音楽備忘録532 魔改造悲喜こもごもⅡ-㊵
愚痴ってばかりも居られないので本線復帰を果たすとして、LED照明修理と球プリの両方に関係するので失念してたのがあったんでそれから。
拙ブログ過去記事(音楽備忘録442)で紹介した「昇圧整流」のって、もう1つあったんだった。
失念の原因は先ず俺の不心得だが、マイナーな技故そもそも紹介数が極端に少ないのもあった。
昭和の内はきっとそうじゃなかったと推察されるが、今となっては「家に余ってるトランス」なんてのが希少化したからだろう。
何かこしらえるのにこれから部品を買うんなら、なるべく適したのを選ぶのが当り前。
さればわざわざ回路構成が複雑化する様なトランスなんて当然選ばなく、結果的に参考例示となれば一部のみの紹介に留まってるのが殆どになるからね。
では早速久々の図示へ進めるが、今回紹介のには以前のに無い利点があるのだ。
してそれがより厳しい条件下では死活問題となるケースがあり、かなりニッチではあるがそんな際には最後の手段だったりもするのだ。
トランスの出力電圧が足りない時に昇圧整流を使うと、近年常識化しつつあるDC-DCコンバータなんて使わなくても賄える。
勿論コンバータを使っても一向に構わないんだけど、集積回路やキットになってて売られてるのは当然ニーズの多いの限定だ。
売って無いのが欲しいとか手持ちジャンク部品でとなるとコンバータ回路の方が面倒で、尚且つ買い足し抜きで組むのが難しい。
そこで昇圧整流の内「半波整流」の方は紹介済みだったが、全波整流でも昇圧可能なのを示したのが上図だ。
因みに整流(交流を直流に変換)の半波と全波の違いは必要部品数と効率で、それに依って整流後の電流リップル成分に大きな違いを生じる。
半波のでは交流電力源(大抵は電灯線AC100V)の極性が⊕になった時のだけを取り出してるが、全波ではそれが⊖になってる時の分も取出している。
そうすると整流後のリップル周波数が半波では元の50Hz(60Hz)のままだったのを、全波では倍にする事が出来るのだ。
出力電流の波が細かくなる程平ら(平滑化)にするのは楽になり、結果的に同一性能を得るのに必要なコンデンサ容量は半減してくれる。
今回の核心はここで、この性質を逆手に取ると所謂「電圧降下」を小さくする事にも貢献してくれるのだ。
コンデンサは高耐圧になる程希少・高価になってくし、ジャンクではそんな存在の程収獲が困難になるからね。
では上図4.の倍圧のから説明してくが、こちらは5.の4倍圧のよりは遥かにポピュラーだ。
それは一番右に参考掲載した「只の全波整流」と、部品の数や構成が殆ど一緒だからだ。
それ位シンプルだと作り易いのは勿論、記憶に留め易いってのも大きい。
参考掲載の内容は後回しにして俺がコレを知った最初は、以前述の買った真空管Overdriveだった。
超小型でローコスト=量販品となると、もうその当時でも出力電圧が電源より高いトランスはオーダーメイドのしか無かった。
けれど絶縁トランスと称する「電圧は変えない」のなら未だ健在で、これは感電や外来雑音混入の防止等の目的が存続理由だ。
因みに昔も今も例えば日本のを欧州で使うのに、あっちは電灯線電圧が高いんでそれを下げる用途のトランスは健在だ。
だが繋ぐ機器が不特定だから消費電力量にも巾を持たせなきゃなんなく、その結果あまり容量が小さいと使える機器が激減するんで超小型は作られて無い。
なので2倍圧の存在は相当昔から知ってたが、それ以上も可能なのは割と最近になってから。
只それを見つけた時に直接ニーズを抱えて無かったのもあってか、どうやら印象が薄くて忘れてたらしい。
今回再発見したのもネット上では無く、既に取込んであったDataの中からだった。
って灯台下暗しの典型でやんなっちゃうが、これぞ杜撰大王の真骨頂ってなもんよ。😓
さて只の全波整流に少し触れとくと、直接の原因は恐らく昔の部品価格等が原因と思われる。
図を良く見ると分かるが参考のだけトランス出力が3つになってるが、当時はダイオードを増やすよりその方がローコストになったからだろう。
ブリッジダイオード(1つに4個入ってる)を使えば出力が2つしか無いトランスでも全波整流出来るが(これが現代では半ば常識)、半導体が高価だったら倍増しなきゃなんないのはコスト面で致命傷だからね。
今ではこれがスッカリ逆転しちゃってるから、利用実績は無くなりつつあるが。
尤も魔改造界では手持ちジャンク次第じゃ、まだこれ等にはそれなりの存在意義がある。
例えばニーズに足りる電流容量のダイオードが、手元にはブリッジのが無くて普通のが2コしか無いとかね。
<つづく>
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