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2020年10月10日 (土)

音楽備忘録430 魔改造悲喜こもごも⑭

今回は本筋へ復帰させて、望んだ歪みの具体的な獲得の仕方についてだ。
余剰低域を削るのだけ概述だが、それだけだと大抵は超高域が過剰になるからもう一工夫だ。

そうなる最大原因は単純なパッシブ回路で達成しようとするからで、具体的には信号経路へコンデンサをたった1個挿入するだけ。
もし半導体を使って構わなきゃオペアンプICなら2回路入り1個で、簡単なアクティブフィルタが組めるからこの限りでは無い。

ここでオペアンプICのプチ予備知識だが、オペアンプの増幅器は単体でも既に演算増幅器って回路になっている。
これは真空管でも組めなくは無いが、演算増幅器には増幅素子が2個必要だ。

なので上記の2回路入りを球で構成するには定番のでも2本必要になるし、それが又唯2本にするだけじゃ済まないのが厄介だ。
所謂マッチングをして2本の性質を揃えないと演算回路としてちゃんと働かなくて、尚且つパワー段より更に厳密に合せないと駄目。

そうなるとコストも手間もだが、制約の多いストンプには不向きな事この上ない。
それもあって近年は球でもハイブリッドのが多数派を占めてるんだろうが、エレキの原典Ampの時代にICなんて未登場だったからやはり音のニュアンスには有難く無い変化をもたらしている。

アレも駄目コレも駄目ってじゃあどうすんだってば、今度は超高域の余剰分を又コンデンサで削ってるのだ。
プチ予備知識Ⅱで基本的にコンデンサは、音声信号だと高域程流し易い性質を持っている。

それを回路に直列に挿入すればLow Cut、信号経路とGrand(アース)の間に挿入すればHi cutが出来るのだ。
どうしてってば高域だけコンデンサをすり抜けて、信号経路より電流が流れやすいGrandへ全部逃げてっちゃうから。

因みにエレキ本体のTone回路は電池不要のパッシブタイプなら、ほぼ全てこの方式だ。
尤もエレキ本体は純粋な・球回路の方はフィルタ部だけがパッシブな差があるので、効き方はエレキの方がより大雑把だ。

ストンプで割と早期にグライコが登場したのもこの辺の事情のせいで、本体Toneだけでは要らん処を減らそうとしたら残したい処まで削れちゃったりするからだ。(勿論逆も又然り)
俺自身それでグライコも早期に購入したし、ウーマントーン以外ではすっかり本体Tone使用を敬遠する癖が付いちまった位だ。

因みにⅡでフィルタ回路(楽器では主に音質調整に使う)の正確さの順位を提示しとくと、完全パッシブ→フィルタだけ→アクティブの順で出鱈目いい加減だ。😵
今時普通なら性能の良い順番に並べるもんだろうが、俺の性格や趣味でひねたんじゃないのよ。

随時吠えだが音楽的実態と電気のそれが比例しない方が多いからで、音楽的には出鱈目なのの方が効果が大きいからなのだ。
しかしそうは言っても回路設計自体は純粋に電気なんで、この辺が測定器だとか純然たる機器より却って面倒になる点だ。

は終わらせてストンプではコンデンサ2個追加だけで済ませられるのは大変結構だが、要らん処っても2つも「削るばかり」となるからトータルの出力や歪みの深さは減ってしまう。
なので生粋のメタラーさんには音色的に元々不向きだが、件の機種では余計歪みが不足してしまう。

俺の場合は普段は歪みは必要最低限の深さとなってたからここは問題とならなかったが、コンデンサの値決定にはかなり手間暇を要した。
上記の如く理屈より実際がかなり出鱈目になるので、事前計算をしといても極大雑把な目安にしかなってくれなかったからだ。

音楽用とか楽器となると電気・電子回路でも実情はどれもこんなもんで、これを典型例に今でも頭脳より体力・要領より根気が重要な世界だってあるのだ。
その意味では良い音がゲット出来るのは、根気のある人って事になるのかな。

<つづく>

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