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2020年9月 9日 (水)

音楽備忘録399 半導体 vs 真空管⑨

んだばBass Ampの増幅素子や回路方式の得失と洒落込むが、最近はBassだと石でも平気と勘違いした連中が増えてオッサンとしちゃ実に嘆かわしい。
Guitarよりゃ歪ませる事が少ないから差が目立ち難いのは確かだが、露骨なEffectを掛ける機会が少ない点ではこっちの方がホントはより問題だと思うんだけどな。

では先ずBassの「実用上」の音色の問題から予習と行くが、何と言っても至上命題なのはアンサンブルバランスに尽きるんですよ。
特に本邦では日本語歌詞の子音の聴き取りの都合か、音量バランス規制!?が厳しいらしいからねえ。

そんな制約テンコ盛りの中で少しでも好みの音色にしたいとなると、ホントに「音の質」が問題になるんざんす。
これ単にEQで○Hzを盛りぃの□Hzを削りぃのってんじゃ無くて、同じ音量・周波数とかでも「音の通り」等をどの程度維持出来るかってなもんで御座居ます。

これに一番関与してると思われるのが歪みで、しかし所謂「歪ませた音色」とは異質なもの。
なしてそないなるってば、俺仮言い「目立たない歪み」とでも取敢えず銘打っときましょう。

人耳の周波数に対する感度等の事情から、一番目立って聴こえるのは3kHz前後ってのがある。
そこから離れる程存在してても認識率が低下してくんだが、これに則ればBassでは中高域が多目だと存在が認識され易いとなる。

でもらしさを維持するには低域中心じゃ無きゃ駄目で、尚且つ他楽器も大勢居る中域を出すと越境行為だと迷惑がられたり他の楽器と誤認され易くなったりする。
ならばと思い切って極端なドンシャリにすれば最悪だと、「別のが同時に2つ鳴ってる」様な印象も与えかねない。

ってな事って実際倍音域を完全に削いだら不味いが、少なくとも量の盛りだけじゃ低い限界が迫ってるしで解決に足らない。
ではどうするかったら、倍音の質や内容でそれを補填させるのだ。

楽器や音色の性質上Bassの倍音は、多くの場合基音より出てる時間がかなり短めになるケースが多い。
これはエレキGuitarでも歪ませなかったら似た様なもんで、概述の通りCreamでのJack Bruceはこれを逆手に取ったとも考えられる。

念の為要点だけ抽出しとくと当時の彼の使用弦はFlatwound・機種はGibson EB-3、この組合せだと鋭利な中高域なんて少なくとも普通に使ったのでは全く無縁だ。
太さの点ではチャンピオン級なので演奏環境が良かったら申し分無いんだが、差し詰め優等生だが逆境には滅法弱いってな感じだ。

そこで余韻部でも歪みに依る倍音が暫く鳴り続ける程度に、意図的にOverdriveさせてみた訳。
尤も音色的に露骨な歪みが嫌われるジャンルだってあるからこれは極例に過ぎんが、実は殆どので「聴感上は無歪み」「電気物理的には少し歪み始めてる」位が最も好ましく聴こえているもんなのだ。

太さ重さ等Bassらしくするには倍音音量は抑えなくてはならないが、和音の根幹のみならずリズム楽器の片割れでもあるから不明瞭過ぎちゃ困る。
ので上記の様な隠し技!?で、アンサンブル内で容易に認識可能になる程度に倍音の「時間延長」をさせてるのだ。

その他の事例紹介は次回に譲るが、この歪みを得るのに石より球の方が圧倒的に適している。
しかも今こそ重要性が高まったのが、露骨に汚っぽい音色は昔より好まれなくなってるからだ。

電気物理的には歪んだ時に生成される高調波成分の違いのせいで、基本的に球は偶数次・石は奇数次のを中心に増やす性質に依っている。
因みに偶数次高調波とは音的には基音の○オクターヴ上の事で、○が2なら1オクターヴ上・3なら2オクターヴ上の倍音って事。

結果的に偶数時倍音だと多少歪んで増加してもマトリョーシカ人形状態となってるので、聴感上の歪みとしては認知し辛い性質があるのだ。
一方奇数次倍音の方はオクターヴにはならないので目立ち度は抜群だが、刺激的なので僅かに加わるだけでも変容が感知され易い。

<つづく>

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