音楽備忘録607 録り方の問題 エレキBass編⑨
現代では普通は使用回避が困難と思われるので、今回は録音でのエレキBassのコンプについて色々と。
かなり昔にもコンプして面白くなってるのも沢山あったが、常に大体同じように掛けるとなると個人的には食傷気味なのだ。
AmpスピーカからのMic収録と違ってLine収音だと、楽器との間に入ってた「緩衝材」が大巾に減っている。
これと楽器側の設計事情からそのままでは、楽器音の特性がピーキー過ぎになっちゃうから大抵は対策を要すのは確かだ。
奏者には一寸無礼でも意図せぬ歪みに襲われては困るが、個人的にはコンプの「掛け録り」は余程の特殊事情が無い限り止めて久しい。
折角デジタルのお陰で「オーバーさえさせなきゃほぼ何でもセーフ」となったからには、これを有効活用しない手は無いしね。
とは言え一発録りならまだしも割と初期段階に録られる事の多いのがピーキーなままだと、多重個別録りで後から録る際のモニタ音質に難があるとも考えられる。
それで最低限は収録時点から掛けて緩和させとこうってのも分かるんだけど、下手に2度掛けすると後で始末に負えなくなるリスクがあるのは知っといた方が良い。
で何でそうなるかったらモニタし易さの為に平均音量(圧)を整えるのと、ピークを抑えるのでは掛け方(コンプパラメータの設定)がどっちかったら正反対だからだ。
理屈上は似たのを2度掛けするよりゃかなりマシだが、だからって物には順番ってのがあるんだす。
不要ピークは音的貢献より電気的害悪の多い場合が殆どなので、これは録るからには真っ先に排除・回避が必須だ。
とは云えⅡで残念乍ら現況では音色無改変って訳には行かず、程度は昔よりかなり軽減されてるが「違って聴こえる」が少しは出て来ちまうもんだ。
するともし全体平準化や音色改良の方を先に施しちまってると、必要なだけの「ピーク対策」が上手く出来なくなる可能性もあるのよ。
逆に俺言い正規順予で掛けるなら、ピーク処理後だったら音色や音圧だけに最適化出来るんでね。
実際に過去体験でピーク処理不足のまま混ぜる段になって、楽器を問わず四苦八苦した事も多々だったよ。
それでも記録媒体がテープの時代はピークの成分が、とってもピーキーなのだったらテープ依存だけで行けちゃってたからまだ良かったんだけどさ。
しかしこのままでは矛盾が残るんで、ほんじゃモニタの為に「仮コンプ」ってのはどうなのか。
っつうとこれにも問題があって、完成時のとは異なる強弱で他のを録る事になっちまう。
そんな八方塞がり的なこの時点で敢えて指摘させといて貰うが、パート毎の別トラック収録利点の再認識が重要だ。
後で調整可能って考察点を移動させると、失敗してもやり直せるってのが最も大きいんじゃないのかな。
無論録るの自体もだがどう捏ね繰り回せるかだってそうで、それからすると掛け録りしたいならせめて録り自体は一発同時に限定するべきなのではと思うんだ。
それも合奏時点でAmpから出てる音に既に掛っててで、そうしとかないと適正な「弾き加減」を阻害しちまう。
尤も俺等みたいに慣れて来れると従兄なんかはピーキーなままのでも、少なくとも本人には苦手意識等の抵抗感は一切無くなってるみたいだ。
だがしかしそれですらこっちの思惑からは若干ズレる事も少なく無く、やはり理想としてはコンプ以外で音量・音圧の安定度の高いのってのが良いみたいなのだ。
ジャンルや求める全体音質如何でかなり程度差はあるが、大半のエレキBassはAmpレスで完成形の音になる様になんて作られて無いんだからね。
因みに参考で今迄俺等のでコンプレスで最後迄行けちゃったのを例示しとくと、記録媒体がテープ時代のばかりだ。
デジタルになってからはLimiter程度は省けなくなってて、しかしⅢで今の処個別にリミッティングするケースはまだ出て来ていない。
おっとそうだった、あとアクティブタイプのエレキはピーク面では一層不利だ。
旧来の不完全な電子回路ではひ弱なピークは自動的に抹殺されてたが、完全に近付いたアクティブタイプではご丁寧に全部生き残ってしっかり伝わって来る。
だからって使うなとか無価値だなんて思わんし言わんけど、過去述の「チープ機材にはBuffer」の件も宜しくで本質的には「足りてりゃお邪魔」にもなり得る存在だ。
<続く>
« 音楽備忘録606 パートのリズム調節㊸ | トップページ | 音楽備忘録608 魔改造悲喜こもごもⅢ-㉓ »
「音楽」カテゴリの記事
「PA」カテゴリの記事
- 音楽備忘録1390 歌のコーラス①(2023.06.06)
コメント