音楽備忘録370 素人に可能な防音・遮音㉓
建築での電気等の配線では近年のだとか、ある程度以上の規模のだと配管が利用される。
管があると助かるのは断線した際の交換等、後から壁を剥がさずにやり直せる処だ。
線材自体の保護や長寿命化に貢献したりもするが、音漏れ厳禁な状況では普段が不利になる方が多そうだ。
通常壁裏の配管が部屋に露出する様な事はカバーされてたりして無いけれど、良いのではそれなりの気密性はあるものの音の遮蔽に対しては幾らも考慮されていない。
と言っても部屋を一般用途に供する分には問題なる様なレベルでは無いが、常時強制換気に依る圧が作用するとなると様相が異なっても来る。
これが吸う方ならまだ良いが吹く方に作用する様だったら見過ごせず、一寸考えりゃ分かると思うがそれでは笛みたいになっちまうからね。
それでってんでも無いんだろうが(多分手間とコスト!?)宅の防音室では、配線用の配管は一切使われて居らず後になって時々少々苦労させられている。
只管状の物が無ければ洩れの他に共鳴したりする心配も無くなり、当然乍ら管より線だけの方が細いから通す場所の選択肢も増えて遮音に最適な箇所が選べる。
個人で自前でやる場合には電線の保護の点で、配管を使った方が安全性は上がりそうだ。
但しなるべくなら出入口に加えて途中の何処かにも、音を止められる「栓」みたいなのの追加を要すかも。
勿論最初から通す必要のある線を洗い出しとけば、絶対必要では無い配管だなんて面倒な工程は省けはする。
或は電源用の電灯線以外の通信を無線式とすれば、部屋の中に素人が作れる程度の箱だったら通常は電波は通る。
私的にはエレキへの雑音防止に箱自体をシールドしときたい気もするが、防音室内にPCやスマホ等の電子機器を持込めばそれ等には効果が無い。
ではどの程度の遮音グレードに対して配管の有無や仕様が問題化するかだが、Uplight Piano程度迄だったらそんなに気にしなくても大丈夫だ。
但しどんな遮音グレードが要る場合でも、流石に壁に「真っ直ぐ」最短距離を狙う様な穴の開け方じゃ心許ない。
仮に配線と穴の隙間をコーキングしといたとして、万一線が引っ張られた時にとても動き易いので著しく剥がれ易くなっちまう。
次に他の原因で後になって「隙間が再発」した場合、経路が直線だと音は殆ど減衰せずに漏れてしまう。
そんな事態にも配慮しとくと、最低で入口-出口間に直角が2つ入る位の角度変遷が欲しい処だ。
尤も直角ったってカクカクである必要は無く、向きが90°位変わるのが2回って意味ですぜ。
そもそも太い電線は折り紙みたいにゃ曲げられないし、R(曲線半径)が小さ過ぎると抵抗値が上がったりする。
これが電圧だけを問題とする線ならまだ良いが、電力線(電流も沢山流す)の場合は発熱度合いが格段に高まるから要注意だ。
又こんな事を暴露するとその筋から叱られそうだが、市販の配線用モールの曲がり角は安全上スレスレの狭角になってるのが多い。
モール自体を貼り付ける上でもカーブが大きいと壁と天井の境目等の目立ち難い領域からのはみ出しが多くなり、貼れる場所が無くなったり見栄え的にも歓迎されないのは事実だ。
しかし安全性・寿命・効率等を最優先させたら極力カーブは大きい方が有利なんで、隠れて見えなくなるなら大胆に緩やかな曲線としない手は無い。
緩いカーブに問題が出るとすりゃ硬い材で経路をこしらえる場合で、かと言ってアコギの胴みたいに木を丸める様な必要は無い。
配管にせず配線通路迄を自作する意義としては、想定以上の太い線の対応を計る場合等だろう。
それであれば内部空間の広さが助けになるので、90°だったら33°づつの3分割程度で事足りそうだ。
処で音声信号以上の電力を扱う電線を通すなら、どんなに線材の絶縁性能が良くても導電性(鉄だとか)を有すパイプは絶対使わんといて。
後当り前だが燃えやすいのもアカンで、折角線材がギリギリで熱に耐えても周りから燃えたんじゃ無意味だかんね。
けれど2重絶縁の線で容量に充分余裕・急角度の折れ無しとするなら、配管不使用の一般木造住宅の壁裏配線が丁度そんなだから普通の木材位でも大丈夫だ。
<つづく>
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