音楽備忘録397 半導体 vs 真空管⑧
石だと熱対策がプアなのがまかり通ってるのは、球より火災の危険が少ないから。
なんてちぃと刺激的にぶってみたけど、ホントは石だってそんなに危険度が低くは無いんだけどね。
只増幅素子本体だけで論じたら球は実際内部で光る→燃えてる訳だから、火種を持ってるのは確かだ。
又ケチな考えではあるけれど石は熱に弱いので、燃え出す前に逝ってくれるだろうなんて考えられてでもいるんだろうか。
こんなの難癖紛いだが、現に近年になってスマホやノートPCの発火事故は悪目立ちしてた気もする。
これ等の主犯は半導体(増幅素子)では無く充電池だったけれど、保護回路等制御系の半導体が先に逝っちゃってた可能性も拭えない。
それに加え石では温度の最も高くなる場所が極小で、外部との温度差が大きいのも悪い方へ助太刀している。
PCのCPUみたいに内部に温度センサが仕込まれててそれをアプリで常時監視出来りゃ良いが、内臓されてない方が圧倒的多数なので実際どれ位熱くなってるかを正確には伺い知れないのだ。
球だって真空管機器自体は平気でも、設置に問題があれば回りを焦がしたりする可能性は充分にある。
けれど素人が扱うに際し中で燃えてる(普通人は光ると称すが)のが見えたり、それもあってチンチンに熱くなりそうなのが想像し易いのは注意喚起としては良い事だと思う。
ここで半導体の熱問題を端的に表してると思うので、一寸余談だが近年主流の所謂インバータとかスイッチング方式と呼ばれてるACアダプタを取上げとこう。
俺知りの限りではこれ等の入れ物はプラの密閉型で、長時間連続使用するとかなりどれも熱くなる。
ここ迄に記して来た通り熱源本体が極小化すれば、放熱の外部依存度は飛躍的に高くなる。
それからしたら理想としては放熱に貢献できるアルミ等の金属ケースとかにするべきなんだが、コストや電気的絶縁の都合で汎用品ではそんなの皆無に等しい。
これじゃあ中に入ってるヒートシンクの放熱効率が極端に悪くなり、どんどん蓄熱させてるんだからかなりな低消費電力でも段々熱くなって当然や。
近年のこの潮流は言うなれば「非ヘビーユーザー御用達」ってなもんで、素人天国全盛ここに極まれりか。
ってなこって実は小型な半導体を使っても余裕しゃくしゃくな安定度を持たせたきゃ、そんなに全体は小さくなんて出来ないのだ。
球より放熱器必須が多くなる石でご利益があるのは、消費電力・重量の軽減と耐振動性等限定で全部では無いのだ。
恐らく今世間では殆ど顧みられて無いこの点へ着目すると、現代的極小の石のは安価な上他の部分の消耗が激しかったりして使い捨てが向いてる様なのだったらって事になるね。
なので現に業務用電気楽器用のAmpでは一部例外を除いて、音色事情もあって他に逆らって球がまだ主役の席を占拠しているのだ。
ではその例外とはってったら、可搬性を最優先にしたBass用のD級(デジタル式)パワー部を持たせたAmp Head等だろう。
誰にでもBassと認識される音色を得るには、現況スピーカ口径を30cm以下には出来ない。
原理的には最低でも38cmは欲しい処なんで、となるとスピーカは38cmの1個とそれの箱だけはケチり様が無くなる。
単体では能率が下がってパワーもより必要となるので、せめてHeadの方だけでも高効率で小型軽量にしてやっぺって作戦だ。
D級が実用化されて選択肢が増えたのは良い事だけど、Bass Ampとしては致命的な弱点も持っている。
これについては次回辺りで特集!?してみるつもりだが、世の中そう簡単には安く小さく軽くなんて出来ないのの象徴かも知れない。
因みにスピーカでもたった1発で大音量を扱える様にすると、ユニットもハコもゴツくしなきゃなんないから単純な算数の引き算みたいにはなってくれない。
低歪み率の確保等もより困難化するので、それはコストにも当然反映されている。
<つづく>
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