音楽備忘録647 録り方の問題 加工度編⑦
今回は多分再度だがEffectの掛け録り若しくは先掛けと、後掛けに特化させてお送りする。
これには調整の柔軟性等と録音環境の両方の都合も大いに関係して来るから、それも併せて記してこう。
先ず総体的に自由度が高く高品位を獲得し易いのは後掛けの方で、その他にも汎用のだったら1台のEffectorの使い回し等も後で良けりゃ可能になる。
この面等から俺や従兄はかなり昔から後掛けメインとなってるが、奏法とEffectが直リンクしてる様な物には後掛けは不向きだし無理な場合もある。
例えばエレキGuitarでWah pedalを使いながらFeedbackも併用するとなると、ペダル位置でFeedbackの仕方も変化するからね。
それよりややこしいのがWahがペダル人力操作じゃ無く機械オートの場合で、GuitarとAmp間に繋いだのなら特にAmpで歪ませるならPedalのと一緒の扱いで良い。
がAmpでも歪ませた後のEffect Loopへ繋ぐなら、掛けの先後(録る前後って事)の差は殆ど無くなる。
或は全く歪ませない音色とするならこれも後先の差は僅少になるし、実際は後掛けなのを先っぽくするのも可能だ。
ここ迄は音色の都合が主で理想としては何時もそうあるべきだが、Effectorのタイプや録音機材の状況に依っては敢えて覆した方が好結果になる場合も出て来る。
近年はPCを始めとしたデジタルバーチャル機の利用も一般化・普及浸透してるので、これの使用を拒否らなきゃかつてよりは誰でも後掛けのハードルは各段に低くなっている。
なのでさぞかし皆デジタル領域になってから加工してるかと思いきや、意外と掛け録りに固執してる人が多いらしい。
確かに演奏するに際してその時点でそのものの音になってた方がイメージは掴み易いし、加減もし易そうな感じがして安心感があるかも知れない。
だが私的には奏法と直リンクして無いEffectだったらそんなの気休めに近く、意地悪に推察したら生音じゃ聴けない代物にしかならんのケなんてつい嫌味の1つも洩らしちまいそうだ。
近年とんと耳にしなくなった言葉に「Effect乗り」なんてのがあったが、演奏クウォリティ次第でEffectの掛かり具合等は大きく左右されるもんなのだ。
んじゃその演奏クウォリティはどんな状態だと一等分かり易いかったら、加工度が低い程演ったそのままが出て来んだから良いってのは分かるよね。
要は演奏がご飯でEffectはふりかけの立場にあり、ふりかけが多過ぎたら味が濃すぎて美味しくないでしょ。
不味くてそれだけそのままじゃ食えない米をふりかけで誤魔化すってのも無くはないけど、幾らふりかけ好きでもそれで生涯我慢出来る人って滅多に居ないんじゃないのかな。
今は既に色んなEffectorが身近にあるからそれが掛った状態でイメージが湧くのも不思議じゃないが、では無かった昔に似た様なフレーズ等が絶対浮かばなかったったら嘘になるよね。
例えばChorusには6弦を12弦の代用にする際の補助みたいな役割だって含まれてて、本物にはある低音側のオクターヴ音は入らないがド素人へ雰囲気だけ聴かせるなら大差ないとかさ。
そりゃ偽物と本物の差は今だって縮まっちゃいないけど、低音側だけのリフとか弾かないなら効果自体は音楽的要素としてはほぼ同等だ。
その辺から個人的には「なるべく後掛け推奨」で、フリーのソフトやアプリのが使える点でも現代はよりご利益が大きくなっている。
何しろ俺等の若い頃には絶対に使えなかったカードで、バーチャルではあっても正に文明の利器なんだから。
尤も録音機のトラック数・入力数や補助信号経路(所謂AUXとか)が少ない場合は、トータルReverb等は良いがパート個別に後掛けするのが一寸不利な場合もある。
俺の思ってる後掛けって可能なら全部同時に後ってのも含んでて、基本的な設定はトラック毎にやるが最終調整は他のも全部鳴ってる状態でなのだ。
それには例えば機器がPCならまあまあ平気そうだが、古め廉価目のスマホとかだとリソースの段階で厳しい可能性がある。
折角ソフトが同一Effectorの複数使用が可能になってても、トラック数が増えてけばどんどん重労働になってくかんね。
締め括りに古株の俺には他にも後掛け推奨の訳があるんだが、それはどっちでもいいのとか無い方が良かったかも知れない物に安易に誤って掛けちまうのを防げる処だ。
随時頻吠えの如く音楽≒比較芸術故どんなに独特で素晴らしい効果や音色だって、安売りし過ぎりゃその輝きが失せるからだ。
少なくとも一番そうであって欲しい・じゃ無きゃ困る箇所でのインパクトを弱めちゃうから、際立たせたければこそ他ではじっと我慢の子って凄く重要なのよ。
それが単体聴きだとどうしたって他が入ってるより寂しげに聴こえるからって掛け取りを容認し過ぎると、完成してから聴くと大抵はやり過ぎになってんだ。
<つづく>
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