音楽備忘録661 残響考㉔
暫く続けたこのテーマもそろそろ一旦〆に掛ろうと思うが、最後はどの程度残響の不始末!?が許容されるかだ。
近年ではバーチャル主流になり過ぎて理想を正しく理解出来て無い人も増えてそうだが、分かった処で現実は様々な事情から例え僅かでも妥協しなきゃなんないのが普通だ。
近年はデジタルや新機器等のお陰で個人製作が増えたからか、音楽屋と音響屋の境界がよりボヤけてしまっている。
私的には先ずこれがどっちなのかハッキリさせるのが良いと考えてて、音楽家が必要以上に音響案件に翻弄されて本業を害したってしゃーないと思うからだ。
これは俺が上記2つの兼業なんで強く出させて頂くが、正規のマルチとするにはどれにも妥協は許されないのだ。
んなこと言っても単業よりゃリソース食われてる分劣るかもだが、最低でもそう思われるプレッシャーには耐え抜かねばならない。
そんな調子で色々大変なので挑戦するのは結構だが、覚悟不足で臨んで「変な音」にしか出来ないんなら却って思い切って専門家に丸投げしちゃえば良い。
のに近年本邦だとそれに一寸難があるのは、あまりにも半端な音響屋が多数派を占めてるのが不味い。
その最大原因は単なる物理的なスキルとかじゃ無く、本気で音楽が好きなのかどうかだと思われる。
今本邦の状況だと俺言い「本気で好きなら自ら演れ」圧力が妙に強く、結果的に弾かない・弾けなくても音楽に精通し出した技師が演者へ流出しちゃってんのかな。
俺だってちっとも大した事ぁねぇにしても、上記等のせいか何とも頼り無い技師が多い。
まして依存するにはお金も掛るから微妙ではあるが、「音楽家としてのリソース」だけに注目すれば技師の良否は関係無いんだ。
それからするとヘボ技師の為に音楽家としてのレベルを下げたんじゃアホらしく、厳しい二刀流と資金効率の悪さのどっちを選ぶかもひとつの妥協だ。
但し念押ししときたいのはどっちを選ぶにしても、音楽自体には決して妥協しないって条件付きでね。
今って手間や費用を度外視すりゃ殆ど何でも出来る様になったが、昔だと金満有名プロにだって不可能が少なくなかったのよ。
そんな中彼等がどうやって名作を生み出したかってば、可能な限り「演る方」の工夫で対応してたんだす。
例えば金属打撃音みたいなアタックの付いたOrganの音が欲しくなったとして、FM変調や倍音加算音源が出て以降ならシンセだけの1回弾きで賄える。
のがそれより昔ゃそんなの無いから、仕方無くエレピか何かとOrganの2つを同時若しくは2回に分けて弾いて重ねるとかしてたさ。
そうやってクリアしてっても課題として残るのは、俺言い概述「ミスマッチ残響」だ。
敢えて「技師が頼れない奴しか居ない」前提で話しを進めてくと、例えば部屋残響が混入しちゃってるDrumに無神経に後からHall Reverbを平気で掛けられるかも知れない。
そうされると仮に残響自体の不自然さは許容出来たとしても、何やら太鼓の音だけチープな感じになったりもする。
理屈としちゃ望まぬ響きが付いちゃってるだけだが、無残響よりゃ器楽音の明瞭度は下がるかんね。
全体にReverbを掛けてると上記のせいでホントの原因は少なくとも素人さんには分り難くなるが、それでも「違う」のだけは誰だって分かるからね。
そんな時「太鼓はEcho不要、エレキやシンセにRoom Echo掛けたい」とか要望を出せば、作業に従事する奴が無知でも事故!?を避けられるのだ。
これってトラック数制限が緩和されて打込みでもかなり何でも出来る様になった割にゃ、壮大なオーケストレーションの作品数が取り立てて増えてはいないのとかに気付いとくれ。
無理っぽいのにどうにかして作っちゃったと何でも出来てもそこ迄しないのって、方向は逆だが手法に惑わされずイメージに従って作ったってのは一緒でしょ。
具体例は本項最終の次回に提示してみるけど、許容の判断基準は「音楽としてどうか」の唯1点なんすよ。
理屈だって無視はしない方が良いけどそれが必要になるのは、音楽的のみでは迷った後での話しでんがな。
<つづく>
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