音楽備忘録362 ヘッドホンと体格の関係Ⅴ
前回最後部で理想と現実の差みたいな事になってるが、たった独りしか居ない世界一の大耳さん向けに作れってのも非現実的なのは確かだ。
そんな準備をしといたって、そもそも必ず買ってくれるか分かんないんだしね。
只そうなると各自で対応策を講じねばならず、この方面に関しては通販全盛なのはマイナスだ。
或は将来的に何処ぞの業務用メーカーが詳細寸法迄公表しないかとも思うが、製品ムラとの関係もあるだろうから期待薄か。
となれば先ずは極力各自にフィットするのを探し、不足分は自前で手を加える(頼れる人が居たら依頼しても良いが)しか無い。
合うのが沢山あるとか無加工でOKって人と、全くどれも合わなくて加工も大変な人も出で来るのは不公平だがどうしようもない。
取敢えず比較的簡単に出来るのってば、ユニットやイヤーパッドを元より少し出っ張らせるとかだろうか。
この内後者は場合に依ってはイヤーカップとイヤーパッドの間に、適当な物を挟むだけでも済む場合がある。
俺には深さと性能の関係でも不適だったから試して無いが、概述Drummer御用達VIC FIRTHもヘッドバンドを延長するだけならそんなに難しくは無さそうだ。
ここの形状や構造が複雑だと例え何とかなっても、改良後の強度不足も懸念されたがセーフっぽい。
但し他のでもそんなのが多数派だが、ヘッドバンドのバネ部分の長さは伸ばせないのが難点だ。
その結果必ずしも人頭は真円形では無く複雑にいびつだったりもするので、最悪時はヘッドバンドの両端がイヤーカップより頭を締め付けてくれるなんて事も。
これ大きさにも関係はするが例え小さくても頭が角ばった感じの形だったりすると、折角の小ささが何の効力も発揮しないなんて事も起こり得る。
ショートバネタイプので被害を受けずに済むのは、バネと接する部分の頭のR(曲線半径)がバネより小さい人限定だ。
更に2重のの下側(頭に乗る部分)は1重のと比べると、芯に硬いバネが入って無い分凹凸追従性も高目のが多い。
すると例えばRの大きさはクリアしてても上例とは逆に頭のてっぺんが尖り気味な人とかで、1重のではそこだけ強く圧されて痛くなるなんてのも起き難くなる。
この面ではAKG K240 Studioのみたいに、ヘッドバンドのバネ部長さが余裕しゃくしゃくな上2重となってるのなんかの意味が大いに出て来る。
残念なのは俺知りで現行品でこの手のには爆音対応のが見当たらない処で、それも含めて概述Philipsドマイナー機の魔改造には意義があったと勝手に自負している。
因みに近年では珍しくなりつつある俺言い「2重ヘッドバンド」のバネ部の長さに触れとくが、設計思想としては曲線バネの両端が必ずイヤーカップ部に来るのが固有の特徴だ。
わざと長過ぎに作っといて、「余った分」は頭の上へズラして逃がす作戦だ。
加えてバネ力の効率にも差があって、途中迄しか無いヤツの方はその先が撓る分ロスがある。
そこで大抵はその分予め強くしとく訳だが、そうすると余計にバネ部と非バネ部の接続地点が頭へ近付き易くなる。
なので上述の欠点はより出易くなってしまい、Rの差にこの分の余裕が無いと「当たって痛い」。
なのでⅡでこの弱点を出難くする為にも、ショートタイプなら非バネ部がせめてなるべく撓らないのだとまだマシだ。
因みにⅡでこんな厄介が色々あるからそれならいっそインナータイプの方がと思うかもだが、音関係の性能に犠牲があるのが嫌だったら現段階ではまだインナータイプでは無理な注文だ。
近年ではどんどん差は縮まりつつあるが、原理を覆すのは未来永劫不可能だ。
これを端的例示するとBeatlesが録音時に使ってた、「S.G. Brown-Type Super K」は変態的だが好例だ。
何が他と決定的に違うかってばオーバーイヤータイプの内部で更にオンイヤータイプになってる処で、被るのを否定しなけりゃある意味こう云う無限の可能性だってあるからね。
<つづく>
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