« 音楽備忘録642 魔改造悲喜こもごもⅣ-⑨ | トップページ | 音楽備忘録644 録り方の問題 加工度編⑥ »

2021年5月19日 (水)

音楽備忘録643 残響考⑱

エレキのオープンバックエンクロージャは特にBassでは、1本のみのOn Mic収録に適してるのは別項概述。
そのOn Micには幾らも入らんけど、ある程度以上響くハコ内では残響にもより明らかな差を生じる可能性が高いのだ。

そもそも密閉遠鳴り型のキャビネットってな良く響く大会場で、一面でなるべくEchoが掛らない様にした物でもある。
「遠鳴り」とは遠距離でもスピーカユニットからの音が残響に勝るって意味でもあり、極端な話し直接音が残響に負けてたら「Echoだけの音」みたいに聴こえ兼ねない。

そうなると色んな「響き」がごちゃ混ぜになってるもんだから、弾いてる内容が分からなくなったりする。
但しそこ迄行くのはアリーナ級のホールみたいに広かったらで、狭目のハコでRoom Echoをフル活用するには却って物足りなくなる可能性を持っている。

ではここから「残響の元」になるAmpからの響きを考えてくが、密閉型で裏がしっかり蓋されてたって低域は箱裏からだって出てはいる。
尤もマトモに出るのはキャビネット自体が振動する様な超低域限定で、少なくとも比率的には中域以上は出て無いに等しくなっている。(現場人耳には元が巨大なのの回り込み成分のせいで聴こえるが)

これ等からすると狭目のハコでは滅多に欲しくならない超低域だけで、中高域の残響が後面開放型より得難そうとなる。
残響無視で明瞭度一択ならこの性質は悪くないが、実際より更に狭い処で演られてる様に聴こえてしまう可能性も拭えない。

そうなると「Studio Live風」とか「普段の練習中風」みたいなRoom Echo演出をしたい時には向いて無く、そのAmpが半導体式でリニアな性格のだったら最悪BassだけLine録りと思われるかも知れない。
因みに近年は電子楽器等も含めLine録りが可能なのは、Lineで拾っといて後掛けReverbで処理するのがデフォとなっている。

だが現場に居合わせる奏者はDJ担当や同期対応のDrummer等以外、通常ヘッドホンなんて被らないで生耳でアンサンブル全体が聴こえる様にしてるのが圧倒的多数派だ。
Liveにしても聴衆は例え劣化が少なかったとしても、PAを経由した音しか耳にしていない。

これからすると敢えて明瞭度で若干の不利を容認してでも、リアルさに勝る手法を選んだ方が良い場合もあると思うんだけどね。
特に近年本邦みたいに聴く際に実空間残響等と縁が希薄となれば昔よりそれが録音に入ってないと、自分で弾いてヘッドホンAmpで聴いたのと音響的には同等となってしまうんだから。

これに基づいた体験実例を1つ提示しとくと、我が狭小宅でBandの一発録りの際にこの方法を選んだのがあった。
本質的な理由が演出じゃ無いのが情けないが、狭さから回り込みが酷かったからだ。
リズム隊とか歌パートとか大枠別だったら数人一緒に録ってもそんなに後で困りゃしないが、この時のVocalistが声量的に初心者同然とあっては厳し過ぎた。

因みにⅡで内外新旧問わずリアル残響と明瞭度を共存させてるのも散聴されるが、それを無理無く達成させるには最低でも20~30畳以上の広さが必要だ。
音的具体目安としては所謂アンビエントMicからのを所望の混ぜ具合とした時、各On Micに混入したのよりそれが明らかに勝ってたらOKって感じかな。

又その位の差が無いとOn Micのだけ上げたつもりでも残響も一緒に増えちゃうから、明瞭度に不利だしわざわざアンビエントを立てた意味も大分薄れちまう。
この件も加味するとRoom Echoってそれらしさを追及すると、例え後掛けでも明瞭度より空間感を優先しないと効果的じゃ無くなるのがお分かり頂けるだろうか。

今本邦では普段の個人練習時に本番近似環境ってな無きに等しいから厳しいが、明瞭度的にそんなに良く無いモニタ環境下で奏力側を鍛えとくのがやはり重要なのだ。
それで明瞭度が環境に左右され難くなってると、録り方録られ方に一喜一憂しないで済む様になれるのよ。

なので私的だがピュア原音とピュア残響以外の「得体の知れない響き」ってのが、リアルさとか生身の人が実演してる感には最重要ファクターなのではと最近より強く実感してるんだ。
何しろPA不使用の電子楽器や打込みでは、そう云う要素の生成も追加もかなり至難だからね。

最後にこれに尻込み気味の方へ後押ししとくと、手加減可能な実演では埋もれ易い処だけ普段よりハッキリ奏でるとかもひとたび慣れりゃそんなに大変じゃ無いでっせ。
非人力の加減の効かないので何が大変って最埋もれ時に合せとくと、今度はそれ以外の時のが出しゃばり過ぎになったりするでしょ。

で結局どっちかを犠牲にするか、イメージには中途半端でもその中間域で泣く泣く妥協するしか無くなるじゃん。
なるべくどうでも良い箇所のパッと聴きだけで判断して欲しくないと思うのはこの辺で、こう云うのって全部終わってから顕在化するから惑わされ易いんだ。

<続く>

« 音楽備忘録642 魔改造悲喜こもごもⅣ-⑨ | トップページ | 音楽備忘録644 録り方の問題 加工度編⑥ »

音楽」カテゴリの記事

PA」カテゴリの記事

ギター」カテゴリの記事

電気」カテゴリの記事

ベース」カテゴリの記事

録音」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 音楽備忘録642 魔改造悲喜こもごもⅣ-⑨ | トップページ | 音楽備忘録644 録り方の問題 加工度編⑥ »

フォト
2023年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ