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2021年5月 4日 (火)

音楽備忘録628 残響考⑬

今回から響きの特徴とそれへ対する適正について記してみるが、デジタル機器が進化し過ぎたからか却ってこの面は昔より劣化した印象がある。
並行して高音質化も進んだんでどうやったって全く聴けなくなる事は格段に減ったが、だからって適正が無くなった訳じゃ無いんだよね。

例えば昔のスプリングReverbって打楽器等のパルシブなのは苦手で、アタック音の反応にかなり工夫しないと使えなかったりしたな。
どう苦手なのかは所謂「エレキのテケテケ」から想像して貰うのも良く、あれって弱点を逆手に取る事で独特なニュアンスを獲得してる。

さて俺が手持ち機器だけで多重録音を始めた当初、残響系のEffectorなんて1つも無かった。
当然PCもスマホもありゃしないから何かEchoを買うしか無かったが、デジタルのはコアな業務用に漸くDelayが出だした程度だったからアナログの中から探すしか無い。

Delayに関してならアナログでも電子式のも使えたが、Reverbだとあってもアナログ電子式のは酷い音だった。
コレ凄く時間を短くすればまだマシだったんだけど、録音でReverbがどうしても欲しいのって大抵は長く深いヤツじゃん。

Room Echoみたいなのだったら今からしたら凄い妥協だが、Short Delayでも代用不可じゃ無かったしさ。
そんな状況下で俺が苦慮されられたのがDrumパートの残響で、楽器も持って無いが叩けなくてチープなリズムマシンなのもあった。(全く当然の様に残響付加装置なんて非内蔵)

Drummerの従兄宅と比べると当時もウチは狭小だからRoom Echoすらもあまり使えなかったが、リズムマシンじゃわざわざスピーカから鳴らさない限りそもそも天然のは掛け様が無い。
かと言って元から全てが低音質なのを更に落す様な真似も出来ん等から、Guitar Ampにも入ってるのに残響の長さと深さの都合からバネのを買う羽目となってしまった。

当時の我々界隈では今だと嘘みたいだが何に掛けるにしてもEffectorはGuitar用ストンプが主流で、そうなった理由の殆どは値段と種類だった。
Guitar Ampの内蔵Reverbがスプリング式なのは開発時期が最大原因で、しかしそれより明らかに良いのなんてまだ無かったからそのままだっただけなんだけどさ。

して何が最大懸案になったかってぇと、アタック音の響きが遅くなり過ぎるのが問題だった。
鉄板だろうとバネだろうと物理Reverbなんだから、遅れるの自体は当り前だしそうじゃなきゃEchoになってくれない。

でも余韻よりアタック音の方が後から響き出したみたいに聴こえると流石に変で、しかもアタック音の短いの程それが強く出るから厄介だった。
実際はバネのだってもつと高級なのだったら違ってたのかも知れないが、それでスッカリ懲りてその後「打楽器にバネ」は禁則化しちまったよ。

後になって分析し直せば板のだってチャンバとは違って近似傾向はあったんだが、板のより高域を響かせられないのも大きかったみたいだ。
その後5年位経ってデジリバを初めて持てた当時、この問題から解放された時ゃ殆ど感涙もんだったね。

従兄が最近の実験でリアルEchoの方がBONZOれると感じたのも多分アタック音の響きの差で、あんなに世界中の誰もが真似ようとして殆どが上手く行かなかったのはバーチャルEchoで賄おうとしたからなんじゃないかな。
強いてそれを今デジタルで近付けられるとしたら、高域の初期反射だけ短目にする位だろうか。

理論的には可変パラメータの多いのだったら可能な筈だが、その手間の大変さ以上に現場の実音を体験出来ないのも致命的なんだと思う。
大雑把な要素としては本人の出音+録音機器の音質・音色+場所の響きで成立してんだが、この内2つが今では困難とか不可能だ。

これがもたらす意味とは「リアルでの印象」との差で、当時の録音機器では今より全然ありのままの音なんか録れて無かったしね。
一番重要視した部分をなんとか近似にする程度で精一杯だった筈で、つまり今比では1点豪華主義的な選択・決定をしてたんだよね。

昔俺の「バネ痩せ我慢」とじゃ次元が両極だが、欲張れなかっただけでもそれで肝心な処だけは死守しようとしてたには違いないでしょ。
聴き方も気にし方も人次第千差万別だから想定外の処を突っ込まれて病んだりし易いが、少なくとも意図理解の浅い意見に逡巡してては目的を達成するのは厳しいんですよ。

なんて最近迄は全く他人の事を言えた義理じゃ無かったんだけど、この処従兄宅だけで混ぜたり弄るのが殆どになったもんだからね。
無料のプラグインとかだとどうしたってそれ自体の魅力が実機より弱目で、性格最悪でもあの美人が好きみたいな選び方が出来なくなっちゃったんだ。

<つづく>

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