音楽備忘録564 魔改造悲喜こもごもⅢ-⑨
今回は電気・電子機器の延命について記してくが、近年では以前より部品調達等が困難化したのが懸念点だ。
古くはAmpegが好んで用いた真空管が絶版になったのが走りだったが、半導体系のでは価格上昇は伴うものの小規模別メーカの再生産開始も見受けられる。
他分野でも日本の自動車メーカが車種はかなり限定的だが、自社の旧車の部品供給が再開されたり等。
この潮流は喜ばしくも本来あるべき姿だと思うが、これ等からすると平成の晩年頃が一応「底」だった事になる。
だがコロナ倒産みたいに底の期間が一定を超えると小規模業者は事業継続が困難で、一旦潰れると再始動出来ないままになるのも少なく無い。
それで後から部品が再生産されても「売ってる所」が激減して、もう直せないとの印象が拡大した嫌いがある。
尤も冒頭に記した如く設計時点の部品が廃版になるのも少なく無いが、実は生産途中でもそんなのは日常茶飯事だった。
その結果が内部的にはPCパーツのバージョンよろしく、前期型・後期型等の差異を生じさせている。
その中で部品依存度の高低で影響度の大小はあるが、楽器系の電気・電子機器は他分野用途のと比べたら影響度は小さい方だ。
但し部品が変れば微調整(所謂モディファイ)は必須な事が多く、本邦の楽器業界がここに疎いのが心配な処だ。
この件そもそも大昔だと地域次第で同等だが同じ球が調達不可だった等歴史は古く、それが欧州管だの米管だのの呼称等にも及んでいる。
過去本邦では秋葉原を筆頭にそんな場所の大繁栄があったりしたのが、却ってモディファイ技術の浸透を妨げていたのかも知れない。
では本日の因みに1で電気関係の書籍等で見られる互換管の記載についてだが、あれは主に電気的互換性に基づいて書かれている。
と言ってもDataシートを眺めると定格表記等に結構差異があったりするが、それは地域差よりもメーカの方針が違った等の影響が主体だ。
球全盛の当時既に規格はちゃんとあったが今みたいに適用が厳密じゃ無かったのと、けどその程度で実用上無問題だったからだ。
又各社が固有の魅力を持たせて差別化を図る為に、各々で可能な部分を持上げてたってのが実情だ。
但しⅡで設計時点で○○社の○○(型番)の指定があるのの中には、その特有の性能を活用したのもあるのでご注意だ。
具体的には最大定格の枠一杯迄絞り出してる様な出力管(電力増幅管)のにそれが多く、買い替える際は先にDataシートの一読が必須だ。
一方プリ管(電圧増幅管)の方では電気的定格はほぼ心配不要だが、増幅率の差は相当あるからそれが注意点となる。
それよりもし音色どうこうが無関係だったら鵜呑みにしてもOKだが、これを気にするなら欧州系か米若しくは露系なのかの影響は甚大だ。
因みにⅡでんじゃ昔の日本製のはってぇと、一番近いのは米系のだ。
但し本国のより癖が無い代わり、性能や元気さの点で大人しい。
石系(半導体)のだと開発初期にメーカ差が割と大きく球と比べると差は小さいが、音色の増幅素子依存度が高いシンプルな機器の場合は問題となり易い。
この辺で必要に迫られてのモディファイへ進めてくが、元から高価だった他にHIWATTやAmpegが本邦でマイナーなのはこれの影響も大いに考えられる。
冒頭述の如くAmpegでは好んで多用された球が、プリ・パワーの両方共肝心なのだけ絶版になった。
HIWATTでは販売量や代理店等の違いのせいでMarshallと違って、使用管が本国仕様そのままだったりしたのが大きかった様だ。
近年ではどちらさんも当初から真のグローバル想定が盛り込まれてるからそんなじゃ無くなってるが、過去機では扱い易さと「原典音色」の共生が為されて無かったのも少なく無い。
だからって米向け仕様のMarshallがYAMAHAっぽくなったりゃ絶対して無いが、一時期の「地域忖度し過ぎた」のだと本国のとはかなり音色差があったのは確かだ。
この点で全盛期の秋葉原を擁する本邦では、他国より割とどれでも簡単に入手出来たのが却って仇となった模様だ。
だが「同じ音色を獲得する」為等のモディファイ技術って、楽器系には他を差置いて最重要なんだよね。
<つづく>
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