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2020年9月29日 (火)

音楽備忘録419 音色の過剰演出とはⅣ

今回は過剰演出の害悪の内、音楽制作者にとってのについて絞って行こう。
それも録音技師とかより、演奏や作曲者に対してのを中心にね。

現潮流の源泉はゲーム音楽や打込みへの「下手な対抗心」辺りからの様な気がするが、とどのつまりは「隣の芝生は青く見える」の亜種みたいなもんだ。
本気で対抗するなら相手の土俵で相手のルールに従って競うべきを、要領良く良い処取りしたつもりになってんだろうな。

両方に精通してる人達には、これで酷くなってるのをあまり見掛けない。
そして一番恐いのは当初は芝居のつもりでいても、長くそんなのにばかり浸っていると感性に何時の間にか狂いが生じる処だ。

ここで皮肉なのが明瞭度や派手さを好む者程、過剰演出された機器を好んでしまう処。
単純な心情的には勿論自身も目一杯頑張るが、それだけにその成果はフルに味わいたいと思うもんだ。

だが自身が至高の派手さを獲得したいなら、寧ろ過少演出な機器を使うべきなのだ。
そんな地味地味ボケボケなヤツで演ったり聴いたりして、それでもカチッとしてたらそれこそ本物ってもんよ。

次に随時頻吠えの「音楽は比較で成り立ってる」の問題で、全部を強調したつもりのを他人が聴けば「特に強調した処は何処にも無かった」としかならない処だ。
これで損なのは他人の曲に混じって聴こえた際にド派手じゃんと気に入られ、気に入ったからとそればかりを続けて聴かれた時だ。

そこでイメージ通りかそれ以上に凄く聴こえりゃ新ヲタ一名様ご案内と洒落込めるが、「聴き込んでみたら大した事無かった」ではやるせない。
そりゃ第一段階で耳に留まらねばそこ迄すら至らないのは確かだけど、最初から曲を丸毎全部聴いて貰える可能性は低い。

のへ着目すれば例えばBeatlesのA Hard Day’s Nightみたいに、Introの1拍目だけが強力でも事足りる場合もあるのだ。
この曲の編曲が秀逸なのは頭だけじゃ無く、一番最後を同じコードでアルペジオにしてFade Outさせてるのが決め手だ。

ド頭と一番最後は他の場所に比べ、圧倒的に記憶に残り易い。
何しろ音量だけでも0~100・100~0へと、両極迄変動するんだから。

これ頭は実際は100迄行って無いかも知れないけど、Introジャぁ~んの後は歌だけだからその時点迄ではジャぁ~んが最高点だ。
Endingの方だって100の保障は皆無だが、歌の最後の部分より弱くはなって無いからね。

それからするとこの「100」ってのは電気物理的なのでは無く、心理的な音量って事なのよ。
音楽家が重視すべきは物理じゃなくこの「心理的」な方で、物理の方は最終的に聴者がボリウムツマミで勝手に決められるもんなんですわ。

特に今となっては何百何千W出した処で、既に誰かがどっかでもっと出してただろうから。
Beatlesみたいに「初めて100WのAmp使いました」なんてのは、歴史上の幸運な偶然と巡り合わぬ限り起こせるもんじゃないもの。

これだって現場的な真の爆音王はBandメンバーじゃなく、お客の半狂乱のお嬢さん方だ。
その「キャー」と比べたら折角の100Wも、デビュー当時の30Wより全然聴こえない。

室内個人練習用のより聴こえないんだから、対比的には下手すりゃ1Wにも満たない有様かも知れないよ。
音色の場合とて同じ事で例えばそれがFuzzだったらJimi Hendrixが象徴的過ぎて、それ以前に使ったのもそれ以後のも亜流っぽく感じられちゃったりすらーね。

最初に使いこなし切った点ではそれがJimiなのは確かだが、機器の完成度の影響だってあった筈だ。(Fuzz初登場は’50年代後半なんだってね)
ここで拙ブログらしく変な方向へ科学してみたくなって来たが、それはお嬢さん方キャーは一体何dB位の音量になってたのかだ。

ので抜け道まっしぐらになるが、次回計算して比較検討してみよう。
因みに一般的な喧噪はググった処では60~70dB位らしいが…。

<つづく>

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