音楽備忘録392 音楽を演る人にとってのリファレンスヘッドホンⅣ
前回後部が見事な尻切れトンボになった気がするので続きから行くが、奏者でも自身の担当限定で即席PAアシスタントに変身する場合もあったりするのだ。
弾かない或は全く弾けない技師さんにとって、どんなに本職がハイレベルでも奏でた音なのかどうかの判断は困難だったりするからだ。
パッと聴きノイズっぽく感じられても、奏者氏が気紛れでわざと入れたりしてるかも知れないでしょ。
ご存知の古株さんには耳タコ話しだが、その昔CharがClaptonの教則用録音をした際の逸話なんか典型的だ。
技師氏曰く「演奏はとっても良かったけど、残念乍ら歪んじゃってるんだよね~…」と、折角原点に忠実に意図的に歪ませたのに録り直しを要求されたんだそうな。
今なら笑い話でしか無いがもしエレキGuitarにわざと歪ませる奏法があるのを知らなかったら、貴方も俺もその場に居合わせたら同じ事言っちゃってたかも知れへんで。
もしプロデューサやエンジニアがBeatlesの所の人達みたいだったら、かなり早期にそんな斬新なのも理解されたかも知れない。
でもそれだって奏者本人に最低限の確認位は取れてからじゃ無きゃ、飽く迄「推定」の域を脱せない。
しかしこんなのは奏者にとっちゃ演奏の中では限定的な場面で、PV等の録音場面でCD-900被ってたのは特例だったかも知れないのだ。
最近では音楽雑誌でも達人の「お宅訪問」企画等も減った様だし、そもそもネットの普及と活字離れの進展でそんな彼等のこの方面での真の日常は益々知り辛くなっている。
身近な例として現行Bandの休養中Guitaristのを大サービスで例示しとくが、彼の現時点での一番有名な仕事は格闘技団体のテーマ曲だ。
今は本人曰く「オリジナリティに溢れるが普通のRock」だそうだが、大元は伝説のMetal Bandの創始者にしてLead Guitaristだった。
それでか今でもピッキングハーモニクスを妙に多用したがる癖があるが、それからしたら常用ヘッドホンだってゴツくてヘヴィなのだろうと勝手に予測していた。
のが修理の関係等で宅訪してみりゃSennheiserのHDシリーズを愛用だそうで、それってオーディオヲタ様御用達な上RockよりゃどっちかったらClassic向きのヤツじゃないのさ。
どうやら様々なジャンルや音色の氾濫する中でMetal的魅力を追及したかったらしく、大袈裟かも知れんが本気でオケのViolinとかとも対抗して勝とうとしてるらしい。
つまりボクサーのくせに相撲取りと相撲しても勝つぜみたいなwww、でも確かに最初から興味のある人だけに訴えてたんじゃお客さんは従前より増やし難いし世間に広がらないよね。
俺達の古くからの親しい仲間だけにこんなのは変人級だが、前述にあるが如くかなりStudioの仕事も多かったのにCD-900持ってないってさ。
彼は今は体調等もあって貧しさは俺といい勝負だが元はリッチで、それ故楽器は限定品だとかちゃんとした防音室だってあるから買う意思があったならとっくに持ってた筈だ。
結局俺等3人の中でCD-900持ってるのは従兄だけで、本人曰くPAとか録音用だそうで。
因みに彼は元オーディオヲタにしてヘッドホンの方はまだプチヲタで現役らしく、立場上Drummer用ヘッドホンが多いが他にも色々あって使い分けている。
そして休業君は楽器の音も含め本来はスピーカモニタ派、従兄はどっちかってば詳細に聴き込みたい時は昔からずっとヘッドホン派って感じだ。
俺の場合はずっと奏者と技師の兼業なのでその様な分類は不可能だが、日常的にあらゆる聴き方をしなきゃなんなかった体験からすると一番安全なのは球って結論に至った。
確かに詳細ディテール等はモノに依っちゃ石の方が明瞭だが、全体の印象変化が球の方が圧倒的に少ないからだ。
しかしヘッドホンでは聴取状態から雑音が目立ち易い等で、現状では不使用だし早急に用意するつもりも無い。
けれど現代本邦一般にはマイナーだが、ヘッドホン側でかなり音色低演出なのがまだあるのを知ったのが大きかった。
この件は次回に掘ってくが、実際はどの程度の感じなのかを知りたい時はそれ等を限定使用して凌いでいる。
<つづく>
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