音楽備忘録683 録り方の問題 打込み活用編④
今回は当然過ぎるしホントなら真っ先に書くべきだが、持って無い弾けない楽器を録音に加えたいケースについてだ。
打込みが無かった昔にどうしても入れたくなったら、他人に頼むしか無いしその交渉から何から大変だった。
俺の場合は貧なのと昔は大して上手くもない奴に頭下げるのがまっぴらだったから、何とかしてそんな場面は避けて通って来ていた。
が仲間内にはそうじゃ無いのも居て、しかしその結果は正直な処入って貰ったののほうが不正解だったんじゃないかって疑念が今も残っている。
懐かしさだけでならそんなイレギュラーの方が印象深く象徴的だが、作者の才能が分かり易いか・伝わり易いかで考えるとスポイルしちゃってたとしか言えない。
そうなってしまう最大原因は腕の良し悪しもありはするが、どれだけ作者の意図に沿ってくれてたかだ。
単体パートでなら奏者の考えの方が正しくても、曲を最優先にすると結構な頻度で理屈に反する様な使い方がより適するなんてのもしばしば出て来るもんなのだ。
要するに一面で作者と奏者の利害が反目してるんで、誰も悪く無くて簡単に起こる問題なんだ。
そんな際作る方に専念し易いのが作者自身で打込む方法で、少なくともどうしたいかを伝えるには打込みの方が適している。
但し打込みの他該当パートの色々に疎過ぎてはその効果が出せなくなるから、なるべくなら「弾ける人並の知識」だけは確保しときたい。
これは元を質せば編曲スキルの一部で、自由な打込みを目指すには必須なのである。
ここから先が近年だと一寸微妙な混沌が出て来んだが、後で全部をリアルに変換する必要が無いんなら聴いて変じゃ無きゃ現実には不可能なのをやっても平気な処。
個人的には所謂「裏をかく」にも表裏のどっちかに一定以上詳しくなれてないと巧く操れないから、それなら正規の方を先に知っといた方が良いとは思うけどね。
ってのも楽器音って音色だけでそれらしく聴こえてるもんじゃなくて、奏で方とか使われ方の方に大きな特徴を持ってるのも少なくないからだ。
体験を交えて進めてくと、最初は参考例の模倣から入ってくのが多数派だと思う。
この段階では曲やコードが違う以外、例えばHorn Sectionならほぼそのまま流用するからまだ問題点は殆ど見えて来ない。
万一出るとしたら音域の一部が本物の圏外になるとか、そんな長いのは常人では息が続かなくて無理とかその程度だろう。
それが少し慣れて来て自ら進んで積極的に動き出すと豹変して、急に色んな壁が次々と襲って来るのだ。
私的に最も注意すべきと考えるのがこの段階で、そこで方向性を誤ると後にとても残念な状況を招いてしまうのだ。
端的苦し紛れ仮呼称するなら「バーチャルワールド専門アレンジャー」になっちゃうってので、苦労して獲得したスキルが何時の間にか殆ど生(リアル)に対して無効化しちまってたってパターンだ。
中にはバーチャルでしか行かんから関係無いって方も居られようが、バーチャルにとっての永遠の課題はリアルさだ。
人間ってかなり面白くても余計な制約の付いてるのが分かると、そこから急に興味が薄れたり夢から覚めちゃうもんですんでね。
頻度は低くてもリアルさ完全不要で行けるってなまず無くて、非日常を生かすにゃ最低限の日常が必ずどっかに要ったりするんですよ。
そうして外部非依存で成立してないと、大勢に真似されたりした時に完成度の低さが露呈して評価が急落。
そのせいか分からんが一寸調べてみると、打込みの大御所に結構芸大卒等専門知識の深い人が多かったよ。
この辺で俺言い「打込み家(か)」を少し整理して纏めてみると、譜面は読めなくても書けなくてもOK。
でも編曲スキルや各楽器の知識に関しては、スコアが書ける旧来からの編曲家と同等以上のが要るんだす。
その上打込み特有の機器操作スキルも要るんで、単に編曲家を目指すなら寧ろ打込みで行く方が大変かも知れない。
ご利益があるのは他人非依存で行ける処ほぼそれだけで、大所帯の学校に通ってる若者には是非一考を促したいな。
実際最初の方に書いた仲間の話しだって高校入ってすぐの事で、クラスに吹部の奴が居たから割と簡単に試せたんだし。
冒頭例の彼は説明下手だから思ったより上手く行かなかっただけで、コミュ力が人並みだったらどうだったか分かんない。
それと皆無よりゃ現物の実音は体験出来てるに越した事がなく、その時に音域とか何秒位鳴らせるとか訊いといたりも出来るしね。
<つづく>
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