音楽備忘録603 残響考Ⅴ
さて前回の続きを行くと残響ってよりゃ音場の方がドンピシャっぽいが、「音場の無い」録音音の扱いとしてこのまま行くで。
付いて無いヤツぁ足すしかねんだから、そんで足すとしたら大抵は残響ってなっちゃうんでね。
さてⅡで前回は録音側でのニーズの高まりを記したが、今度は再生環境の主流の変化だ。
先ず第1に「耳の至近か中で聴く」頻度が過去比では凄く上がってて、聴いてる場所の響きが全く追加されなくなった点だ。
第2に例えスピーカ聴取でも過去比だと、距離がかなり近くなってるのも看過出来ない処じゃないかな。
例えオープンエアータイプで遮音性が僅少でも被った方が何かと良く聴こえるのは、「間に邪魔が入り難い」からでスピーカでも距離が縮めばそれに近付いてるからねえ。
これって「聴きたいのだけを」には大変結構なんだけど、普通とか自然ってのとは若干のそれこそ距離感があるんどす。
極端な話しでだったら1曲終る迄は息するな心臓止めとけってなもんで、これはまだ現況では無理だし危ないからお止しなさいっと。
でそれは兎も角少し前迄の俺も含めて、制作サイドはどうしたって本体以外は排除したいバイアスが掛りがちだ。
奏者なら「俺が鳴らしたのはコレだけだ、弾いて無いのなんか出すな」と思うし、「技師として他人の演奏に介入なんかして無いから」を分かって欲しいとかさ。
そんな気持ちで普段より神経質になってるStudioに居ると、客観視したら聴こえて当然のバックグランドノイズなんかもやたらと邪魔と感じちまったりする。
実際ファンタジー作品だったら非リアルになってでも、少しでも透明度が高い方が良い事だってあるしね。
でも通常運転をそっちへ寄せ過ぎちゃってると、それよりクリアにしたい時に余地が少なくなって苦しむ可能性だってある。
ここでは随時吠えだが非リアルでも常に清潔にしたいなら、今時もう汚染されてるかも知れない人力で演るのがそもそもお門違いなのよ。
相当頑張った上に幸運が重なればリアルでだってノイズレスの期間は持てるが、打込みに比べてあまりにも確実性が低いですよ。
なので挑戦するの自体を批難したりゃせんけれど、出すアルバム全部を人力でそんな風に仕上げようなんて決死の冒険者よりもっと凄いわ。
機械でだったら自然と達成されてるのを意図的に企てても、聴き洩らし・処理忘れなんてのが量が多くなるとどうしても顔を出すしさ。
それ処か聴き手が「人が弾いたの」と分かってると、最悪「入って無い雑音」すら「入ってたかも」なんて思われるから報われないよ。
これって例えば友達が部屋に来て弾いたのの残像とかの影響で、三つ子の魂的にその時の「ジー、キコ、ジャンジャン」なんてのが焼き付いちゃってたりするもん。
只これを逆手に取れば人力だったら少しならセーフで、そんなのが絶対入らない筈の機械だと「僅かな、チッ」程度でも「今の何?」って思われる訳だ。
等と散々こいといて普段は全然気にして無いんだが、そんな無神経な俺でも看過出来ない場合がある。
それが「部屋の響きとエコーが喧嘩」しちゃった様な時で、これは言うなれば第3の最も不自然な音場だ。
本邦では極一部の金満氏を除けば、部屋の残響はほぼ「初期反射音」が主体だ。
なので一寸聴きでは殆どそれが付いてるのすら意識に表出しなかったりするが、長いとか深いエコーを加えようとすると一気に不自然さが露呈するのだ。
それは広い空間の響きでは、初期反射音はもっと遅くにしか鳴り出せないからだ。
つまり余韻を無聴すりゃ狭い部屋・余韻に注聴すりゃ武道館、変な上に聴き方次第で違って聴こえ過ぎになるのだ。
しかも厄介なのが音響原理的に「無理な状態」になってるから、多くのケースでは明瞭度も著しく損なわれる。
恰も武道館内に遮音性の低いほったて小屋があって、その中で鳴らしてるのが漏れ聴こえたとでも言うか…。
それすら特定の目的があって意図的に使うならアリだけど、ま〜あそんなの「普通」とは全くかけ離れてるわなぁ。
ずぼらな俺でも「普通で良いや」と思ってるから普段無意識で居られてるんで、そんな意図せぬ変態に襲われたら黙ってられんですよ。
<続く>
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