音楽備忘録489 スピーカ低音補正の仕方⑩
おやおや魔改造Ⅱの方で柔らかい音質云々って、こっちじゃ低域はカッチリしてる方がって又ややこしくなてるかも。
ので一見矛盾してる様で、そうじゃ無いのをここに記しとこう。
あちらで柔らかくなきゃ→硬過ぎ駄目って言ったのはAmpの事で、こっちでカッチリのが良いってのはスピーカの事なのだ。
そしてAmpで硬くなるのは主に中高域で、低域をホントに硬くするのは至難な位だ。
一口に低音と云っても一般的に聴けるその殆どのは、中高域成分も含まれてるのが多い。
なのでBassが硬いと感じたとして、大抵は含有中高域からの印象なのである。
この面で誤認識を防げるとしたら正弦波発振音、若しくは倍音成分僅少のシンセBassのなんかが相応しい。
それで試して極例が出てくれると面白いんだが、端的表現すると音の鳴り始めに「妙なアタック倍音」が付加されたりするのよ。
無い筈の倍音聴こえた→そりゃきっと歪んじゃったんだ→音量下げてみろ、でも何故か幾らも収まりゃしない。
その正体は確かに歪みの一種とも看做せるが、スピーカが音の立ち上がり(音的に・電気的には反応)に間に合わなくて波形が変形しとるんじゃい。
それなりになだらかもあった波形山の斜面が、そのせいで断崖絶壁みたいになった様なもんでごわす。
これは音響的には正弦波(若しくはその類型)の前端部が、矩形波(パルス)に変身したとなる。
シンセで波形を変えると音色が変るのと同じ現象が起こり、結果として悪目立ちはしてくれるが低音自体は少し減ってしまう事となる。
そのメカニズムはAmpがスピーカより速過ぎだとか、その逆等の際に特に顕著となり易い。
低域用のスピーカは原理的に大柄にならざるを得ないが、すると必然的にどうしても鈍足になりがちなのだ。
なのでトロ過ぎるウーハじゃ困るんだが、生楽器で低音を出す時の事を考えるとそんなに深刻でも無い。
Bassの弦長・バスドラの皮の口径、どれもウーハよりゃ全然サイズが大きい(或は長い)。
それ等の振動最速に間に合ってさえ居りゃ改変なんて起こらん訳で、だったら「トロい」って何なのさっと。
それは動き出しならそのホントの前端部、それよりも止まる方(鳴り止む)が問題になってるのだ。
仮に低音がたった1発だけだったら、それでも余韻にエコーが掛ったかな程度で済むさ。
けど普通の音楽内じゃ連続若しくは断続的に鳴ってるのが普通で、そうすっと前の音の「余計な残り」がその後のへ悪さするんよ。
これってミュートの悪いBassistの音が何だか濁りっぽいってなもんで、音程が低い程下手にダブると濁って汚くなっちゃうでしょ。
PCと違って極端な速度不一致があってもビジーになって固まったりゃせんが、音の原型供給・伝播はもう無理だ。
それからすれば絶対遅れないウーハと絶対慌てないAmpの組合せがベストだが、それがかなり困難なのだ。
Ampもスピーカも唯の機械だから、音域次第で反応速度を変えるのがね。
だいいち単音階専用のなんて見た事も訊いた事も無い処か、敢えてそれで何千台も用意するにも「間の音程」が出て来たらそこが非対応になっちまう。
そんなで再生装置側では楽器みたいな最適化が非現実的・不可能で、BassやTromboneみたいに音程毎に長さを変えられたら良かったんだけどね。
けれど只諦めても居られんからどうするってば、例えば新式のスピーカに古典的なAmpってのも理想に近付ける一手段だ。
宅で単なる球ヲタ・狭小住人のせいで偶然なっただけだが、EX-pro 6550S limited+AUDIX Nile Ⅴって組合せの低音がえらくリアルだと評された。
これ最初に言い出したのは俺じゃ無く、設計者且つEX-pro初代社長の近藤氏だ。
何でそんな大物が宅に来てたかったら、使われてる真空管に初期不良があったからだ。
今じゃかなり有名になったEX-pro自体も黎明期だったからかもだが、こっちが当時下北沢の外れにあったそちらへお伺いした事もあった。
それは兎も角彼の想定にこの組合せは無かったそうで、とっても意外だがこりゃ中々行けるねぇってさ。
もしかしたら俺の低音ヲタの怨念か何かが、そんなのをとうとう呼び寄せたんだろうか???。
<つづく>
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