何で手芸店のおばちゃん軍団にわざわざ揉まれに行かなきゃならんのって一瞬たじろいだがそこは渋谷の街、当時は駅前に合皮とか迄扱ってるデカい店があったんだ。
店長の何でもあるからの声に期待と疑念半々で行ってみたが、同じのはおろか視力の悪い人でも騙されない位違うのしか置いて無かった。
そう云う場合はなるべく似てりゃ良いっても言われてたが、それが無いからどれを選ぶかでかなり悩んだ。
理想条件は黒の柄無し無地で適度に厚く丈夫なのだったが、そもそも無地の時点でもう無いやんか。
そこで仕方無く柄とか模様はあっても黒一色の3つの中から、一番厚手で丈夫そうなのを調達して戻った。
張替え作業自体はその手の作業には割と慣れてたから然も無く終わったが、引き取りに来たお客さんの反応がもうその時点で気が気じゃ無かったッスよ。
その上来店した途端に店長が「コイツがやった」「気に入らなきゃやり直させる」とか色々言っちゃうんだもの、全くもって消耗致しましたで御座るよ。
でも運良く気に入って貰えて褒められた時の嬉しさは生まれて初めてもんで、それが今に続く大きな要因になってるのかな。
もしかしたら裏で事前に相談か何かされてて嵌められただけだったのかも知んないけど、だとしたらそんなのこそ人材育成の真髄なのかな。
<つづく>
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