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2021年5月 8日 (土)

音楽備忘録632 録り方の問題 加工度編②

今日本でMasteringっつうと、音圧稼ぎばかり思い浮かんじまうかも知れない。
だが実際本当に必要なのは前回後部でチラ見せした様な、とっても地味で効能も目立ち難いのが多いんだ。

この件特に奏者サイドが誤解しだした原因を私的に探ると、Beatlesが常用したリミッタFairchild 670の「結果」辺りなのかも知れない。
アナログオンリー且つ当時の技術レベルでは、あれでも最も音色改変の少ないリミッタだったそうなんだけどね。

後世の我々の耳には本職の性能より、どうしたってその魅惑の音色に魅かれちゃう。
でも良く考えりゃピークを殺すだけったって音を弄るんだから、音色が多少変化したって当然だ。

これの真価は掛ったのをどんなのでどんな風に聴いても差が少ない処なんだけど、音色の方ばっか手放し絶賛されちゃってるみたいだね。
どうもそんな処から「値札を付けてキチンと陳列する」のより、「燦然と輝く超有名ブランドロゴ」なみたいな方だけに印象が偏っちゃったのかな。

ここで若干本筋から外れるが当時のニーズを再確認しとくとレベルオーバーの歪みを避けるのもだが、実は今より遥かに「小さい処も聴こえる」様にするのが最大の目的だったのよ。
昔の音響機器って兎に角何処かが欠けちゃうのとの闘いで、かなり歪んだって演られてるのが全部聴き取れるならマシな方だったんだ。

物理的理解が可能だと分かり易いんだが、機器の感度・能率・増幅率のどれを取っても今より絶望的な位プアだったんだから。
しかもそれが大きい方は歪むから聴こえて分かるが、小さくて欠けた分は聴こえなくなってっから演ってた本人達にしか分からないじゃない。

その時代にリアルのLive体験もあったら別だが、当時の現場の生音を知り得ない後世の我々はだから大いに注意しないとこれを必ず失念するんですよ。
なので結果的に平均音圧が上がってるのは一緒でも、近年本邦のの方がむさ苦しいのは使用機器が違うせいだけじゃ無いんだな。

それでもどうしても流行を体験したいからって言われりゃもうしゃーないけど、主目的が演出なのをMasteringなんて呼ぶのはオジサン流石に許さんよ。
なんてえばろうってんじゃなくて、勘違いしたら悲惨ですよとお伝えしときたいねん。

今本邦では必要最低限度の音量での聴取を強要される場面が多いが、うるさいと感じられたらボリウムは普通下げられるわねえ。
そうするともし物理的に同音量でもウルサく無いのと並んじゃうと、下げられた方だけそのせいで結局音圧も落ちゃいますから。

極端に単純化したら「兎と亀」な訳だから最終段階から逆算して確実性を持たせるなら、「油断しない程度に盛っとく」のが最善だと思うですよ。
この辺りが機器等が進化して加工・演出・整頓の境界が曖昧化した今でも、人の側には必要だし仕上がりに差が出るんじゃないかと思うんだ。

さてコンプリミッタとは別手段で現代特有のMastering作業として思い浮かぶのは、DC Offsetの退治とかかな。
現代平均ではこんなの省いたって平気なのも少なくないが、もし極限迄「音圧」を気にするなら必ず影響が御座居ますよ。

このDC Offsetって何ったら、音波の「基準位置」が電気的にズレてるのの事。
っても多分分り難いから、概念図へGO。

Dc-offset
音波の記録って電気的には上図みたく0Vを基準に±の波になっていて、上下の灰色点線がダイナミックレンジを司る限界値だ。
①が正常若しくは理想の状態で基準がキッチリ0Vなので、ダイナミックレンジ全域をフル活用→振幅が最大に取れている。

それがもし②みたいに赤水平線が基準になると下は広くなるが上が狭まり、同じ音→「同じ形の波」のままだと振幅は①より小さくしなきゃなんない。
この黒と赤の線のズレがOffsetで、電気的には直線→電圧一定だから直流ってんでDCって頭に付いてる訳。(上図の場合は+側へ基準がOff Setしてる)

現代の機器では万一出てもOff Setは1%にも満たないのが殆どだから、それからしたら重箱の隅突きに他ならない。
けどああ迄して無理くりコンプする位なら、こんなつまらんののせいで小さくなってたらバカらしいざんしょ。

<続く>

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