音楽備忘録558 魔改造悲喜こもごもⅢ-⑥
俺が真空管教の信者なのはかつては嗜好的側面からだったが、今は必要に迫られてそうなってるだけなのだ。
そのニーズの中に前回述のも含まれてるが、正直な実感しとちゃ普段は大して分からない。
当初は石で懲りて駄目だったから、期待を掛けた程度だったかも知れない。
処で「石で懲りた」ってのは半導体でもNeveみたいなのを使ってたらセーフだったんだろうが、それだと安い球のより遥かに高価なんでね。
それでも大昔のいい加減なのみたいに酷いのはもう無いから、普段に一聴して球の方が素敵と思える様なのはやはり価格的に縁が無い。
けれどEQでもコンプでもアナログでもデジタルでも、時々何処をどう弄っても望む音にちっとも近付けなくなる事がある。
そんな際に球を通したらたったそれだけで、大して何もしなくても解決する様な場面を体験して来た。
先ずは「聴いた感じの硬過ぎ」を何とかしたい時で、この硬いは楽器自体が出してるそれとは異質のだ。
毎度お馴染み「空気の魔法」のお陰っぽいが、生でどんなに硬い音を出しても3秒と耐えられんなんてのは滅多に無い。
なのに増幅であれ録音であれひとたび電気力に委ねると、聴こえてたのより妙に硬くなる現象ってのがあるのだ。
その理由は後述としてここではスルーするが、兎に角一度そうなっちゃうと元に戻すのが不可能に近いから最も厄介なんでごわす。
近年本邦の一般基準では少々硬かろうと明瞭なのが優先されてるが、是又過去述の如く真の明瞭には硬さなんて一切含まれちゃ居らんのどす。
少なくとも「電気に通して硬くなる分」、なんてのはね。
世間でこれの誤認がまかり通ってるのは、恐らく楽器の段階で電気のお世話になるのが多数派だからなのかな?。
近頃じゃClassicオケでもTVやCDでの感じを再現しようとしたのか、MicとAmpとスピーカを介したのしか聴けない時もあるからね。
我Rock系でも末端では悲劇的なケースも日常茶飯事で、楽器が良くてPAが悪い時でもDrumを中々PA抜きにして貰えないとか。
ここで一寸思い出して頂きたいのがコンプとエキスパンダで、基本的にはこれ等は全く同じ回路で逆の使い方をしてるに過ぎない。
ので必要なら何時でもどっちでもする筈なのが、後者は器楽音と背景雑音の音量差を増やす位にしか使われていない。
今本邦では聴取環境と流行のせいで仕方無いとしても、過去の他所でもやはり上記の使い方しかされてない。
曲中一番フォルテになる処で一寸しくじって出し足りなくなったりしたら、よっぽど使いたくなりそうなもんなのにね。
なんなんら実際試すと良いが、理屈では合いそうなのが実際はちっとも上手く行かないからだ。
これは弄れるのが音量のみで音色が足りない時のままになるのが主因だろうが、こと音楽とくっ付くと理論の内の片方が無効になるのがとっても多いもんなのだ。
ここらで電気で硬くなる訳へ行っとくと、概述込みだが負帰還回路等の「時間的不誠実」が主犯だ。
これだって空気(音速)より電子の方が高速だから変な話しなんだが、ホントのリアルで所謂「テープの逆回転サウンド」が出せない様なもんだと思って貰って結構よ。
今はストンプでそんなの出てるけど、あれだって「先に弾いといてその後」でしか出せないっしょ。
せやさかいDelayみたく遅らせる方はなんぼでもセーフなのに、覆水盆に返らず宜しく音も既に出っちゃったのを早めるのは無理があんねん。
例の如く比喩するなら身長・体重等スペック的には掛けた方がかなり元のに近いが、顔を見たら別人のになってたみたいな…。
あの人誰って判別するのは顔だけじゃ無いけど、例えば再会が数十年振りで齢取ってたら少し背が縮んでたりしても普通だしょ。
故にスペックだってトータルで判断するし、その他にも仕草だの口癖だのもっと色んな要素が絡んでるのは音楽でだって一緒なんで御座居。
けどそうは言ったって現況では負帰還の完全回避なんて殆ど幻想で、作る側だけ尊守したって聴く方でそれではとっても非実用的になっちゃうからね。
あり得んけど管球式ipodを胸ポケットに入れて聴いてたら、アチチチ乳首を火傷したなんて…。
しかしだからこそ後で硬く為らざるを得ないんだから、作った時点でもう硬目だったら何だか余計恐ろしいじゃん。
処で何で魔改造でこんなのが続いたかったら、売って無くは無いけど買うのがチトしんどいから。
高価格に泣かされたり選択肢が少なくてドンピシャのが見つからんとか、オマケに球の真の威力を知らなかったら安くて小さくて便利な方へそりゃ皆吸い寄せられるもんね。
<つづく>
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